ソンミの新曲「Noir」が凄まじく良すぎて、軽く絶望した。

ソンミの新曲『Noir』が3月4日の18:00にYouTubeにアップされた。早速聴いたら、やっぱりソンミは超良い。前作『Siren』よりもさらにひんやりした音質が低音の歌声とクールな美貌にぴったりだったし、サビがくどくないから何回でもリピートできる。女優もいけそうなくらい目だけの演技が今回も利いてた。
つまり今回の曲も最高だった。そして、最高すぎた結果、

「私は、ソンミのことを、何一つ知らない」
このMVを観たとき、素直にそう感じた。

ソンミ曰く、この曲は現代社会に生きる人々の暗黒な部分を表現したMVらしい。
調べてみると、いいねを求め、過剰な行動へエスカレートしていく現代人の闇を描いたという考察が多い。確かにそうだ。けれども、私はこうも思う。
こういった行動はソンミというアーティストだからこそ、よく分かる心理なんじゃないかって。

韓国アイドルは日本よりも移り変わりが激しい。どんどん新しい子達や新たな芸術的感性が出て来て、それまでのものは端に追いやられていく。その中で生きていくアーティストたちの苦悩……。その中でずっといいねをもらい続けることとそのむずかしさ。♥(いいね)をもらえることは当たり前じゃない。それは一般人もそうだけど、アーティストだって同じだ。

正直、韓国語は何言ってるか分からないし、この考えはちょっと突飛だと思う。でも、ポップでカラフルなシールにうさぎちゃんと、わざとらしいまでに今までで一番“カワイイ”を詰め込んだMVなのに、音楽は冷たくて無機質。「Noir=黒」ってタイトルなのにインスタ映えする色彩鮮やかな映像……。メッセージ性しかない。
見終わった後、「あなたは、私の苦悩なんて何も知らないじゃない」と、そうソンミに突き放された気がして暗い気持ちになった。

私は彼女のものすごく古いファンでもない。彼女のインスタも、いつもオシャレだなあとか、脚長くて羨ましいなあとか、そういう感想しか出てこない。
だから、それだけにこのMVはとてもショッキングだった。
だって、自分の車を燃やす炎と映る彼女の笑顔は、私たちがインスタでよくみる笑顔そのものだから。私は彼女が、どんな気持ちで日々インスタを投稿してるんだろうとか、考えたことなかった。有名人で美人で才能もあって、何撮ってもいいねをもらえるのが当たり前な人だと思ってたから。
MVでは彼女が点滴受けながらインスタライブやったりグロテスクな写真を投稿してる映像が流れる。月並みな言葉だけど、それはとても突き刺さる。
ソンミも私たちと同じ人間。同じ、誰かからのいいねが欲しい人間なんだ……。

ソンミ以外の好きな韓国アイドルたちのことを思い出す。スジとかAOAのジミンとかアイドゥルとかブルピンのロゼ……。
彼女たちを見つめる自分の目って何だろうか。
それはただの消費者の目だ。
アーティストとして目まぐるしく変わる世界で生きる彼女たちの苦労とか辛さとか、そんなことは置いといて、ただ見た目の派手さにとらわれた人の目。なんかダサいなと感じたら、次から次へと最新のファッショナブルなものを消費していく一般人の私と、それを時間をかけて生み出していく彼女たち。
私は、彼女たちの苦しみを、理解できていない。
このMVは現代人の闇にフォーカスしたものであると同時に、飽きられないアーティストとして生きることの闇も描いてるんじゃないかとも思う。消費される立場にいる彼女たちの闇。

ソンミはMVの向こうから消費者である私を”見つめ返している”
私は、彼女の視線に答えられるだろうか。
たぶん、現在の、何も成していない、何一つ手に入れる努力もできていない、普通の女である私には無理だ。

それでも、私はソンミが好きでその気持ちに嘘偽りはない。
だから、ずっと彼女を追いかけていたいと思う。たとえ彼女の全てを理解できなくてもいい。
彼女に追いつける訳なんてない。それ前提で、私はソンミの背中を見ていたいのだ。

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