旅ガールはいつだって「行かないで」を待っている
オーストラリア、エアーズロック。赤い大地と乾いた緑、雲の白と空の青のコントラストが美しい空を見ながら、小さなショッピングモールに向かう。
旅に出てから、いつも何かが心に引っかかっていた。
なんだかすべてがスムーズだ。うまくいきすぎていて、障害がない。
そして、さえりさんのブログの、ワンフレーズが心に残っていた。
寝ても覚めても「どうして誰もわたしを日本につなぎとめておいてくれなかったんだろう」と思っていた。
■引用元:仄かな孤独と清々しさ|SAERI BLOG
そう、分かる。どうして誰も私をつなぎとめておいてくれなかったんだろう?
いつものようにふわっと思って、初めて私、あぁそうかと思った。
旅ガール、と呼ばれて久しい。その間に私は、20代を超えて30歳になってしまった。
あぁそうか。旅ガールにとって、「行かないで」という言葉は旅のひとつのピースなのだ、と降って湧くように突然分かる。
行かないで、と言われたところで私たちは行かずにはいられない。あなたのそばにはいたいけれど。だけれどじゃあね、と言って旅先に足を向けるのだ。
でも、それでも。
「一度でいいから引き止めて」ときっとみんな心のどこかで思ってる。きらきらした旅路の中に、私をつなぎとめておいてくれる、何かを、
ずっと
求めてる。
なんで面倒臭い人種だろうと思う。素直に引き止めて、と言えばいいのに、言わせたところで守れないと分かっているから。
どうして世界は、私たちの心をこんなにも惹いてしまうのだろう。
見たことがない場所、話したことのない人たち、食べたことのないもの、歩いたことのない道。
もうそこは、五感をフルに活用しなければ無事には生き延びられないかもしれない、世界。
誰も責任を取ってくれない。他の誰でもない私が行きたいと言い、そして行くと決めたのだから。
ねぇけれど
旅ガールにも心の本拠地は必要なの
きっとこれから、私はそれを探しに、また旅に出るのだろうと
小さなショッピングモールで、先住民のアナングが私に笑う。心は違う場所にありそうだった。まだ旅は、あと数ヶ月残されている。
いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。