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【経験値=数100店舗】回転・非回転寿司店の見定め方(店選び・入店〜退店)

のべ数百店舗、南関東にある回転寿司屋さんと回らないお寿司屋さんを(客単価3000円程度を中心に)食べ回り。

その結果、同じ会社が経営する店舗でも、お店によって良し悪しがあることがわかりました。

私の個人的な意見ですが、正直、サービスは何でもいいと思っています。

(このご時世、極端にひどい接客をする人はほとんどいないですし)

飲食店は、「味」と「清潔さ」がすべてです。

サービスが悪くても私には何の損もありません。無関係です。店員さん本人の問題にはなるでしょうけれども。

なので、今回は「味」と「清潔さ」を焦点に、お寿司屋さんの見定め方を、私がお寿司屋さんを訪れるときの流れに沿って細かくお伝えできればと思います。


***


【目次】
1.店選び
2.入店前
3.入店時
4.着席時
5.注文時
6.食す時
7.退店時


◇◇◇


【店選び】

まず大切なこと。

ネット上の悪い評価はまったくあてになりません(良い評価もあまりあてにはしませんが参考程度に)。

こんなことがありました。

会社に熱量100%のクレームが入り、当然社長は激怒、当該店舗が完全に吊るし上げられる。

しかしそのお店は、その前もその後も(食べに行ったことがあり、一件後にも食べにいきましたが)普通に良いお店です。

大人の事情、怖すぎます。

その時だけたまたま問題があったのかもしれませんが、「人の評価は当てにならん」と痛感しました。

私のように「客側の立場ならサービスは必要最低限でもいい」と思う人は、なおさらそう。

お店に対する悪い意見の大半は、サービスに対して向けられます(人間にはそういうところがあるようです)。

外食をする際に特に大切な「味」にはあまり触れられていないレビューが多いので、参考外です。

(「不快な思いをしたから二度と行かない」はもちろん正論です。私はサービスが必要最低限でも不快には思わないということです)

