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命短し恋せよ乙女。2ヶ月後には30歳になります。

こんな田舎、出て行ってやる、と思っていた。都心と対比して使われる田舎、ではなく、産まれてから大人になるまで同じコミュニティで育ち、同じひとたちの輪の中で暮らしていくことが、私にはできない、と思ったから。

ませて小生意気な13歳だった。

この高校からきちんとした大学に行ってやる、と思った。3年生になると選択しなければ数学がなくなる学校だと3年生になってから知って、おぉまじか、と思って受験を決意した私は、8月の夏休みからセンター試験までの6ヶ月間、人生で初めて塾に通うことにした。

井の中の蛙というのは、18歳の頃の私を言うのだと思う。

好きなものに囲まれる仕事ではなく、好きなものを買える仕事に就こう、と21歳のときに決めた。留学を諦めた私は、できる限り心ときめく、合理的な就職活動をしようとして、結果4ヶ月で内定をいくつかもらって、一番給料の良い会社を選んだ。

その後私は、24歳で結婚を決めて、25歳でひとつ目の会社を退職、21歳のときに就職できなかった出版業界の扉をもう一度叩こう、と思って、大きな出版社のアシスタント職に就く。

その後は、もう何度も繰り返してきた通り、1本500円から兼業ライターをはじめて、それを本職にして今に至る。出版社を辞めて、ITベンチャーなるもの(なの?Waseiって)に所属するとは、13歳の私もびっくりだ(そう?)。

***

22歳で最初に配属されたのは、営業部だった。24歳で移動になったのも、営業部だった。最初は個人、代理店営業、移動後は法人、ソリューション営業。きっとそのままそこにいたら、営業としてキャリアを積んで、30歳を迎える今年には、昇進昇給家の購入なんたらかんたら、私も悩んでいたのではないかと思う。

心を決めたのは、20代をきちんと過ごそう、と思ったからだった。

月曜日に会社に行って、火曜日に会社に行って、水曜日も木曜日も

早く金曜日の夜がこないかな

と思っていた。

一番好きなのは土曜日の午前中だった。今日はまだ一日が長いし、夜はゆっくり眠れるし、明日もまだ一日ある。今日も明日も会社に行かなくていいんだ、というわくわくを愛していた。


それじゃいかんな、と思っていた。

10代、女子大生、20代前半の新卒社会人、というブランドと看板を背負って、世間一般のひとがそうであるように多少の恩恵を受けながら生きてきたんだと思う。

20代後半というのは、それが少しずつ変化して、じぶん、という軸で生きていかねばならなくて、そして30代になってからの土台を固めておくべき時期なのだ、と本能が言っていた。

月曜日を早く過ぎろ、と願っている場合ではない。

このままこの仕事で才能花開かせていくのには、私には勉強が足りない。朝も昼も夜も夏も 私の時間を注ぎ込んで、勉強をして、企画書を作って、アポイントをとって、営業をして

会社の看板を背負って 女性総合職の名刺を握って

20代後半のすべてをかけなければ、この部署は私に務まらない、と思った。


そうだからつまり、私はそこから逃げたのかもしれない。いっそ寿退社すればよかったのに、変に時期をずらして退職をした。今でも申し訳なかったと思っている。(このnoteをもし昔の同僚が見ていたとしたら、どう謝ればいいんだろう)


「辞めないほうがいい」
「辞めて後悔したひとをたくさん知ってる」
「辞めてどうするの」
「なぜ」
「いま」

いろいろな言葉をくれたひとたちに向かって、いま私が胸を張って言えることがあるとしたら、私はあのとき辞める、と言えてよかったと思っている、ということだ。

月曜日よ早く過ぎろと願っている場合ではない。20代は短いのだ。乙女の命だって短いし、私には子どもがほしいという気持ちもあるのだ。

今日が早く過ぎろではなく、今日も楽しかったな、と言って毎日を眠りたい、毎日を過ごしたい、と思った。

それを突き詰めたら、やっぱり文章を書くことだなぁ、と思ったのだ。


そうかそうか、今日は5月25日か。

私の誕生日は7月25日である。

もうあと、私の20代はあと丸2ヶ月の命なのか。


24歳で結婚を決めて、

25歳で入籍、挙式、退職。

26歳になったばかりの頃にふたつ目の会社に入って、

27歳で兼業ライターを開始。

28歳で編集長の肩書をもらって、編集・ライターを職にして

29歳で旅に出て、今私は取材をしながら本を書いてる。


そうか、あともう少しで30歳になるのか。

あんなに焦がれた文章なのに、違う夢が出てきそうでびっくりしているよ、29歳。


あと60日。別にカウントダウンはしなくていいのに。07:25という時計の表示を見るたびにどきりとしてしまうあの感覚に似て、5月25日という数字を見て、ひとり「そうね」と思う、ラオスの夜。

旅に出られて、本当によかった! 


いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。