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フィレンツェにて自然を模倣した技術を考える

イタリアのフィレンツェにて、イタリア技術研究所(IIT)およびiSeed project主催の "Environmental intelligence" をテーマにしたウィンタースクールに参加しました。4日間、"Lessons from Nature", "Bioinspired Soft Robotics", "Environmental Intelligence", "Future technologies" について講義を受けたりグループワークをしました。プロジェクトに関係するPhdの学生がヨーロッパ各地から集まり、日本人は私ひとりでしたので共有したいなと思い、書いてみることにしました。

#バイオミミクリー #バイオインスパイア#ソフトロボット#Intelligenceとは

Trip

Grenoble→Torinoまでバス
Torino→Firenzeまで電車で移動しました。

Torinoの電車の駅
データローミング、オン!

Free mobileなのに海外で使えないって一瞬テンパりましたが、単にデータローミングをオンにしてないだけでした。ネット使えなくてもなんとかなることは、僕がもっとアホだった2年前くらいに証明されましたが、とりあえず一安心。いざ、フィレンツェへ。

到着!

Day1: Lessons from Nature

グループワークに対する不安を抱えて迎えた1日目。非常に楽しかったです。忘れぬうちに手書きのノートから面白かった部分を抽出してみようと思います。正直、研究に関わる方は細かい話のほうが興味あるかもしれませんが、このnoteは少し一般的に書いてみようと思います。あと和訳により多少正確さは削ぎ落とされていますので、ご了承ください。事実と私の感想が混ざってるところもあります。

今回のウィンタースクールはイタリア技術研究所(IIT)が関わるiSeed Projectの一環であり、種型のソフトロボットが主役です。ロボットと言っても特別なエネルギーを必要とせず、代謝もしないある意味"死んだ"ロボットです。火星などでばら撒かれて飛散して地盤調査などに用いられるのが目的の一つです。さらに生分解性の素材でできており、"消える"ロボットです。SDGsにいいですね〜って感じです。

ちょっと脱線します。また、自然を模倣するソフトロボットは日本でもいくつかの大学で研究・開発されています。いつか日本の研究室にも訪れてみたいので、メール送ってみようかなと思ってます。それと、トビタテ(留学JAPAN)仲間とバイオミミクリーのイベントを過去に行いましたので、気になる方はご覧ください。順番的に自分の乗せてますが、後のお二人の話が面白いです。

本題に戻ります。自然から学んで作られたロボットは、自然をより理解するうえでのプラットフォームとしても機能していて、意外な発見があったりします。

また重要な三要素として挙げられたのが、

①柔軟性
②塑性(変形して元に戻らない)
③適応性

でした。"死んだ"ロボットは自然に対して受動的な動作をするので、熱や湿度、外力により移動したり都合よく変形したりするわけです。単純な動作でそれを実現しているところがミソでもあります。intelligenceの定義についても今日よく話されていて、「環境に適応しながら複雑な問題を解く能力」と定義される場面もありました。

話は飛びますが、植物の種によって感知→意思決定までのスピードが異なることも新たな気づきでした。言われてみればそうだねって気づきを自分で自発的にイメージできるかが、自然に学び技術に実装する段階では実用的に感じます。

正直、かなり納得する反面、人間はバイアスから逃れられないとも感じました。バイオミミクリーの危険な万能感を抱いたわけです。でも、彼らもそれと戦いながら試行錯誤してそれを言っている。そのことを理解しつつ、自分の批判的な視点を失ったらダメだなと考えてました。いまさら書くべきことでもないけど、あえて。

また、形状を真似すればいいのではなくて、「課題に対して何をしているか」に注目すべきなんだとのことです。形状にリスペクトをもてば、Howの部分を解決できるかもしれません。ここらへんを混ぜて考えるとうまくいかなそうです。

一方で、最終成果物が模倣した生物に似ている方が、社会的なインパクトはありそうかもなとも思いました。そこで似せようとするせいで批判されることもありそうなので、ここらへんがむずい。

Project

今回のグループワークのお題はずばり「より優れたArtificial Seed(人工の種)を3Dプリンターでつくる」です。優れたの定義は種(Samara)の飛散する戦略を実現するものであり、落下時の対空時間、それに相関しうる単位時間あたりの回転数が今回は評価されます。今回は時間も限られているので簡易化されていますが、実際はもっと評価項目多そうですよね、コストパフォーマンスてきにも少ない材料で同じ性能だといいのだろうし。最終日までに実験をしていき形状を決定するので、論理的に形を導いてストーリーをうまくプレゼンできたチームが勝利です。