ネットで情報を調べるならば「ぐる○び」や「食べ○グ」を利用する方が多いと思いますが、チェーン店は情報が使い回されていることが多く、あまり当てになりません。

情報サイトは「個人店」を調べるときには便利ですので、隠れた名店を探したいときに利用します。

しかし(特にチェーン店)は、ネットの情報だけでお店の良し悪しを正しく判断することが難しいです。

お寿司屋さんは、とりあえず行ってみないことには判断できません。

なので、まずは気になるお店に目星をつけ、その上で「近隣のお寿司屋さん」も併せてリサーチしておいてください。

行ってみても、ダメそうなら入店しなければいいだけです。

お店の外を見ただけでも、お店の営業状態がなんとなくわかることもあります。

「こりゃ、無理だ」

と、入店直前にわかることも(じつは)少なくありません。

それはもちろんサービスではなく、「味」と「清潔さ」に関する営業状態です。

寿司は、丁寧な仕事によって味を良くする(悪くしない)料理です。

丁寧な仕事のできる人がいるお店は、その丁寧さが店外にもにじみ出ます。

そういった部分の見定め方も以下でお伝えします。


【入店前】

けっこう色々見ます。

まず駐車場や店の入り口付近のゴミ。

一般に、飲食店は「お手洗いの鏡のきれいさ」に良し悪しが出ると言われます。

掃除への意識の高さがわかるからです。

お寿司屋さんは生ものを扱いますので、清潔さは他の飲食店よりも重要。

そういう意識があるのかないのか、チェックします。

それに、不潔さで食欲が削がれた状態で美味しいものを食べることほど悲しいことはありません。

ゴミや入り口のガラス、灰皿など、「掃除」の仕事が関与するポイントは要チェックです。

次に、「楽しそうに(前向きに)働いている従業員が多いか」も見ます。

これは非常に大切なことです。

仕事に対する前向きさがある人は、ほぼ確実に「お店の売上」を意識します。

お店の売上を上げたいと思うと、仕事に対してよりやる気を見せるはずです。

(お寿司屋さんにおいては)そういう気持ちが「味」を良くします。

お寿司屋さんは、板前の技術の高さよりも「食材管理」の精度が味を決める飲食店です。

なぜなら、大半の寿司ネタが「魚をさばいて切ったもの(本来の味)」または「セントラルキッチンや加工業者で製造したもの」だからです。

プラスをつくるより、マイナスをつくらないことの比重が高い仕事だからこそ、従業員(主に板前)の前向きさを見ます。

笑顔がはじけていたり、元気な様子だったり、そういった明るい印象を受ける従業員がいれば、期待できます。


【入店時】

静かに入り、静かに待ちます。

ここはサービスの領域ですので、あまり見るところはありません。


【着席時】

見所の宝庫です。

1.メニューの汚れ
2.お湯の蛇口や排水口の汚れ
3.ネタのケースの汚れ
4.板前の周辺が整理されているか
5.板前が使用するさらしの色

着席した瞬間から直後の印象が悪くて、その後に回復することはほとんどありません。

(1〜2が該当する)客席は多くの人が使用するので汚れやすいですが、「(お客様が座るので)最も掃除しなければならない箇所」です。

客席から見える箇所は、必要最低限の掃除すべきポイント。

それすらできていないお店は、掃除に対する意識が低いと思います。

注視してみてください。

また、(3〜5が該当する)板前の所作や日頃の管理に関するポイントも大切です。

板前には、最低限のマナーがあります。

1.まな板を真っ白のまま維持する
2.整理整頓をきちんとする
3.真っ白な白衣を着る
4.清潔なさらしを使う
5.自分の持ち場を掃除する
6.手水をこまめに変える

この6つです。

これらは板前のマナーです。

基本中の基本です。

できないと、笑われます。

にもかかわらず、できない板前はけっこういます。

寿司の「味」をつくるのは板前です。

なので、板前の質の高さを見ることはとても大切です。

板前の技量をこの段階で見抜くことは難しいですので、板前の仕事ぶりを「マナー」で評価します。


【注文時】

その日の「おすすめ」を見ます。

良いお店は当日に納品された魚を、悪いお店は先入れ先出しを考慮した(前日の)魚を売ろうとします。

お寿司屋さんは、当日の鮮魚をその日のうちに売り切ることがとても大切です。

鮮度が命だからです。

なので、お寿司屋さんには(朝にすべての魚を仕込むことが前提ですが)夜よりも昼に行くことをオススメします。

(そういった昼と夜で魚の鮮度に差が出ることはお寿司屋さんの悩みのひとつです。白身の魚のように鮮度が落ちにくいものはあまり変わりませんが、アジやイワシ、赤身の魚のような鮮度の落ちやすいものは朝と夕方前の2回に分けて仕込みをするお店もあります/私は絶対にそうするべきだと思います)

