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駅伝鉄の観戦記 鹿児島県下一周駅伝2024へ行く

 昨年に引き続き、今年も鹿児島県下一周駅伝を観戦することができた。昨年は初日だったが、今回は4日目を見に行くことにした。コロナ禍以降のライブ配信から、4日目1区の亀割峠を一度は見てみたかったからだ。

 亀割峠を見るには、と公共交通機関がどうなのかと調べたところ、霧島市のホームページから鹿児島空港から志布志へのバスがこのルートを通るのが分かった。
 1区の通過時間に合うバスはないのだが、亀割峠の途中にある上ノ段バス停から、志布志へ抜けるバスが停まる。そこまでタクシーで行けば、1区を見て、志布志へ抜けることができることがわかった。このルートで今年は見ようと、航空券を取った。

 羽田から鹿児島に着いたのはほぼ定刻。預けている荷物はないので、荷物受け取りをスルーし、到着ロビーに出る。まずは地元紙南日本新聞を購入しようと2階に上がり、コンビニで飲み物とともに購入。そして、再び1階に戻りタクシー乗り場へ。
 行き先を告げ、タクシーは出発。国分市街地へ向け、ひたすら坂を下っていく。空港はかなり高いところにあることが分かる。
 国分市街を抜けるが、まだコースである国道10号に出ていない。時計は間もなく9時になりそうだ。思ったより時間がかかっている。

 山が近づいてきたと思ったところで、国道が見えてきた。いよいよ亀割峠だ、と思ったところ、信号で停車。なかなか青にならない。警察官が立っているので交通規制対応であるのはわかる。しかし、なかなか青にならない。
 すると、交通規制を予告するパトカーがやってきた。ジ・エンドである。この時間に通してくれればよかったのに、と思う。目の前を選手の一団が過ぎていった。先頭集団は8人、その後に2人、また2人といった展開だった。
 ようやく信号が変わり、国道へ。選手の後に続いているのでそのペースで坂を上る。所々傾斜の厳しいところもあり、この区間は9キロちょっとなのだが、箱根の山上りに負けず劣らずの感じがする。箱根はつづら折りだが、こちらはバイパスということもあり、車優先の設計だろう、直線的な上り坂、傾斜も車で上れる限界ギリギリになっているため、大会随一の難コースと言われる所以なのだろうと、タクシーの中から思った。

 選手の過ぎたコース上は、応援を終えた人たちの姿が見える。タクシーに乗る前に新聞買わなきゃよかったか、あらかじめ県下一周駅伝を見るために向かっている旨を伝えればよかったか、と後悔の念が湧き上がる。
 登坂車線のある区間もあったが、そこも先行させてもらえず、ノロノロと進み、ようやく上ノ段に到着。空港から6700円。予想では7000〜8000円くらいだったので、そのとおりだったが、選手待ちの間メーターを止めてくれた優しい運転手さんにお礼をいい、まだまだ続く車列を眺めていた。

上ノ段バス停からコースをのぞむ。駅伝の影響による車列が続く

 ここにいても仕方ないのだが、予定では1時間後のバス。しかし、その前にここから少し先の牧之原まで行くバスがある。地図を見るとコンビニもあるようなので、時間を潰せそうだ。予定時刻は過ぎているが、渋滞に巻き込まれているはず、と思っていたらその通りで、車列の中からバスがこちらにやってきた。
 先客は1人。その人も終点に着く前に降りてしまった。牧之原のバス停を過ぎ、終点の牧之原十文字というバス停までやってきたが、交差点の角に酒屋があるだけの場所。

降りた牧之原十文字はこんな感じ

 手前のバス停のそばにコンビニがあったので、そこで少々時間をつぶし、バス停周辺をぶらぶら散歩。バスの予定時刻が近づいて来たので、バス停へ戻る。
 予定から3分ほど遅れてやってきた志布志行きのバスは、路線バスタイプの車両。鹿児島空港からのバスなので、ちょっとイメージが違った。
 先客はこちらも1人。途中で降りてしまい、その後は志布志まで誰も乗ってこず。この路線がなくなっても文句はいえまい。

伊崎田小学校前の中継所では準備中

 県道63号線をバスは走る。途中から駅伝コースに入る。こちらの通過まで1時間ほど。走路に立つスタッフの姿がちらほら見られる。
 志布志へ向かう7区のスタート地点、伊崎田小学校の中継所では選手がウォーミングアップをしている。
 志布志は海沿いの街なので、下り基調のコースだが、所々上りもある難しいコースだと感じた7区である。