Samara(翼果): 総合した名称でこれの特定の名前は違うかもです。IITが実際に作ってるものは、下に載せたYouTube動画をご覧ください。

1日目は5つの本物の種の様々な長さを複数回測ったり、重さを測って記録しました。統計的なデータも簡単に取りました。また、写真を撮って表面積を計算ソフト(imageJ)を使って出しました。

Day2: Bioinspired Soft Robotics

この日も様々な気づきがありました。
いくつか雑多なメモにはなりますが、書いてみます。

海の生物を模倣した例を用いながら、Bioinspirationはコピーでない、また、進化はincremental adaptation (ステップごとに適応してきた結果)であり、最適解を示しているとは限らないというお話もありました。生き物の観察を通して、単純な行動(作用)原理を使う重要性が強調されました。

次にお話しされた方は、特に物体の落下時に起こる流体力学について話されました。また地面に落ちたあとの戦略についても話されました。

他にもiSeed内に埋め込まれるセンサー(温度、湿度、化学物質などを検知し、色で知らせる)の化学的なお話しや、ドローンで散らばった色(光)を撮影し、管理するリモートセンシングについての話もありました。自分も画像解析をかじっているので、ここらへんならプロジェクトに貢献できそうです。

Embodied Intelligence(身体知)の話もありました。(ここらへん後日メモを見返しているので、ごっちゃになってて、もし間違ってたらどうにかご指摘ください。) まあロボットが学習をするということが言いたいです。動作を繰り返す中で学習し、状況を予測できるようになることを指します。機械学習やAIを組み込んでいこうといった感じです。

フィレンツェ名物のTボーンステーキ
フィオレンティーナも夜いただきました。
みんなで昼も夜も一緒に食べて
仲良くなっていきました。

Day3: Environmental Intelligence

この日は少しSDGsやビジネス、社会との接点に関わる話が多く、正直期待していたものとズレがありました。大事だけど今聞きたい話ではない、それでもPhDの学生に聞かせたい話だったのであれば、社会的な意義を理解しろというメッセージだったのかもしれません。理系的なアプローチのみならず、社会的な議論に対する解像度も言語化能力も長期的に上げていきたいなと感じる日ではありました。

Day2, Day3で、3つくらい質問をしました。内容として今となっては聞くほどでもなかったなと思うものばかりですが、いつも発表を聞いて質問せずに終わるので、個人的には人がいる中で質問できた経験は良かったかなと。これからも気になる時は遠慮せず聞いていきます。

ホテルでディナーをとる時間が設けられており、教授たちともワインを飲んだりしてました。その後カラオケいこーぜってなり、イタリアの"カラオケ"(ほぼクラブ:ステージがついてて、ステージ場で誰かが歌う)に行き、踊り散らかしてました。ラテン系の音楽でみんなノリノリでした。

Day4: Future technologies

最終日、遊びすぎた人らは、げっそりしながら朝の最後の講義を聞くことに。体内計測を可能にするEdible Electronics💊の話でした。人間がカプセルを飲み込んで、それらが体内の情報を知らせるといったものです。体への負担を考慮して、数時間しかにはとどまりませんが医療での活用が期待されてるみたいです。(既に使われてるかも

Presentation

2日目と4日目に作業を進めたグループワークでしたが、なんとかトライアンドエラーで滞空時間がある種を3Dプリントして、それの性能をまとめ、発表しました。4チームあるなか、なかなかスムーズに進んだグループではありましたが、1位にはなれませんでした。割とみんな本気でやってたので悔しさはありますが、原因はなんとなくわかります。種の改良をトライアンドエラーで手探りにやっていた点です。重心を意識してはいましたが、ストーリーとしては弱く、自然から学んだとは言い難い出来でした。それでも同じグループで一緒にやってくれた3人には感謝です。お互いが得意なことを生かして進めてこれました。短期間ではありましたが、チームで開発に取り組んだことは私にとって初めての経験で、何より楽しく、ワクワクしました。

最終日に寄った、ピッティ宮殿とボーボリ庭園

ちょっとメモを振り返りながら、後から書いた部分もあるので、正確な情報だと捉えずにこんな感じだったと認識してくだされば幸いです。読んでくださり、ありがとうございました。

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