2024年新種牡馬レビュー

種付け数上位からざっと触れてきます。

ルヴァンスレーヴ
無事であればもっと実績を残していただろう馬の一頭。
まぁそれも含めて実力ではあるのだが。
早熟性、負かしてきた相手のレベル、ダイナフェアリーに遡る母系とポジれる要素が多く、料金150万円であれば種付け数200頭超えも納得。
同父のエピファが実績を上げているのも心強い。
芝ダート両面で実績を上げてもおかしくはないし、大滑りはあまり考えづらい一頭。

サートゥルナーリア
この馬自身は足りないところがハッキリとしているタイプだったが、必ずしも子供にそれが伝わるわけではない。
血統面は言うまでもなくスキがないし、キンカメ系の牝馬と欧州のノーザンDが濃い牝馬相手だとちょい気になるくらいで柔軟に対応できる。
ただ、何となくリーディングトップを争うほどの大成功するというのもイメージしづらいところはある。
このタイプの種牡馬のパイの食い合いは熾烈だから大物を早めに残せないと厳しそう。

ゴールドドリーム
十分すぎる実績は残しているのだが、何となく一歩足りないレースの方が印象に残っている。
まぁそれは種牡馬としてはほとんど無視しても良い要因で、何となく漂う血統のもったりとした感じが一番気になる所。母系がかのナンバー-スペシャルラインというのが拠り所か。
繋養先がレックスというところからして同父スマートファルコンがひとつの基準となるが果たして。

モズアスコット
日本におけるフランケル産駒スプリンターの雄。
芝・ダート両刀のところがセールスポイントだが、近年では特に珍しくもないので見栄えがする子出しが出来ないとジリ貧になりそう。
この馬自身はパドックなどを見る限り通常の気性難の範囲に思えたが、父の傾向からすると産駒は気性難が多そうだし、ニジンスキー・ミスワキ・ヘネシーとタフに重なる母系が吉と出るか凶と出るか。

ナダル
大物の予感を漂わせて早々に引退した星の数ほどいる米国馬の一頭。
父ブルーム、母父プルピット、母母父プレザントコロニーとここまでくれば逆にどうなるのか興味深い血統構成。
馬体は社台が買い付けただけあって確かに筋肉質でバランスが良く、種牡馬としては頼りがいがありそう・・・なのだが、こういうタイプはポカも多いからなぁ。
お笑い芸人のナダルとなるか、テニスプレイヤーのナダルとなるか。

タワーオブロンドン
同名のクールモアのステイヤーが活躍している年に種牡馬デビューというのは何の因果か。
こちらはダーレー組のコテコテのスプリンター。
父レイヴンズパス、母父ダラカニ、母母父サドラーからこんな馬が生まれるんだから世の中不思議。
それだけに種馬としてはもっさり感が拭えないが、母系は名牝系マルガレーテン。この血の駆け引きがどう出るのか。

フォーウィールドライブ
ナダルと同じ米国早熟タイプではあるが、こちらはより早熟性とスプリントに特化したタイプ。
現役時代の記憶は正直全くと言っていいほど無いが、写真や動画を見る限り米国マッチョマンといった感じ。
母系を見ても父アメリカンファラオを短距離志向に寄せた種馬になる確率は高いだろう。あとは産駒のレベル次第か。

ノーブルミッション
タタソールズGC、サンクルー大賞、英チャンピオンSと一級のGI3つも勝ってるのにフランケルの弟扱いされているのだから異常すぎる。
確かに怪物感は薄かったとはいえ、距離の融通やコースへの適応範囲は兄以上だと思うが。
血統はかのフランケル全弟、だからといって種牡馬成績も類似するわけでもない。
とはいえ、すでにコードオブオナーやノーボールズ出してるんだからこちらでも十分評価に値するのだが。
しかし、何となくフランケル産駒自体が日本の芝ではキレの面で壁がある馬が多い。そういう意味では兄とは違う方が良いのかもしれない。

