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ノースロンドンダービー直前特集

今年で185回を数える伝統の「ノースロンドンダービー」。10/1(土)日本時間の20:30に開園を迎える。グーナーの皆さんはノーロンの日が近づいてくるとまさに日々そわそわ、仕事などまるで手に付かず、時には武者震いを覚えるという程一年のうちで最も大切な日のうちの一つだろう。今回はそんなノーロンを迎える前に、ぜひ皆さんに知っておいて頂きたい事実、ノーロンの見方、楽しみ方をお伝えさせて頂くべく、「過去の名試合・名場面」「ノースロンドンダービーの有名なチャント」「トッテリンガムデーとは」の3つの観点から、がっつりアーセナル目線からノースロンドンダービーを紹介させて頂こうと思う。まさかいないとは思うが、もし今この記事を見ているあなたがスパ―ズサポだったら、今すぐこのページを閉じる事をオススメする。少々長い記事とはなるが、ぜひ最後までお付き合い頂きたい。それでは、COYG!!

ルーカス・ポドルスキ

【過去の名試合・名場面】

アーセナル 5ー2トッテナム (11-12シーズン)

まずはこちらのゲームから。試合は前半34分までにルイ・サハ、アデバヨール(PK)の連続ゴールでアーセナルが2点のリードを許す苦しい展開となるが、前半40分にアルテタの折り返しをサニャが頭で合わせ1点を返し、更にその3分後には、ファンペルシーが反転から技ありのミドルシュートをゴール左隅に沈め同点に追い着いた。後半に入っても勢いが止まらないアーセナルは、ロシツキー、ウォルコットと立て続けにゴールを奪い、終わってみれば「5-2」の大勝、ホームエミレーツで文字通りスパーズを粉砕してみせた。ちなみに筆者がこの試合をきっかけに本気でアーセナルを応援するようになったことはまた別談で詳しく語ることにしよう。

アーセナル 5ー2トッテナム (12-13シーズン)

あれ?またですか?そうなんです。この日、スパーズはまたやってしまったのです。この日も開始早々に先制に成功するスパーズだったが、前半17分にアデバヨールがサンティカソルラへのスパイク裏を見せる悪質なタックルで一発レッドを受ける。当然古巣サポーター(アデバヨールは2009年までアーセナルに在籍)からは大ブーイング、その横でベイルと小競り合いを起こすウィルシャー、試合はこれぞノースロンドンダービーという盛り上がりを見せる。その後は、数的有利のホームアーセナルがスパーズを一方的に攻め立てる展開に。メルテザッカー、ポドルスキ、ジルー、カソルラ、ウォルコットらが次々に得点を重ね、最終スコアは「5ー2」、なんかよく見る数字ですね、まあ気のせいか。ホームのアーセナルサポからは「It's happened again, it's happened agin~♪ Tottenham Hotspur, it's happened again♪」の大合唱。こちらのチャントについては後ほど詳しく紹介しよう。

アーセナル 4ー2トッテナム (18-19シーズン)

続いてはこちらのゲーム。開始早々に得たPKをオーバメヤンが沈め先制に成功するアーセナルだったが、セットプレーからダイアーに決められすぐさま同点に追い付かれてしまう。そしてここで事件が起こる。興奮したダイアーが派手にアーセナルサポを煽り、これに火が付いたラムジーがたまらずベンチから飛び出し応戦、両軍入り乱れる乱闘騒ぎへと発展した。更に調子に乗ったダイア―は、「お前はベンチに引っ込んでろ!」とラムジーに暴言を吐く、これが後に己に降りかかる恥ずかしい末路に繋がることも知らずに。その後PKしか取り柄の無いケインがPKを決め、スパーズがリードして前半を折り返す。後半に入りラカゼット、ラムジーをピッチに送り出したアーセナルが流れを掴み、早々にオーバメヤンのゴールで同点に追いつく。更にその直後、ラカゼットの放ったシュートが「ダイア―」に当たってコースが変わり、ボールはゴールに吸い込まれた。試合終了間際には「ダイア―」が尻もちを付いてる隙にトレイラが4点目を決め勝負あり。4-2でアーセナルが逆転勝利を収めた。この試合で途中出場から2アシストを記録し勝利の立役者となったラムジーは、試合後自身のインスタグラムで「あいつは俺に引っ込んでろと言った!(笑)」という言葉を舌を出した写真と共に投稿し、ダイア―を盛大に煽り返した。自身のゴールで意気揚々と吹っ掛けるも、ラムジーには特大ブーメランで煽り返され、更には自身も2失点に直接絡んでしまい、まさに大衆の面前で赤っ恥をかく結果となってしまったダイア―。因果応報とはまさにこのことか。