寿司ネタの色を見れば、当日さばいたものなのか、前日のものなのか、わかります。

くすんだ色をしていたら鮮度が悪いです。

魚は空気に触れることで鮮度が落ちます。

カツオやブリのように血合のある魚(カツオは血合を取ると思いますが)は特に鮮度が落ちやすいです。

お寿司屋さんに行く時間帯は、そのお店の仕込みの状況等を推察した上で、決めるのがいいと思います。

初めて行くお店であれば、私なら昼を狙って行きます。

ただ、開店直後は避けたほうがいいかもしれません。

開店直後は、汁物がいまいち(なことが多いです)。

特にあら汁は、完成してからの時間が短いと出汁が出きっておらず、味が薄い(深みがない・さらっとした)ものが提供されがち。

ちょっと、いやかなり、残念です。

あら汁において、肝心なのは汁。

具は、正直あってもなくてもどちらでもいいです(私の個人的な意見です/汁だけ派)。

あら汁の美味さと寿司の美味さは比例関係にあると思っています(魚の質=あら汁の味)。

あら汁の美味しさを正当に見極めるためにも、美味しいタイミングを狙うことは大切だと思います。

あら汁が仕上がるのに必要な(寝かせる)時間の目安は“1時間半〜2時間”。

なので、開店後1〜2時間を目安に来店することをオススメします。

魚をさばいた直後でなければ、魚の鮮度と味はそれほど落ちません(半日経つとけっこう落ちてきます)。

その点も加味して、お寿司屋さんには昼の1〜3時の間に行くのが狙い目です。

私は待つのが嫌いですので、お客様の数が減り始める2時頃を目安に行くようにしています。

その上で好きなもの(食べたいもの)を注文してください。


【食す時】

1.ネタの厚さ
2.ネタの色
3.握り込んでいるか

口に運ぶ前に見るポイントはこの3つ。

(1)寿司ネタの多くは、厚さがないと美味しくありません。

板前には、ネタを大きく見せるために薄く広く切ることが染み付いている人もいます。

厚みは、少なくとも3ミリ以上。

そのあたりは、食べて(食べ比べて)みるのが1番わかりやすいと思います。

(2)前述しましたが、ネタの色を見ると鮮度がわかります。

大まかに言うと、明るみが強ければ鮮度が良く、くすんだ色をしていれば鮮度が悪いです。

トビウオのようにその身自体がくすんだ色をしているものもありますが、だいたいの寿司ネタはそれで鮮度を見抜けます。

(鮮度は、「〆てからの時間」を意味することが多いですが、お寿司屋さんでは「さばいてからの時間」と捉えてください/ネタの鮮度)

(3)シャリにネタを乗せるだけのお寿司屋さんが増えてきていますが、お寿司は握り込まないと絶対に美味しくなりません

なぜなら、握り込まないと噛んだ瞬間にネタとシャリが絡み合わないからです。

乗せただけのお寿司では、口の中でネタとシャリを同時に、かつ別々に食べているような感覚になったことはありませんか?

美味しいお寿司にするためには、ネタがシャリに密着し、ネタがシャリを包んでいる状態が必要不可欠です。

板前がいるお店でも、握りが甘いことがあります。

それを見極めるポイントは、「お寿司の脇(長い方の側面)」です。

脇(ネタの脇側の部分)が絞まっている(密着している)お寿司は、しっかりと握り込まれている証拠です。

ぜひチェックしてみてください。

それら3つのポイントを見ることによって、「美味しそうに見えるお寿司」を正しく判別できるようになります。

「わ〜、美味しそう!」

と聞こえてお寿司を見て、「いやいやいやいや」と思うこともあります。

美しいお寿司とは、食べたときに最も美味しい状態のお寿司です。

「(相対的に)美味しいお寿司」がわかるようになると、「(絶対的に)美味しいお寿司」がわかるようになります。

美的感覚も、味覚も、同様に仕上げていくものなのかもしれません。


【退店時】

帰り際には、お店の中や従業員ではなく、自分と向き合います。

「いま、どんな気持ちか」

美味しいお寿司をひたすら食べたあとの満足感は、とても大きなものになります。

食後の自分と向き合うことで、そのお店が自分にとって良いお店なのか、そうでもないお店なのか、わかります。

自分と向き合うタイミングは、お腹一杯になった瞬間がベストです。

「味」をもって自分の感覚がどうなったのかがわかるからです。

美味しいものを食べるために飲食店に行くのであれば、味こそすべて。

ちなみにですが、私が食べに行く飲食店を決める絶対的な条件があります。

「百貨店の食品売り場で取り扱っているレベルの食材を私自身が調理して完成する料理よりも美味しいこと」

が、絶対条件です。

家では食べられない質のものを食べられてこそ飲食店です。

あくまでも持論ですが。


【まとめ】

お寿司の美味しいお店はけっこうありますが、客単価2000〜3000円程度のお店に絞ると、だいたい1〜2割ほどでしょうか。

お寿司屋さんにおいては、会社としての取り組み(質の高い魚・鮮度の良いまま届ける等)と、板前の意識の高さが完全に味に直結する要素です。

なので、色々なチェーン店に行ってみて、食べ比べてみることをおすすめします。

「チェーン店に行く→光るものを感じた→他の店舗にも行ってみる→より良いお店を見つける」といった流れで、自分に合うお店が見つかると思います。

ちなみにですが、私は最終的にひとつのお店にしか行かなくなりました。

お寿司を食べるならココ、というお店が見つかったので。

「あれこれ考えてお寿司を食べるのが楽しい」とのご意見をいただきましたので、今回の記事を書かせていただきました。

人の感覚は、十人十色。

だからこそ、自分にとって価値あるお店は自分自身で見つけるしかありません。

楽しみながら、探してみてください。

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