ミスターメロディ
GI1つ以外は特に大きな勲章はないタイプのスプリンター。
受胎率があまり良くなく、正直特に見るべきポイントもないが、自身の特徴と同じく全体的に淡白な血筋は意外とハマるかもしれない。
父スキャットダディの系統は日本ではさほどなので、母系の影響を受けた変質に期待。

フィエールマン
ディープ産駒のステイヤーだが秋天で見せたように切れ味のある脚も持っていた馬。
大負けも凱旋門賞の馬場に対応できず文字通り沈んだくらいで中距離でもアベレージの高い走りをしていた。
ディープの後継不安説は今年のキズナやの爆発で解消の兆しがあるとはいえ、もう一頭くらいは近いレベルのがほしいところ。
まだコントレイルをはじめとする手駒はあるが。
母リュヌドールは日本に来ていた懐かしの馬。母系はコテコテのフランス血統だけに基本的には自身に似たタイプを多く出しそうではある。

ウインブライト
GIの壁に跳ね返され続けていたが、香港でのみ乗り越えた馬。
明らかに日本向きの瞬発力が足りなかったタイプだけに買いづらい。
父ステゴだが一時期流行したステマ配合でなく、母父アドマイヤコジーン。
母系も活力に欠けるので、早期に大物出せないと予後が厳しそうだ。

アドマイヤマーズ
仕上がり早の特化型マイラーだが、皐月賞でもそこそこやれたように柔軟性も無いわけではない。
古馬になってからは勝てなかったものの全くダメになったわけでもないし、もう少し人気出ても良さそうなもんだが。種付け料に割高感があるか?
父ダメジャーの有力後継候補はこれからセリフォスが続くわけだが先鞭をつけられるか。

エポカドーロ
父オルフェ唯一の芝GI勝ちの後継種牡馬。
なのだがいかんせん全体的なアピールポイントが弱い。
ダート方面の同父ウシュバテソーロはかなり人気になるだろうが・・・。
ただ案外父と同じくダートで好成績を残すタイプになるかもしれない。

以下注目馬

シスキン
キャリア途中までは無敗で来たものの負けた途端勝てなくなったタイプ。
この戦績では欧州での需要はあまり見込めないので大抵の内国産牝馬につけられる日本の方がまだマシか。
社台のバックアップがあるのはいいが、初年度は20頭につけて登録は7頭。
正直かなり厳しい手牌ではあるが・・・。

アルバート
ステイヤーズS3連覇のステイヤーだが速い脚も使えないわけではなかった。
そういう意味ではウッドマンの父系と母父ダンスインザダークの両方の特徴が出ている。
父アドマイヤドンはまだ芝ダート兼用タイプでGIクラスが少なかった時代において際立った成績を残しているし、特色が強く出ればどっちにも振れそう。
父の産駒は総じてスピードが足りなったが、母系はインティライミやサンバレンティン、ジオグリフなんかも属するアンデスレディー系で活力もありなかなか見どころがある。
とはいえこの頭数ではオーナーの寵愛がなければやってくのは厳しそう。

サングラス
こんな馬いたっけ?と思って調べてみたけどこんな馬いたっけ?としかならなかった。いくつかリアルタイムで見ていたレースもあるのだが・・・。
父スタテューオブリバティはサセックスS2着くらいしか実績らしい実績はないが、豪州で活躍したヘイリストを出している。
母系は戦前から続く伝統ある系統。
だから何だよ(by虎杖)と言われると困るが、天鳳を和了する位の確率で大物が出て血統が繋がることだってなくはない。

クワイトファイン
トウカイテイオー(ひいてはルドルフ直系)の後継として最後の希望を託された馬で一時話題になっていた。
オグリもそうだが、いよいよ人気馬の直系滅亡という事態が目前になってから祭り上げられるパターン。
直系の断絶は歴史の常とはいえ、強い思い入れを持つタイプのファンにとっては艱難なのだろう。
この馬自体は健康だけが取り柄としかいいようがないが、血統は昭和の日本競馬の歴史が凝縮されていてなかなかに趣がある。
しかし趣だけでは現代の競馬のスピードについていけるはずもなく。
わずか数頭の中から突然変異の大物を生み出せれば1000万馬券クラスの奇跡といえる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?