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ためらうことなく 「わるい王様とりっぱな勇者」 二次創作詩03

これも定期的に思い出す
しかも、あまり楽しくない
どちらかと言えば、思い出したくない
そんなこと

まだ赤子のゆうを
おくるみのまま、いだかされ
ゆうのパパ、伝説を作った勇者は
深い傷によって
その生きる灯火を
ほんの微風でかき消された
その時の、わたしの後悔よ

爪を立てて、腕を振るわなければ
何回ともわからない、ブレスによって
痛めつけることが無ければ
かたいムチの尻尾で
はたき倒すことをやめていたら
そんな傷が積み重なっていなければ

ゆうパパは、今も
ゆうの本当の父親として
この世界に居られただろう

罪滅ぼしとして
そんな気持ちではない
それではとても、間に合わない
だけれども
わたしが、ゆうを託されたわたしが
育てあげずして、どうするどうなる

暗く彩られた翳りの中へと
ゆうパパは消えていく
さぞや無念であったろうに
安堵の微笑みすら浮かべて

わたしは、どう逆立ちしたところで
ゆうパパにはなれない
だから
だからこそ
かりそめの”おとうさん”となった
生命を奪ったに等しい、そのひとの
娘をあずかり
”おとうさん”を演じるために

重たい
こころがひどく重たい

あとどれだけ、ゆうと
一緒の時間空間を共有できるだろう
それは、永遠なのかもしれないし
それは、数分後に終わるかもしれない

(繰り言を重ねて何になる)

わたしがわたしに問う
答えを、誰よりも良く知っているくせに

明日も、天候にかかわらず
ゆうを勇者の娘として扱い
”しゅぎょう”に付き合い、そして
いつの日にか手にするであろう
ゆうパパの剣を、眼前に構えて
悔いなく振るう
その練習を積んでいこう

わたしに向けた剣を
りっぱな勇者となった、ゆうが
ためらいなく振り下ろせるように
定期的に思い出して
わたしがその剣を
懺悔の証として、受け入れられるように

(画像はスクショより)

未熟者ですが、頂戴いたしましたサポートは、今後の更なる研鑽などに使わせていただきますね。どうかよろしくお願い申し上げます。