小さな酒場の大きな特権。

あがりこぐちという小さな酒場をはじめて、もう少しで半年が経とうとしています。これまで、多くのお客さんにご来店いただき、少しずつお店らしくなってきました。ありがとうございます。

少しずつ、ご来店いただけるお客さんも増えてきて、毎日、同じ光景がない日々を過ごしています。そんな日々を過ごす中で、小さな酒場だからこそ得られる大きな特権があることに気がつきました。

あがりこぐちはカウンター5席、テーブルが4人席が2つあり、合計13席の小さな酒場です。店内もお世辞にも大きいとは言えず、こじんまりとした可愛らしいサイズ感のお店です。席につくと、隣の人との距離感が結構近い。
座る時には「お隣、失礼しますね」とお客さん同士で優しいやりとりがされていきます。

それだけ、小さな店。そんな小さいお店だからこそ、起こりうる出会いがあったりするものです。


ある日、常連さんが2組、ご来店してくださりました。1組は隣町にお住まいで、月に2回ほど遊びにお越しいただいてる1名の若い男性Hさん。もう1組は大体3~4名ほどで土曜日になると来てくださる男性集団のNさん。
この日は、珍しくカウンターも満席で、Hさんはテーブルで1人。Nさんたちは3人でテーブルにおすわりいただきました。僕の力量不足もあり、ご注文をさばいていたため、テーブルで1人になってしまっているHさんとお話することができないでいました。

鶏の唐揚げのご注文をいただき、厨房でせっせと唐揚げを揚げて、別のお客さんにお持ちしに、ホールに出ると、HさんとNさんが一緒のテーブルになって飲んでいました。しかも、すごく楽しそうに。

僕「Hさん、Nさんと知り合いだったっけ?」

H「いや、はじめてだよ。1人寂しいんで一緒にいいですか?って聞いたら飲みましょう!ってなって合流させてもらったんだ。」

N「楽しく飲んでます!あ、マスター、レモンサワーおかわりで!」

いつの間にか、すごく仲良しになってた二組の様子を見てると、こっちも楽しい気持ちになり、そのあと幸福感につつまれながら営業をしたのを覚えています。

二組とも、いつも来てくださる常連さんたち。その常連さんたちが、うちのお店で出会って、仲良くなって、「また一緒に飲みましょうね」と再会を約束しあう瞬間を見ることができるのは、本当に仕事をしていてよかったなと身にしみました。

この店がなければ、出会わなかった人たちが出会い、友達になって、また再会するという、この流れを作ることができるのは仕事をする上での特権です。


きっと、お店の大小に関わらず、それぞれのお店ごとにそういったお金以外の特権があると思います。もちろん、利益を考えることは経営をしていく者として、非常に大切なことです。それを忘れてはいけません。ただ、お金という利益だけではなく、お客さんの暮らしにとって少しでも楽しい時間を過ごしていただけた!であるとか、新しい出会いや学びがあった!というような、お金以外の価値も考えていくことが大切だと思います。

このような特権を得ることができたことが、非常に嬉しく思います。そして、この特権を一緒に作ってくださっているあがりこぐちに関わってくださるみなさまにお礼申し上げます。

この出会いの瞬間を、ぜひ、皆様も目撃したり、体感してみてください。
結構、ハマりますよ。


記事を読んでいただきありがとうございます。ただいまお店は長期休業中のため、当店のレモンサワーを封印しております。店舗継続のため、もし記事を面白いと思っていただけましたら、サポートをしていただけると嬉しいです。