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ドラムパッドの進化について 〜Ivan Conti 'Poison Fruit'ライナーノーツ補足〜

Ivan Conti 'Poison Fruit'の国内版のライナーノーツ書きました!

AzymuthのベーシストAlexandro Malheirosも参加する往年のAzymuth印な楽曲もありつつ、クラブ・ジャズ以降の視点から評価したAzymuth→唯一無二のグルーヴ・マスターとしてのIvan Contiをフィーチャーした楽曲もあり、さらにリミックス陣が豪華&クオリティが本編超えレベル、という今年の名盤です。

という思いをライナーノーツに書きました!


しかしドラムパッドの役割の進化について、字数の関係でライナーノーツに書き切れなかったので、ここで補足的に書きたいと思います。

Azymuthと言えば、ドラムパッド/ドラムシンセの使用が異様に上手いバンドなんですよ。

(各所で利用していますが、一応4分〜のドラムソロがわかりやすい?)

アコースティックなドラムに突然エレクトロな音が入る異物感がかっこ良い!ドラムの音色の拡張として使われていますね。

そういう意味ではスラロビなんかも。

特徴的な見た目もあり、「明らかに生楽器とは違う音が鳴っている」という所が面白みです。

それゆえに楽器としては、「叩いたらエレクトロな音が鳴る」ものとして、(基本的には)「ダイナミクスを(ある程度)無くした非人間的なニュアンス」が求められて来たし、そのように使っていました。

このクラップとかもそうですね。

という所で認識が止まっていたのですが、最近ドラムパッド/シンセでは大きな革命が起こっています。それが「Sensory Percussion」。

音色の拡張はありつつも、今までの「エレクトロな異物感」ではなく、ドラマーのリズム感/ダイナミクスを強調しようという方向です。

「Sensory Percussion」はドラムトリガーで、スネアやタムの振動を感知して音が鳴っているんですね。それもあって、ダイナミクスや叩く場所による音色変化が基本というか、それを活かすのが面白い楽器かなと。

そうすることで、メロディやバッキングとして、ドラマー特有のリズム感やダイナミクスを使うことが出来るようになったんです。

そんな中、Ivan Contiはどうするのか!と思ったら、同じうようにドラムの叩くニュアンスをパッド演奏に取り入れてました…!(違う楽器:ローランドのWAVEDRUMですが)

エレクトロを、音色の面白さだけなく楽器的なニュアンスにして取り入れていく。そういう意味では、近年のジャズのシンセやエフェクターの導入とシンクロする動きかなと思います。

本作の演奏/ミックスの素晴らしさも、クラブ仕様な音響と生演奏の質感を共に活かそうとするバランスの上で成り立っている気も。

そしてそれらを証明するかのような、演奏の別サイドをみせてくるリミックスが5曲ボーナストラックで入っています、是非。


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