見出し画像

桜、ひらひら季節を変えて。つい「私も」と想うから

今までの暮らしが、解体されて、音を立てずにバラバラと崩れてゆく。ううん、崩れたんじゃない、崩したんだし、それは長らく私が思い描いてきた綺麗な未来のはじまりだった。

心は澄んで、そう、映画を観ているのに、途中からどうしてか音が聞こえなくなって、映像だけがただ淡々と流れていくような感覚で。スローモーション。

目の前の出来事たちを動かしながら、静かな胸で待つ。積み上げてゆく準備。

桜、ひらひら。毎年のように「春が来るよ」と告げて、皆が飽きる前に散って流れて、きみどりいろの、美しい葉を育んで消えゆくそれの波。

春が来る、春が来た。私ももう一度、生まれ変わって脱ぎ捨てて、違う季節を迎える準備をする。

イラナイモノは全部もう一度捨ててしまう。増やして捨てて、そうやって私たちは必要なコトやモノの純度を上げてきた。

おしゃれなカフェも、リノベのコワーキングも好きだけど、知ってる人にばかり囲まれていたり、オーナーとずうっと2人っきりだったり。そうゆう時間だけじゃなくて、都会のチェーンの雑踏の「匿名」の中で、誰にも気がつかれない透明な人になって、ただ雑務をこなすだけの私が好きなことも、本当は途中から知っていた。

脱いでしまおう。だって季節は、春なのだから。

四季の移り変わりのある国は、やはりとても美しくて便利に想う。だって、季節が変わったと実感できると、つい「私も」と思うから。そんな風に、誰かに押されるように季節の風が私を押す日があっても、たまにはいい。

春風に乗って、どこへゆこう。どこまでゆこう。たどり着く先が、あなただったらいい。

いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。