ディープ直系論

とある記事が出ていたので取り上げてみる。
https://tospo-keiba.jp/family-line/39435

ディープの直系の存続については生前から色々言われていた。
2010年産あたりまでの初期メン種牡馬が失敗か、まぁそれなりの成績で落ち着いたあたりまでは、まだ父サンデーも後期までは後継が安定していなかった事もあってまだ慌てるような時間じゃないというムードだった。
しかし既にラストクロップも出揃った現在でリーディングトップクラスにいるのはキズナくらいしかおらず、次が20位台前後のシルバーステート。
そのキズナも記事にあるように最近やっとパンチがある産駒が出てきたと思ったら牝馬だし、Sステートもまだ跡を継げるような大物は出していない。
一方でキンカメ後継は現在トップ10だけでも3頭も入っており、それと比べると直系の存続について疑問視する視線が向けられるのも当然か。
(キンカメはキンカメで長期的に見るとまだ不安要素もあるが)
ただまぁミッキーアイル・リアルスティール・サトノダイヤモンド・リアルインパクト・サトノアラジン・エイシンヒカリ・Dブリランテといったメンツが中堅に位置しており、まだまだ滅亡を考えるのは早いだろう。
とはいえ種牡馬の世界は激しいパイの食い合いなので、そこそこの成績を維持しているだけではあっという間に見切られる。
キタサンやイクイ、そして思わぬ成功を見せたスワーヴリチャードといった高価格帯のライバルが良質な牝馬をかっさらって行くだろうが、その余波はキズナが受けることになるだろう。(同父であるコントレイルも該当するが)
種牡馬としてもフレッシュさはない時期にあるし、今後大物を出せる可能性は少なからず低下していく。
中堅組はもっと強烈で、内外からパイを巡るライバルが参入してくる。
生産者としても同じくらいの価格帯であればより新しい血で未知の可能性を秘めている新種牡馬に惹かれるので、種牡馬として留まることはできても後継種牡馬を残せる見込みはどんどん薄くなっていくのでかなり厳しい。
まぁつまりは滅亡とまではいかなくとも衰退は現実味を帯びてきているわけだが、ここから状況を一変させる要素がなくもない。
まずはコントレイルとオーギュストロダンの存在。
両者とも最近の馬なので実績は言わずもがなだが、コントレイルはやはり無敗の三冠馬という肩書は大きい。Aロダンは欧州でディープの直系を発展させられる可能性に期待が持てる。
ただ・・・個人的には、やはりディープの持つ本来のスピードはコントレイルにさえ十分に伝わっていないと思う。
他の後継種牡馬も同様で、更にその子供、つまりディープ直孫の代ではより平坦化されているように見える。
他ならぬディープ自身の残した血や他のSS系種牡馬との競合、育成スタイルの変化など理由は色々とあるのだろうが、母系のやや重たい部分が強く出ているのもあるかもしれない。
コントレイルは父・祖父や相手の牝馬の持つ良さをストレートに出していけるだろうか?
逆にキタサンはサンデーらしさとバクシンオーらしさが良いとこどりされてうまく出ている感がある。
以前noteの記事でも書いた通り、この傾向が次の代まで続くようであれば、見劣りする(ってほど悪い成績でもないが)兄ブラックタイドと歴史的名馬の弟ディープの血の逆転が起こるかもしれない。実際、歴史的には同様の現象はいくどか起こっているわけだし。
そういう意味ではAロダンの方がむしろ興味深い存在ではある。
30年後、日本では滅亡してしまったディープ直系が欧州で残っているなんてこともありえない話ではない。
その他にも産駒がデビュー前だったり現役のディープ産駒はまだまだいる。
それらがどう転ぶかは結果が出ないとわからんし、結局のところ、長期での直系の今後なんてわからないものだ。
ヌレイエフのラインとか代表産駒のシアトリカル・ソヴィエトスター・スピニングワールド・パントレセレブルではなく、地味なポーラーファルコン系が一番太くなっている。
全く期待されずに種牡馬となったディープ直孫が将来一番太いサイアーラインを築くというのもまた面白いが。

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