その時のラムジーの実際の投稿がこちら

アーセナル 3ー1トッテナム (21-22シーズン)

最後に、まだ記憶に新しいこちらの試合。この年、アーセナルは開幕3連敗を喫する過去最悪なシーズン開幕を迎えていた。しかし正直なところ、その時どれだけチーム状況が悪くても、ダービーにおいては全く意味をなさない。その試合にどれだけ全てを掛けられるか、それがダービーと言うものだ。時にダービーでの勝利が、チームの流れを大きく変える劇薬となる。
試合は、ホームアーセナルの勢いがスパーズを圧倒する流れとなる。前半12分、サカの折り返しをスミスロウが押し込みアーセナルが先制。続く27分にはワンツーで抜け出したスミスロウがドリブル突破、クロスボールにオーバメヤンが合わせ2点目。更に34分には、ハリー・ケインのコントロールのミスを見逃さなかったサカがドリブル突破から得点を奪い見事にカウンター完結、リードを3点に広げ、エミレーツスタジアムはお祭り騒ぎに。アーセナルサポからスパーズサポへ「Who are Ya? Who are Ya? Who are Ya?」の大合唱。ホームのアーセナルが、前半だけで完全に勝負を決めた。
この試合、再三に渡って活躍を見せたエミール・スミスロウとブカヨ・サカのアーセナルユースコンビ。この日、あの有名な「Saka&Emire Smith Rowe♫」のチャントが爆誕することとなった。
後半に入りスパーズが1点を返すも時既に遅し。ホームアーセナルが3-1の快勝を収め、ノースロンドンを真っ赤に染め上げた。

【ノースロンドンダービーの有名なチャント】

Stand up ! If you hate Tottenham

まずは誰もが知るこちらのチャント。「おい、スパーズ嫌いなやつはみんな立ち上がれ!立ち上がってみんなで歌おうぜ!」そんなチャントである。エミレーツでは誰かがこのチャントを歌い出すと、スタジアム全員が立ち上がる迫力満点なチャントだ。
ちなみにこのチャントはアーセナルサポに限らず、チェルシーサポ、レスターサポ、ウェストハムサポ、リバプールサポまでもが歌う。まさにプレミアリーグの嫌われ者スパーズを象徴したチャントだ。
いつかのFAカップの決勝で、チェルシーサポとアーセナルサポが敵味方関係無く一緒になってこのチャントを大合唱していたのが印象的だ。↓

Are you Tottenham?

続いてはこちらのチャント。意味は「あれ?お前スパサポなん?嘘だよな?え、まさかお前スパサポなん?おいみんな!ここにくだらないやつがいるぜ!」こんなところか。
ある日、アーセナルサポで賑わうバーに一人のスパサポが迷い込んだ。それを見つけたアーセナルサポがスパサポを取り囲み、「Are you Tottenham? Are you Tottenham? Are you Tottenham in disguise!」と歌ったのが始まりだとか。

