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音楽療法士の気になるお金のハナシ〜セッションの料金設定どうしてる?〜

フリーランス音楽療法士として仕事を始めるとき、いろいろ悩むことはあれど、ダントツ1位のお悩みがコレじゃないでしょうか?

セッション料金いくらにしよう?!

お金のことって、とっても大事なのに、学校では教えてくれないですよね?

誰かに聞こうにも、なかなか聞きにくいし、そもそも、気軽に聞ける音楽療法士が周りにいない。
検索してもイマイチ核心を突く記事には出会えないんですよね。

そこで、今回は結構攻めたお金のハナシをしてみます。
具体的な金額も例に挙げていくので、参考になるポイントがあるといいな♪と思います!


料金設定における重要ポイントは2つ

①自分が心から納得しているか

料金を決めるときに最重要ポイントは【自分が納得できる金額】を設定することです。
妥協や謙遜は抜きにして、心から納得できているというのが大切。

これは、単純に「欲しい金額を高額設定した方がいいよ!」という話ではありません。

例えば、やってみたかった新しい仕事に【経験値を上げるためにチャレンジする】とします。
その気持ちが最優先であれば、一般的に見たら低めの金額設定だとしても、十分に納得して受け取れると思います。

仕事の内容や目的によって納得できる金額が違うかもしれません。
じっくり自分と向き合ってみてください。

最初はどうしても遠慮してしまう気持ちがありますが、設定した金額に少しでもモヤモヤするようであれば、思い切って【本当に受け取りたい金額】を設定することをお勧めします。

その金額で受けてくれたクライエントには、感謝を持って対価に見合った価値提供をする努力を惜しまないと思います。それが、お互いにとって良い循環になるのです!

さらに、経験や学びを重ねて実力がついてくると、最初に設定した金額に対してモヤモヤしてくることもあります。
そのときは、遠慮なく値上げすればいいのです。

②地域の基準にも目を向ける

金額設定するときに、もう1つ参考にしたいポイントは【地域の価格基準】です。

訪問セッションの金額は、当人同士にしかわからないのでリサーチできませんが、

・自費での療育施設
・子ども対象の習い事
・高齢者対象のイベントや教室

など、自分が対象にしたいクライエントが、お金を払って利用するサービスの料金設定をいくつか調べてみましょう。

例に挙げたものは、音楽療法とは目的が違うものも多いので、その料金設定をそのまま真に受けて、合わせていかなければならないのではありません。
クライエントと同じような年齢層の方が【どんなサービスにいくら支払うのかを知る】ということが目的です。

私は、音楽療法にはそれ相応の価値があると思っています。
もし、働く地域で、音楽療法をしているところを見つけられなかったとしたら、あなたの作る音楽療法の価値基準がそのまま【地域の価格基準】になる可能性がある、ということを心の片隅に置いてください。

だから、「まだ自分に自信がないから」という理由で、あまりに安価な金額設定をするのはお勧めしません。
音楽療法の価値を下げることになるからです。
逆に、自分の価値観では「安すぎる」料金設定を見かけても、そこに合わせる必要はありません。
あなたの【音楽療法の価値】【納得のいく金額】で提供してください。
地域の価格基準を底上げできます。

先程、モヤモヤしたら値上げをすればいいと書きました。
でも、値上げするのは勇気がいるし、実際には言いにくいものです。
必要なときには遠慮なくすればいいですが、その機会は、極力少ない方が自分自身が過ごしやすいのです。

ケース別の注意点

①訪問セッション

訪問セッションは、謝礼をいただける相手が決まっているので、最初の金額交渉が大切です。
このときに、あとから「言った」「言わない」とならないように、きちんと金額の詳細を明記した契約書を作っておくと安心です。

例えば、同じ施設でも

・訪問1回 → 〇〇円
・1セッション → 〇〇円

だと、上の場合は1回の訪問で何セッションしても同じ金額になる可能性があります。
下の場合は、セッション回数✕〇〇円になります。

はじめは1セッションから始めるからと、上の契約しかしていなかった場合、あとから「他のグループもお願いします!」と言われたら……
嬉しい反面「ん?それって謝礼はどうなるの?モヤモヤ…」と素直に喜べないことになります。

追加セッションを依頼するときに、先方から謝礼を増やしてくれることもありますが、そのままの金額でセッションだけが増えることもあります。

どちらが正解というわけではなく、これも、自分が納得できていれば、どちらでもよいのです。
ただ、モヤモヤしないように自分の基準を決めて、しっかり契約しておきましょう。

②自分で場所を構えて提供する

自分で場所を構えて提供するときに、必ず考えておかなければならないのが【収益−経費=手元に残る金額】ということです。

そんなことは当たり前なんですが、最初の頃って、意外と経費に頭が回らなかったり、甘く見積もったりしたまま、料金設定してしまうことが多いです。

それでも、はじめはクライエントが来てくれることが嬉しいし、経験も積み重なるので、頑張れると思います。

ここでも大切なのは、【自分が納得しているか】【我慢せずに楽しめているか】です。

自分で運営するセッションの場合は、クライエントが【対個人✕人数】になります。
単価が安いと集客力が必要です。
また、値上げをするときは、1人1人に説明しなければなりません。
そのような先のことも考えて、はじめから、ある程度の期間モヤモヤせずに頑張れる料金設定をしましょう。

もし、最初から正規の価格で来てくれるか気になる場合は、

・期間と人数限定のモニター料金を設定する
・初回のみの体験価格を設定する

などのステップを用意するといいですよ。

具体的な金額の目安は?

