1,自助グループの夜明け前

 時は90年代後半、20年以上前。
自分が初めて「性別違和」や「トランスジェンダー」といった言葉を知り、集まりに行き始めたのがその頃でした。
 
 元々、セクシャルマイノリティの方々にインタビューをした本を読み、その中のお一人にパソコン通信で連絡を取ったのが、集まりに顔を出す更に2年ちょっと前のことでした。
 ご本人とは直接お会いできなかったのですが(ご本人は関西在住、私は関東在住)他の当事者の方がわざわざ逢いに来てくださり、そこで教えていただいたのが、その当時虎井まさゑさんが発行していたミニコミ紙「FTM日本」でした。
 まずは、「FTM日本」を講読し始め、実際に男性として社会で生活している人(その頃のロールモデルといえばおなべ=水商売をやっている人ぐらいしか無かったのです)を知り、またFTMを研究している人もいるなど、ひとくくりにFTMと言ってもいろいろな人がいる人をそこで初めて知ったのでした。
 そのぐらい情報がない時代に、何とか情報に繋がることが出来たのは今でも幸運だったと思っています。

 ある時、FTM日本と一緒にライターの方がトランス当事者の話を聞いて本を書きたい。そこでインタビューをさせてくれる人を募集しているというチラシが入っていました。それが、その後自分が自助グループを運営するきっかけになるとは思いもせず、ただ単におもしろそうという理由でインタビューを受けたのでした。

その方とのインタビューを外で何度か受けた後は、自宅で今までインタビューをした人を呼んで飲み会するからとお誘いを受け、その方の自宅で飲み明かすことがたびたびありました。

そこで、ほかにインタビューを受けた方々とも交流が生まれたのです。
今考えると、自分の自助グループの原体験とも言える体験でした。

 

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