We won the league at Shite Hart Lane

アーセナルの歴史を語る上では外せないのがこちらのチャントだ。訳すと「覚えてるかみんな?俺たちはあの年、あのなんちゃらクソ〇〇ハートレーンとかいうスタジアムで、優勝を決めたんだぜ!聞いてなかった奴の為にもう一度言う、俺たちはあの年、ホワイトハートレーンで、スパーズの目の前で、無敗優勝を決めたんだぜ!」
時は03ー04シーズン、そう、あの「インビンシブル」の年だ。無敗でリーグ戦を勝ち進んでいた首位アーセナルは、引き分け以上で優勝確定という条件でアウェイ、ホワイトハートレーン(当時のスパ―ズのホームスタジアム)へと乗り込んだ。試合は2-2の同点に終わり、アーセナルが宿敵スパーズの目の前でリーグ優勝を決めた。スパーズサポにとってこれ以上の屈辱は無いことだろう。以後、スパーズサポがどんなチャントでアーセナルサポを煽っても、「でも俺たちはお前らの目の前で優勝したことあるぜ?お前らはいつタイトル獲った?」と、このチャントで煽り返されてしまう、まさに最強のチャントとなった。

03-04シーズン、アーセナルはホワイトハートレーンで無敗優勝を決めた


④What do you think of Tottenham?

どうやらトモナリFCでは、このチャントが歌えない人は入団出来ない、という決まりがあるらしい。
ある日、北ロンドンに住む6歳のジャック君が「ねえ父さん、トッテナムって何?」と尋ねました。すると父は「Sh*itだよ」と答えました。ますます分からなくなったジャック君は「じゃあSh*itって何?」と聞きました。すると父は「それはトッテナムのことだよ」と答えました。それ以来、ジャック君を皮切りに地元の子供たちは「トッテナム=Sh*it」と覚えるようになり、今もそれを語り継いでいるようです。
もはやこのチャントに関しては説明不要だろう。アーセナルサポの間では、おそらく合言葉なようなものだろう。一応訳すと、「君ってグーナー?(What do you think of Tottenha?)」「ああ、そうだよ(Sh*it!)」こんなところか。
ちなみにアーセナルの最高傑作ことジャック・ウィルシャー大先輩が、FAカップの優勝セレモニーでこのチャントを歌ったことはかなり有名な話だ。


⑤When Tottenham fu*cked it up, we gonna have a party

グーナーの皆さんは、ノーロンに勝利した夜はビールを片手にぜひこの歌を歌ってみてはいかがだろうか。「みんな!スパーズがFu*ckしたぞ!そんな日は、みんなでパーティーだ!さあみんなパーティーだ!歌え歌え!」訳としてはこんなところか。実はこのチャントは同じロンドンを本拠地とするウェストハムのサポーターがよく歌うチャントだ。スパーズにとてつもない敵対心を持っているウェストハム、直接対決に勝利した夜のハマーズサポはまさにお祭り騒ぎになるようだ。
以前筆者が、現地のハマーズサポとTwitter上で会話する機会があり、「ウェストハムにとってスパーズとは?」と尋ねてみると、「ああ、俺たちはあいつらが大っ嫌いだよ、理由はよく分からないけど、とにかくみんなスパーズが大っ嫌いなんだ」と返って来た。ちなみに「アーセナルについてはどう思ってるの?」と聞いてみると、「スパーズを共に倒す仲間さ、特に何とも思ってないよ」と返って来たことからも分かる通り、ウェストハムはスパーズがとにかく大嫌いなようだ。ちなみにチェルシーのホームでは毎試合選手入場に合わせて「We hate Tottenham!Chelsea!」とチェルシーサポが大合唱している。とにかくロンドン中から嫌われてしまっているスパーズのようだが、ロンドンの細かいライバル関係についてはとても興味深いので、また別の機会で記事にすることとしよう。

⑥It's happened again, it's happened again, Tottenham Hotspur, it's happened again

