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おんなひとり、ふらり、旅。のススメ

私はこれまで、そんなにたくさんの旅をしてきたわけではないけれど、それでも数えきれそうな旅の中で、ルアンパバーンとバガンはとても好きな街になったな、と思う。

ひとが少ないのが、よかったのだろうか。川と私、遺跡と私。そんなシチュエーションが、ただ今は気持ちがよかっただけなのかな。

一人旅はさみしくないの、と聞かれるけれど、そうね、もちろん孤独はあるよ。けれどみんな、「なぜあなたは一人なの」と話しかけてくれるから、意外に口を開くことは、多くてね。

仕事柄、めちゃくちゃ社交性があるのでしょう、と思われたりするのだけれど、私はじつは知らないひとが、得意でない。みんながきっとそうであるように、人並みに私も緊張したり、警戒する。けれどそれは一瞬だから、誰にでもへらへらして、そうねだからたまに痛い目も見る。(物売りの少年に、遺跡の森の中を自転車で追いかけられたときは「やってもうた」と思った)

いろんなことを織り込んで、一人旅はとてもいい。

人生の中で、数ヶ月間をこんな風に使えることは、たぶんすごく贅沢だ。誰にでもできるよ、と言ったところでいますぐにすべてのひとがそれに乗り出せないのもわかるし、第一私はライターという職業と旅という行動を愛しているから、なまじすべてのひとがそれをしたいと思っていると思い込みがちだけれど。

そんなことはないということも、齢30目前になって、もう分かっている。

けれど言いたい。一人旅は、たのしいと。

気に入った遺跡のそばに少し座って、空の色が変わるのを見つめていたら、「ちょっといい?」と女の子の声がする。「私、あの遺跡に登りたいんだけど、あなた登れるかどうか、知っている?」。

わかる、私もあそこに登って夕陽が見たいと思っていた。けれど誰も登っていないの、きっとそこには登れない。……と言ってはみたけど、「あ、でも聞いてみないと分からないから、私ちょっと聞いてくる」と言って彼女を残して立ち去ってみる。

3分後に戻って、「やっぱり無理だって」と伝える。

「そっか」と彼女も言う。

数十分、ふたりで話す。どこから来たのかも、どこを目指すのかも、名前も国籍も聞かずに。そしてじゃあね、と言って別れる。

SNSがあるからといって、ひととひとの繋がりは、必ずしもそれで図れるわけじゃない。便利だけれど、必須じゃない。

今回の旅の特性上、特に前半の旅の半分以上はオンラインでいるのだと思っていた。けれど思う。どこかで完全にオフラインの2週間、20日間なども過ごしてみたいと。

日本人がバガンに来たら、たいてい2日か3日で去るという。7日もいるのは珍しいよ、とバイク屋のおっちゃんが言っていた。

とても好きな街だったけれど、もうすぐ行かなきゃ。なぜなら大幅に遅らせたヨーロッパ行きのフライトのチケットが、私の手元にはまだあるから。来週には、アジアを離れてイギリスから始めるヨーロッパの旅を始めよう。

まだここにいたいけど、知らない場所にもまだ行きたい。

あなたのことも好きだけど、まだ約束はできないの、という調子のように。

ふらりふらりと、旅がしたい。時にはきちんと向き合って、時には私がいないかのように、透明になるように。

バガンを離れて、ヤンゴン、バンコクと移動して、明日の夜にはインドのアグラへ。タージマハルが見えるホテルは、一体どんなとこかしら。

旅を始めて40日。ワンデーのコンタクトや、日本から持ってきた化粧水、日焼け止め、トリートメント。いろいろなものが、少しずつ減ってきた。


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