見出し画像

『経営者の孤独。』ができるまで【Huuuuの視点から】

先月、書籍『経営者の孤独。』がポプラ社から発売になりました。

こちらはもともと、ウェブマガジン「BAMP」上で2018年7月から連載されていたコンテンツ。そして、最初から書籍化を前提に立ち上げられたプロジェクトでした。

このnoteではHuuuuとしての視点から、プロジェクト開始〜書籍化までの裏側を紹介します。


「紙のBAMP」を作りたかった

連載が生まれた大きなきっかけは、Huuuu代表・徳谷柿次郎のツイートです。

これに著者の土門蘭さんが反応し、柿次郎にメッセージを送り……というのが書籍の「まえがき」にも書いてある流れ。

ただ、Huuuuとしてはその前からの流れもあって。

2017年後半くらいから、「BAMPで書籍を作りたい」と柿次郎がさかんに言い始めていました。新聞や雑誌の文章のような、しっかり読ませるインタビューを意識して作っていたBAMPの記事は、「小さな声」というコンセプトとも相まって、紙と相性が良さそうだ、と。

既存のBAMPのインタビュー記事をただ書籍化するハードルはなかなか高く、では書籍前提の連載を立ち上げればいいのでは……?となっていたちょうどその頃、先ほどのツイートからの動きが生まれました。


書籍化に向けたチームを結成

本づくりに向けて柿次郎が次に動いたのが、チーム作り。

まずは著者の土門蘭さんと共に、土門さんの担当編集者であり、Huuuuの周りで一番「本」に詳しいであろう柳下恭平さんが参加。

そして書籍化するには、最初から出版社の人を巻き込もう!と、当時から知り合いだったポプラ社の天野潤平くんに声をかけました。天野くんもテーマに食いつき、僕もBAMPの編集者として合流しました。

とはいえ、書籍の企画をポプラ社内で通すには、連載の反響が必要不可欠。というわけで、どのように連載を進めて行くかの話し合いを重ねていきました。


プレ記事だけど、世に出さないのはもったいなさすぎる

ここでチームの皆が考えたのが「経営者の方たちはアポを受けてくれるのかな…?」ということです。
何しろテーマが「孤独」。何もなしに「孤独について聞かせてください」と取材依頼をするハードルはさすがに高すぎるよね…と、プレ記事を作ることになりました。

そして土門さんのいる京都に、柳下さん、天野くん、柿次郎が集合。プレ記事用の素材として、柳下さんへのインタビューが京都で行われました。

連載や書籍を読まれている方は気づくと思うのですが、最初のインタビューとして収録されている柳下さんの記事は、そもそも世に出ない予定だったのです。

しか後日、土門さんから上がってきた原稿がめちゃくちゃ面白い…!これは世に出さないのはもったいなさすぎる!と、東京のかもめブックスで追加取材。その後、経営者の孤独の第1回として2018年7月に公開されました。

その後、クラシコムの青木さん、互助交通の中澤さんと月1本ペースで続いていきます。


連載は「生き物」だ

「経営者の孤独」はBAMPにとっても、ウェブ編集者になって日の浅かった僕にとっても初めての連載でした。そこで感じたのが、連載の「生き物」のような面白さです。

まず、回が進むごとに、土門さんの文体や筆致が深まっていくこと。抽象的なテーマである「孤独」を、読者と限りなく近い目線で掘り下げていく過程は、まるでルポルタージュのよう。地の文とインタビューが交互に差し込まれる記事構成も魅力的で、毎回の初稿が上がってくるのが楽しみで仕方ありませんでした。

そして、当初の予定とは良い意味で変化していったのも「生き物」だと感じた理由。4人目のわざわざ・平田さん以降、クラシコム・佐藤友子さん、HOTEL SHEの龍崎翔子さん、ハヤカワ五味さんと女性経営者が続きます。これは最初のラインナップ案にはなかった流れでした。

これは、インターミッション回の「自分ひとりの部屋」というキーワードが、その直後におこなわれた平田さんの取材でも偶然出てきたのを機に、土門さん・柳下さんから「女性経営者を続けて取材したい」と提案があったと記憶しています。

また、連載をチームで進めて行くことの魅力もありました。

たしかハヤカワ五味さんの取材のときのこと。「どうして取材を受けてくれたんですか?」という我々の問いに、連載を好きで読んでくださっていたこと、そして「この取材チームなら取材を受けたい」と思ったことを理由にあげてくださったのです。

経営者の孤独の取材は、基本的に土門さん(著者)、柳下さん(カメラマン)、僕(編集)の3名チームで動いていました。われわれ自身、同じメンバーで現場を重ねていく面白さを感じていましたが、取材相手の方にも魅力を感じていただけるのか、と新鮮に思ったのを覚えています。考えてみると通常の取材では、ライターやカメラマンといったスタッフに関して、先方からすれば誰が現場に来るかはわからないことが多いんですよね。

わざわざの取材の際、店舗スタッフのゴトウさんが店に入ってきたわれわれを見て「“孤独の方”が来ました〜!」と言ったのも印象に強いです。それ以来、土門さん、柳下さん、僕のメッセンジャーグループの名前は「孤独の方が来ました」です。


ウェブ記事としてもチャレンジだった

毎回1万数千字とウェブ記事にしては長い「経営者の孤独」は、BAMPの編集者としてはチャレンジングでもありました。

しかし、記事が公開されたあとの反響を見て、これでよかったんだ、と確信に変わりました。長さに関しては柳下さんや土門さんとも話し合いましたが、ウェブ記事の「理由のある長さ」について、「経営者の孤独」が教えてくれたように思います。

また、「経営者の孤独」は公開されるたびに感想をシェアしてくださる方も多く、ある種の「BAMPらしさ」の価値を作ってくれたコンテンツでした。

この後の書籍化にあたっても色んなエピソードがあるのですが……そこは書籍担当として奮闘してくれた天野くんの言葉のほうがいいでしょう(きっと彼も何かで書いてくれるはず!)。


最後にお知らせ

さて、ここまで書いた話は、あくまで僕の視点でのもの。土門さんや柳下さん、柿次郎からはまた別の話が出てくるはず。そんな書籍化までの裏側を語るイベントが、8月3日(土)に銀座蔦屋書店で開催されます。

まだ席には若干の余裕がありますので、当日飛び入りでの参加も大歓迎です! ぜひ明日夜は銀座へお越しください〜!

そして、書籍『経営者の孤独。』も絶賛発売中です。書店で、もしくはアマゾンなどネット書店で、お手にとっていただけると嬉しいです。


犬とビールが好きな編集者です。サポートいただいたお金で犬の民藝品を買います!