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【はじめて買ったCD】

(note公式様の「春の連続投稿チャレンジ」に挑戦中です)

 はじめて読んだマンガ、はじめて見たアニメ、はじめて行った映画。ほとんど記憶にないんです。と言うよりも、物心つく前から生粋のオタクきょうだいが居たおかげで本来無いはずの記憶が捏造されているんです。生まれる前の番組の主題歌を歌えたり、買ってもらったばかりの児童書の結末を知っていたり。ネタバレされてばかりの子供時代を歩んできたようです。

 さて、今回のお題は「はじめて買ったCD」です。
 さすがに自分のお小遣いではじめて買ったCDは覚えています。誕生日プレゼントやきょうだいとの共用でなく、自分でお金を出して自分の好きなCDを自分のためだけに買う高揚感。最近は配信がメインなのでそういう感覚は分かり辛いでしょうか。CDデッキにセットして再生ボタンを押すときの緊張感。何もかもが懐かしい。
 はじめて買ったそのCDは、谷山浩子さんのアルバム『ボクハ・キミガ・スキ』でした。
 谷山浩子さんというアーティストはずっと前から知っていて、独特の世界観と澄んだ歌声がとても印象的で大好きなんです。NHK「みんなのうた」の三大トラウマソングのひとつとして名高い『まっくら森の歌』も彼女の代表作ですね。だから本当は『まっくら森の歌』や、こちらも「みんなのうた」で有名な『恋するニワトリ』が収録された『しっぽのきもち』というアルバムが欲しかったのですが、あいにくショップに在庫がありませんでした。そこでいくつかあったCDの中から谷山浩子さんがカラーの花を持って、はにかんでいるような微笑んでいるような何ともいえない表情で立っている写真がジャケットのCDを選んだんです。タイトルを見ても当時知っている歌は一つもありません。直感です。

 一曲目はアルバムのタイトルになっている『ボクハ・キミガ・スキ』 はい、初っ端から泣かせにかかってきます。切ない。苦しい。なんて残酷で美しい曲なんでしょう。一気に谷山ワールドに引き込まれます。
 二曲目『約束』 とても情熱的な歌詞を、少し悲しみを含んだような声でしっとりと歌い上げられています。早くも目頭が熱くなってきました。
 三曲目『催眠レインコート』 そんな澄んだ美しい声でなんて事を言い出すんですか、この曲の主人公は。でも分かる。その気持ち分かります。
 四曲目『心だけそばにいる~HERE IN MY HEART~』 爽やかで優しい曲になんという健気な言葉。こんなの涙腺崩壊するに決まっています。
 五曲目『手品師の心臓』 やって参りました。超理不尽ダークサイド浩子さんのターンです。えっマジで?ここで終わる?救いは?
 六曲目『不眠の力』 三曲目で怒濤に押し流しておいて、今度は砂に崩れ落ちさせるんですよ。静かな曲調が余計つらい。助けてあげて。
 七曲目『パジャマの樹』 一転してポップで明るい夢の世界です。若干不穏な部分がなきにしもあらずですが、二人がしあわせなのでOKです。
 八曲目『わたしを殺さないで』 すんごい曲きました。さっきまであんなにハッピーだったのに、いきなり崖から突き落としにかかる。これが浩子さんです。慟哭するような歌詞と縋り付くような歌声。背筋がぞわっとしました。
 九曲目『COTTON COLOR』 この可愛らしい天真爛漫さをいつまでも持ち続けていて欲しい。などと当時はほわほわしていたものです。後にひとりのファンがこの「コットン語」を解読したことから『まっくら森の歌』を超える最恐のトラウマソングとして語り継がれることになるのですが、その話はまた別の機会に。
 十曲目『海の時間』 ラストを飾るのに相応しい慈愛に満ちあふれた美しい楽曲です。当時はきれいな曲だなあとうっとりと聴いていましたが、よく歌詞を聞くとかなり大人の愛が描かれていて浩子ワールドの奥深さに感動したものです。

 全て語り始めると長くなりますし、とても私の語彙力では表現しきれませんので、思い出せる限りの当時の感想を書き連ねてみました。なるべくネタバレは避けましたので、気になった方はぜひ一度聴いてみてください。
 おすすめのアルバムをいくつか紹介しておきます。「みんなのうた」好きなら『しっぽのきもち』少しダークな浩子さんに興味がある方は『歪んだ王国』満遍なく浩子ワールドを楽しみたい方は『フィンランドはどこですか』他にも入門に最適なベスト版が出ていますので、繰り返しになりますが気になった方はぜひ一度聴いてみてください。


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