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ロストテクノロジー

連休なのをいいことに連日ツーリング三昧。

紀伊半島はその半分以上を陸の孤島のように道が届かない山々と森林が覆い尽くしている。時折大雨や台風で崩れた岩肌が生身の地球を感じさせる。

そんな手付かずのようにも見える山間に、不意にかつての集落の遺構を見ることがある。なるほど周囲は荒れてはいるものの杉林で、手積みの石垣で作られたわずかな平地は畑か家屋か?小さな祠のような社と少し離れて墓地らしき跡もある。

いろんな一次産業があってかつては隆盛を極めた林業も今では新しい業態で魅力的なモノやコトで光を放ち始めている。
それはたくましくもあるが、安い輸入木材に対抗する苦肉の策でもあり、一旦途切れた山林のリレーを再び結び直すことの困難さも同時に物語っている。

農業、漁業、畜産、食や暮らしを見つめ直す人たちが、これら一次産業のあれやこれやに関心を寄せ知恵を出し合って新しい一歩を踏み出しているのを見るたび関心する。

そういった新しいあたりまえができてゆくコトを見る傍らで、僕はどうしてもかつてのあたりまえが気になってしまう。
だから田舎道のその奥に、進んで迷い込んでしまうのだ。

荒れた林道のそのまた先にUターン場所を探しながら不安と好奇心の天秤を揺らして二輪二足でにじり走るのは、シンドイけど楽しい。舗装路に戻って安堵するとさっきまでの不安がワクワクに変わるのだ。

#バイク #ツーリング #コラム #エッセイ

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