すべてがめんどくさい

それをいっちゃーおしまいよぉ!

と、寅さんなら言うだろうか。あたしが一応は女子ならば、そのあと元気づけてくれるだろうか。酒でも酌み交わしつつ?

などと思ってもあたしは元気だ。ひゃっほー。ほらね。

違う。

めんどくさいのは、あたしの頭の中だ。


建築関係の友達の家に遊びに行ったら、超穴場で超素敵な家だった。ほとんど手作り。古い家を自分で改造して住んでる。
バス・トイレがついてないのが玉に傷…ってそれ傷どころか大変だったけど、まぁ掃除すべき場所が少ないのはいいっちゃいい。

むちゃくちゃシンプルな空間だったので、自分のとっ散らかった部屋に帰ってきてから、そのあまりの煩雑な様に文化の差、のようなものまで感じてしまったが、人の部屋はやはり人そのものだという気がして、引っ越したらムードを変えようと決めた。

夜。

屋根に登って遊んだ。子供の頃みたいで楽しかった。
今にも落ちそうなトタン屋根をおそるおそる歩いて進んでいると、足場のトタンがなくなってもまだ先へとそのまま歩いていけそうな気がして、その地面から5~6メートルは確実にある屋根の上からつい地面へぴょんと飛んだりしてしまいそうで、自分を抑えるのに努力しなくてはならなかった。
商店街の上を歩くなんて、かなりエキサイティングな体験だ。
遊ぶといってもこれといって何もせず、小鳥やネコみたいな感じで行き止まりの屋根にとまって、ぼーっとしたりとりとめのない話をしたり、黙りこくったり。
そーゆー感じを遊ぶと言えるのがあたしも同じ感覚だなーと、あたしはぼんやり思った。

かわいらしく一緒に寝た。が、なぜかあたしは一睡もできなかった。


引っ越す。
もうしばらくは会わないだろうけれど、一時仲良く遊んで人間的に好きだった人たちともう一回会っておこうと思って、こうして軽く旅のような毎日を送っている。

疲れるけれど、とても印象的な日々だ。

多分、何年かたって何かの拍子に思い出した時、それが夢なのか現実あたしの思い出なのか、それすら分からないであろうというくらい、気を抜いたらなんてことなく忘れてしまえる変わった時間なんだけれど、あたしはそれを忘れたくないのでその空気の核を食べて昇華したい。

その前前日、映画「バベル」を見に行った。
いつも映画を見に行く友人、というか知人なんだけれど、観た後の感想があまりにあたしと正反対なので、ショックだった。
彼女は「興味無い、早く帰りたかった」
と遠慮なく言うので、あたしには気を使ってないということと、あたしとは根本的に違うところがある、ということが分かった。

あたしはバベルについてたくさん話したいことがあったのだが、興味の無い人と話すのは無理だ。

だれか~観た人話そうぜバトろうぜ~という気持ちでいっぱいだ。

もう少し楽に生きていきたい。混迷の世、は、太古の昔からこれからもずっと続くのであろうし、あたしひとりが少々気を使ったところでどうしようもないのだ。と思った。

共感、というのはなかなか難しい。あんまりない。
でも、夜の屋根はよかった。うまく言えないけど、よかった。
そういうところで人を好きになれる自分を、誇りに思えるほど。

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