①世間一般の平均額は?

さて、いよいよ本題です!!

音楽療法のセッションの相場はいくらでしょう?

先日発刊された、日本音楽療法学会ニュースの認定音楽療法士 就業状況調査(2022年度)報告によると、

〈報酬について〉
2022年度の1回あたり報酬平均額は5,950円(計算式:1回あたりの報酬額の合計額3,582,032円÷回答件数602)であった。
年度ごとにばらつきはあるが、これまで5,000円台後半から6,000円台後半の間で推移している。これまで同様、対象者人数が多く、実施時間が長くなるほど報酬額が高くなる傾向がある。(注:常勤職の場合は報酬が月給に含まれるため、ここに記した報酬額は主に非常勤・派遣登録・個人開業の回答から計算している。)

第46号
一般社団法人日本音楽療法学会ニュースp.13

だそうです!!


と言って、これで終わるなんてことはしません。安心してください。

この調査結果って、集団セッションも個人セッションも全部ひっくるめて平均を計算してくれてますよね?

例えば、同じ音楽療法士でも、
個人セッションは3000円でしていて、集団セッションは10000円だったら、平均は
【(3000円+10000円)÷2=6500円】
となるわけです。

私の感覚として、そんなもんなんじゃないかなー?と思ってます。

②一例として私の料金設定は

「具体的な金額も書く」と、最初に約束したので、私のこれまでの料金設定を参考までに公開します。

ここまで、シリーズで記事を読んでくださった方はわかると思いますが、私は学生時代から駆け出しの頃は、【とにかく現場経験最優先】でした。
ただ、社会人になってからは「音楽療法の価値は絶対に無償で提供しない!」ということだけは決めていたので、ボランティアでは受けませんでした。

当時の主な仕事の料金設定は、

・高齢者デイサービス 3000円/回
・生活介護施設 10000円/回
・個人セッション 3000円/回

でした。
「高齢者デイサービス、安くない?!」
と思いますよね?私も思います。笑

でも、当時はこれで全然良くって、そのまま楽しくセッションしてました。
ちなみに、高齢者デイサービスの1つは、前に書いた、【ボランティアから有償にしてくれた施設】です。
もう1つ、他のセラピストから引き継いで行っていた施設も、引き継いだ金額が3000円だったので、そのまま受けました。

また、生活介護施設も、前任からの引き継ぎです。

つまり、このときに自分で料金設定したのは個人セッションのみ。
その他の現場は、「お金をいただけるだけありがたい」と思い、何の疑いもせず【言い値】で受けていました。

その後、高齢者デイサービスは、自然に施設が閉じられたり、金額にモヤモヤしてきて交渉してみるも玉砕し、他者に引き継いだりしました。

生活介護施設は、仲介してくれていた福祉コーディネーターさんが価値を認めてくれて、数年後に値上がりしました!

そして、今、私は音楽療法を専門事業とした法人経営をしていますが、いくらで仕事を受けているかといいますと……

・訪問セッション(定期訪問) 15000円〜(同日に1セッション追加毎+10000円)

・訪問セッション(単発訪問) 20000円〜

・個人宅訪問 5000円

・個人セッション(当方へ来所) 3000円(初回のみ 4000円)

と設定してます。
これは、ホームページやチラシに載せているオープンな情報ですので、ここだけのハナシ……とかではありません。

また、この金額設定は、法人になる前のフリーランスのときから、大きくは変えていません。

他にも、ホームページをお持ちの音楽療法士さんは、料金を載せている方もいらっしゃるので、いろいろ見てみると参考になると思います。

ちなみに、私はいつもチームで仕事をしているので、上記の料金で最低2人のセラピストを保証します。
(個人セッションのみ、クライエントの状況を見て1人で対応する場合あり。)

もう少し私の話をすると、当法人が現在主軸としている事業は【音楽療法特化型の障害児通所支援事業所】です。
0歳〜18歳の子どもたちが福祉サービスとして、自己負担1割(公費9割負担)で音楽療法が受けられます。

また、法人としてスタッフを雇用しているので、スタッフのみんなには月給や時給を毎月お支払いしています。
私も、毎月役員報酬という形で法人からの収入を得ています。

音楽療法士は専門職であるという誇りを持つ

「音楽療法士は食べていけない」
とにかくその現実が嫌だ!と、私は常々思っています。

だから、フリーランスで私だけがどうにかやっていけるような働き方ではなく、音楽療法士になりたい若者たちが、やりがいを持って働ける職場を作っています。
そして、これを1つのビジネスモデルとして、共感してくれる人がいたら、各地に広げていってほしい。

同時に、常勤音楽療法士を雇用する施設や病院も、フリーランスでバリバリ活躍するセラピストも、どんどん増えてほしい。

音楽療法士が、多様な働き方の中から、自分で選択して、どの道を選んでも十分に生活が送れるだけの収入を得られる仕事であってほしいのです。

最後は熱く語ってしまいましたが……

音楽療法士みんなのために、1人1人が仕事に誇りを持って、決して収益に妥協しないこと。
そして、その収益を得るに値する【良い仕事】をしていくこと。

これが大切だと思います。

今回は、お金のハナシをしましたが、いかがでしたか?

参考になることや気付きになることがあれば幸いです♪


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