最後にお待ちかねのこちらのチャント。訳としては「あれ?お前たちまたやっちゃったの?また負けちゃったの?ハハハハハハ!デジャブじゃないよね?君たちはいっつもこうだよね?(笑)」こんなところか。先ほど紹介したように、11-12シーズン、12-13シーズン、何の巡りあわせか、アーセナルはホームでスパーズを「5-2」という全く同じスコアで2年連続で下した。その時にアーセナルサポが「あれ?どこかで見た光景じゃね?また負けちゃったのスパーズ?(It's happened again,it's happened again,Tottenham Hotspur,it's happened again)」と盛大に歌っていたのがこの曲だ。それ以降は直接対決以外であっても、スパーズは試合に負ける度に「It's happened again」と煽りを受けるようになってしまったようだ。更に悲劇は続き、アーセナルが煽れば当然ウェストハムもそれに乗っかる。ウェストハムがスパーズに勝利した際に、公式Twitterは「It's happened again」と添えて勝利を報告した。試合に負けた日のスパーズ公式Twitterを見ていると、「It's happened again」とリプが来ているのをよく見かける。このことからも分かるように、恐らく「It's happened again」は「スパーズがまたやらかしたってよ」という感じのプレミア共通の煽りスラングになっているのだと読み取れる。

It's happened again(意味:スパーズまたやらかしたってよ)

最後に、かつてアーセナルの守護神を務め、現在はセリエAのユベントスでプレーするポーランド代表GKヴォイチェフ・シチェスニーが、以下のような動画を残し話題となった。どうか笑わないで見てあげて欲しい。

【トッテリンガムデーとは】

皆さんは「聖トッテリンガムデー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。知らないのも無理はない。なぜなら、ここ数年アーセナルはこの「聖トッテリンガムデー」という言葉を口にすることができていないからだ。ご存じの方も多いかと思うが、かつてアーセン・ヴェンゲルがアーセナルを席巻していた頃、アーセナルは何年にも渡ってスパーズより上の順位でシーズンを終える事が当たり前となっていた。アーセナルサポはシーズン終了後、今年もスパーズより上の順位でフィニッシュしたと祝い、ラザニアやチキンを食べる事を習わしとしていた。これが、「聖トッテリンガムデー」だ。
15-16シーズン、そう、あのミラクルレスターが優勝を飾った年だ。最終節を残して2位スパーズが勝ち点70、3位アーセナルが勝ち点68の2ポイント差。最終節の相手はスパーズがアウェイでニューカッスル、一方のアーセナルはホームでアストンビラ(AVFC)。既に降格が決定していたニューカッスルにスパーズが負けることなどまず無いと思われていたこの試合、蓋を開けてみればスパーズはニューカッスルに1-5の惨敗、一方アーセナルはこの日が引退試合だったアルテタのメモリアルなゴールもあり、4-0でアストンビラを下し、最終的にはアーセナルが勝ち点71でスパーズをかわし2位でフィニッシュした。ホーム最終戦を見守っていたアーセナルサポは、他会場の結果が電光掲示板に映し出されると、もちろん「It's happened again♫」の大合唱、盛大にトッテリンガムデーを祝ったのであった。

It's happened again


【最後に】

いかがだっただろうか。ノースロンドンダービーの魅力を語ればキリが無いので、今回はこの辺にしておくが、勝てば天国、負ければ地獄、勝てば半年は笑って過ごせ、負ければ半年を後ろめたい気持ちで過ごさなければならない、それがノースロンドンダービーと言うものだ。もしかすると、グーナーにとっては、ノースロンドンダービーはCL決勝よりも重要な試合なのかもしれない。アルテタが現役だった15-16シーズン以来、トッテリンガムデーを祝えていないアーセナル。首位で迎える今年のノースロンドンダービーに勝利して勢いに乗り、シーズン終わりにはみんなで笑ってチキンを食べたいものだ。North London is Led‼️COYG‼️

【おまけ】

ノースロンドンダービー歴代ベストゴール
13-14シーズン:トマス・ロシツキー
これまで数々の名勝負、名ゴールが生まれてきたノースロンドンダービーだが、個人的なベストゴールは、13-14シーズンのロシツキーのこの弾丸シュートだ。ロシツキーはこのゴールを含めノースロンドンダービーでたくさんのゴールを決めて来たまさに「ノーロン男」だ。ラカゼット(ロシツキーの次のノーロン男)が去ってから初めて迎える今年のノースロンドンダービー。新たなノーロン男に名乗りを上げるのはいったい誰になるのか!注目してみよう!

文/No.⑦

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