 志布志市街地に入り、次は志布志のアナウンスに、降車ボタンを押す。すると、運転手さんが、ここでいいですか?と問う。終点ではないのか、と思ったら、その先の志布志駅まで行くようだ。ただ、この近くにあるファミレスで昼食予定なので、志布志バス停で降りる。

降りると国道のキロポストが

 バス停から歩き、予定していたファミレスへ。店内は、奥様方のグループが多数テーブルを占めていた。まだお昼には早かったので、ゆっくりと昼食を取り、観戦場所を求めて店を出た。
 まずは駅方面に向かう。駅前にはショッピングセンターがあり、そこに沿って中継所方向に歩く。ショッピングセンターの先には、公園があった。鉄道記念公園とあり、SLとディーゼルカーが置かれていた。

記念公園に置かれていたディーゼルカー

 志布志は、現在宮崎から来る日南線の終点だが、以前は都城、鹿屋・垂水経由で国分への路線が通る鉄道の要衝だった。この路線は国鉄からJRに変わるときに廃止されている。街の状況と、ここまで来たバスの状況から、廃止は仕方なかったのかな、と思う。あればこの駅伝観戦に使えただろうが、廃止されたのはもう30年以上前のことだ。
 公園の前に場所を取り、ここで見ることにする。直線で見通しがいい。駅前の交差点を曲がってここまでが見通せる。
 歩道で待っていると、家族連れの父親から声をかけられた。
「何かあるんですか?」
 関西弁かと思われるその父親、地元の人ではないのか⁉と思ったが、駅伝をやっていてこれから選手が来るとこだ、ということを答えた。鹿児島に縁もゆかりも無い自分に聞いてくるのはなかなか滑稽である。

 駅の方からパトカーがやってくるのが見えた。
先頭がやってくる。南日本新聞のホームページにある、チームいまここを見ると、肝属がトップで鹿児島が追いかける展開だった。
 肝属がトップだか、すぐ後に鹿児島が追う。鹿児島は鹿屋体育大学出身の永田選手。現役の頃から応援していた選手で、前日の選手発表で名前があり、ラッキーと思っていた。
 先に鹿児島の監察車が給水のために先行し、少し手前の交差点に止まった。肝属が通過し、その後に給水が行われた。中継所まで1キロを切っているが、この日はいい天気で気温も高くなっている。ラストスパートへの力水となるのだろう。

先頭肝属、続いて給水を受ける鹿児島

 永田選手の走りが見られたことに満足していたが、給水を終えた監察車から、ありがとうの声掛けに、ウルウルときてしまった。その後は間が空いた。

3位通過の川薩チーム

 中継所まで1キロを切っているところなので、監察車からの声掛けで、やってくるのがわかる。
 監察車からの声掛けになんだかウルウル来てしまう。やはり、駅伝は街から街を繋いでいくものだな、と原点を見る思いがする。後ろにつく監察車はそれを見届ける唯一の存在。それがこの駅伝の魅力なのかもしれない。

大島は盛んにゲキが飛んでいた

 後半は繰り上げのタスキをつけている。高校生はここをきっかけにブレイクしていく選手もいるだろう。そういう選手を見守る土壌もできているんだろうな、と思う。
 全選手が通過すると、あぁ楽しかったな、と充足感に満ちていた。亀割峠は見られなかったけど、来てよかったと思っていた。

 この日のフィニッシュは鹿屋市、ここからバスで移動するしかないが、バスの時刻が合わず、このあとは次の目的のために日南線に乗る。駅伝鉄と書きながら、ここまで列車には乗っていない。ようやく志布志駅から日南線でこの日初の列車乗車になる。ちなみに羽田までは早朝ということもあり、バスだったのだ。

志布志駅に止まるキハ40

 このあとは、日南線で飫肥に向かい、飫肥城跡を見て、宮崎空港から帰路についた。

飫肥城跡


 長崎の県下一周駅伝が今年限りで終了。九州では佐賀と鹿児島のみになる県下一周駅伝、世界一長いと言われる鹿児島は、主催に鹿児島県、鹿児島市とそれぞれの教育委員会が入っているので、よほどのことがない限りなくなることはなさそうだけど、末永くこの大会か続くことを願うばかりです。そして、佐賀も一度は行かないと、と思っている。

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