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福岡滞在日記③

1月31日(月)

大洋映画劇場で『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』鑑賞。
オープニングクレジットからエンドロールに至るまで、一瞬の隙もないセンス、構図、色彩、カット割、全てがウェス・アンダーソン節。加えて冗談と思うくらいに、ちょっとした脇役に至るまで豪華キャストのオンパレード。
さすがお見事としか言いようがない。
のだが、ちょっと凝りすぎと言うか、正直中盤からは結構寝てしまった。
ウェス・アンダーソンは『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』が一番好きという、作家に一番嫌がられる、初期作品の名前をあげるパターン。
誰かがウディ・アレンが退場した今、(豪華キャスト勢揃いにさせるという意味で)代わりにそのポジションにつくウェス・アンダーソン、と言ってたけど、そうなるのでしょうか。

夜は20代チーム、立ち稽古を進めていきます。

稼働時間は少ないのに、やたら眠くてホテルで風呂に入ったらすぐ寝てしまう。

2月1日(火)

今日から呉服町に移動。スタッフさんのマンションを借りる。ありがとうございます。

寒い。福岡に来てから一番寒い。
近くのドトールで40代チームの台本執筆。6ページまで。

流石に「映画の日だから映画館行こう」という程の余裕は無くなってきた。

Netflixでアジズ・アンサリの「ナイトクラブのコメディアン」見る。
アジズ・アンサリは小さなナイトクラブのスタンダップコメディアンからスタートしてるんだよなあ。ウディ・アレンにも通じるというか。
アジズ・アンサリほどのトップクリエイターが、スマホ依存から脱却する為にガラケーにした、という事実。

夜は40代チームに台本を読んで頂き、その場で必要な修正をして、あとは台詞合わせをして貰い上野は退出。

U-NEXTで「ユーフォリア」見始めた。

2月2日(水)

今日も寒い(ので寝坊)。
モスバーガー→モスバーガーで作業して、夜は20代チームの稽古。
こちらは、コロナ禍の諸々もあり、対面ではようやくの全員集合。
空気もほぐれてきて、それぞれがそれぞれのスタイルで積極的で、良い座組みになってきたと思う。

「ユーフォリア」に続いてU-NEXTで「イエロージャケッツ」も見始めてしまう。お、これは、面白いぞ、、、。

2月3日(木)

洗濯してから、ドトールで40代チームの台本執筆など。
夜は40代チーム稽古。
演出するのは楽しい。台本が早く最後まで欲しい。

深夜、U-NEXTで「Succession」S3の配信が始まってしまい、もう駄目だ。
しかしこの中毒性は何なんだろう。
配信時代、海外ドラマはどうしても視聴リストが何十とたまってしまい、いつからかノルマのように感じて結果見ていないリストも積み重なっていく。
そんな中でも、新シーズンが始まるやどんなに忙しくても、無理矢理にでも時間を作って(他の物事を放棄して)食いついてしまうドラマ。
他に思いつくのは「ベター・コール・ソウル」、「マスター・オブ・ゼロ」くらいか。

2月4日(金)

オフ。
中洲〜天神あたりをウロウロ。本当に良い街だなあ。街中にデートスポット的な場所や店も多そう。

執筆に充てるがなかなか進まず。

2月5日(土)

寒い!朝はまさかの雪もチラつく。
福岡で予想外だったのは、冬は普通に寒いこと。
今日の稽古場は大濠公園内のスタジオ。風で公園の池も波立っていた。

前半は20代チーム。20歳と29歳の二人と色々話してから、全員集合。

後半は40代チームの予定だったが、執筆優先でオフにして頂く。

さすがに、2チーム同時進行のスケジュールと追いかけっこになってきた。
平日は1チームずつだし、各稽古は3〜4時間だし、ぎちぎちに詰め込んでいる訳ではないけど、かと言って空き時間全てを執筆や演出プランに充てられるわけでもなく。

帰りに資料として読みたかった「かか」を買いにジュンク堂へ。
そしたら文庫本コーナーに、傑作ミステリー「そしてミランダを殺す」の著者ピーター・スワンソンの新作が出ているではないか……無理だ、今は読む暇ない、、、と思いつつ購入。
劇団競泳水着の次作がミステリーなので色々読みたいのもあり。

ピーター・スワンソンは、ハイスミス(そんなに読んでないけど)をより現代的にスタイリッシュにした感じというか、「そしてミランダ〜」は、まさにハイスミス的な交換殺人という、ミステリーでは散々使われたモチーフに、これもよくある複数の語り手による進行という手法で、しかも少ない登場人物で、にもかかわらずナラティブと構成の上手さだけでひたすら翻弄してくれるミステリー、で大変好みだった。
ちなみにどんなにありきたりな設定でも少ない登場人物でも、まだまだいくらでも素晴らしい物語は作れる、とは、映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』でも強く感じた。あの映画も、不倫、劇中漫画とのリンク、メイン登場人物は5人、舞台もほぼ教習所か室内、というありふれた、限定された設定なのにひたすら面白かった。

2月6日(日)

今日も寒い!
舞台監督さんに、本番仕様の椅子類を稽古場に搬入して頂く。
有り難し。

20代チーム→40代チーム稽古。
合間に執筆を続けようと思ったけど集中力が持たず、近くのかろのうろん。今日はごぼう天うどんに肉をトッピングしてみた。

40代チーム、台本できたとこまでやって、残りは自主練にして頂き、自分は早めに退出。

夜は台本の続きを考えつつ、「Succession」視聴もしつつ。

経験上、執筆期間のインプットも必要、と言い聞かせつつ。

今週もお疲れ様でした。

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