入院生活で食べず嫌いが治る

 八月十七日(水)大沢

 子どもの頃から乳製品が嫌いだった。しかし入院してからは毎朝ヨーグルトを食べている。朝食に必ずついてくるからだ。そして今ではデザートとして、何の躊躇いもなく食べている。

 初めは魔が差したとしか思えなかった。なぜ食べようと思ったのかも憶えていない。いつもは手をつけずに残していたヨーグルトを、気づくと右手に持っていた。そして左手にスプーンを持ち、何かに操られるように口に入れた。食べてみると口の中に何ともいえない酸味が広がり、飲み込むと自然と笑みがこぼれた。

 食後三十分が経過した頃、腸の中で乳酸菌が活躍するのをはっきりと感じた。みなぎる血潮、ほとばしる汗。

 恐るべきヨーグルトの力。三十間近にして甦る、青春の味。今では一日に一度ヨーグルトを摂取しないと調子が悪いように感じる。我ながら単純。

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