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サマーバイアスロン日本選手権を見に行く

 真駒内駅から乗ったタクシーがだんだん人里離れてきたと思ったら、目的の西岡バイアスロン競技場に着いた。
 あらかじめ、アプリでどんなところか確認はしていたが、地下鉄を降りてタクシー乗ってこんな山の中に着くとは思わなかった。

西岡バイアスロン競技場の入口。比較的新しい看板

 真駒内駅からタクシーで1800円弱、帰りもタクシーを呼べばいいかと思ったが、これが後に後悔に変わる。
 陸上自衛隊真駒内駐屯地の一角がバイアスロンの競技場となっているようだ。
 タクシーは中の駐車場で止まったので、そこからすぐに会場へ。
 札幌オリンピック誘致を進めているが、バイアスロンはここが会場候補だよな、と思った(その後誘致が延期との報道が)。
 受付では、バイアスロン観戦者向けのパンフレットと今日のスタートリストをいただいた。
 競技の特殊性から、選手のほとんどが自衛隊関係の人たちだ。
 ちらほらと観客の姿が見えるが、選手の関係者のようで、私のように何のバックボーンを持たない観戦者はなかなかいないのでは、と思ってしまった。
 歩みを進めると、アスファルト敷のコースが見えた。スタートフィニッシュ付近のテントもあり、ある程度準備ができている様子だった。
 パン、と銃声が聞こえる。射撃の練習をしているようだ。
 さらに進むと、どうやら射撃場近くまで行けるようだ。
 5つの丸い的がレーンごとに見える。射撃の的である。こんな近くで見られるのはファンとしてはありがたい。

観客エリアから見た射撃場

 この射撃場を見渡せる場所でまずは男子のレースを見ることにした。
 バイアスロンとは、クロスカントリースキーをして、途中射撃をする競技。
 1994年のリレハンメルオリンピックだったと思うのだが、たまたまバイアスロンの中継を見たことをきっかけに興味を持ち、長野オリンピックは野沢温泉で行われたバイアスロンを現地で観戦した。
 その後、競技への興味は持ち続けており、毎回オリンピックではテレビで見ていたが、現地で観戦する機会はなく、今回サマーバイアスロンとはいえ、見に行くことにしたのだ。
 9:30スタートの男子10kmのスプリントをまずは見ることに。
スプリントは1人ずつスタートし、コースを走り(すべるか?)、最初は伏せ打ちの射撃、またコースを走り2度目の射撃は立ち射ち、そしてもう一回りしてフィニッシュ、という流れ。最終的に早い時間でフィニッシュした選手が優勝である。
 射撃を外すと、1発あたり、ペナルティコース1周(150m)が課される。
 男子のレース、1人ずつ30秒ごとにスタートしていく。

スタートした選手は射撃場の反対側を進む

 一回りした選手が射撃場にやってくる。1回目は伏せ打ちだ。的に当たるとフタが降りる仕組みになっているので、状況がわかる。
 オリンピックだと、歓声が上がって、当たりハズレがわかるのだが、見た感じ、100人いるかいないかのレベルだと、大した歓声も起きない。
 ただ、自分は的に当たると自然と、おぉ~と声が出ていた。
 パーフェクトの選手がなかなか出てこない。ここが日本勢の課題なのかもしれない、と素人目には見えた。オリンピックを見ると、海外勢はしっかりと的に当てている。射撃のレベルを上げる必要があるのかな、なんて思った。

男子1回目の射撃

 1回目の射撃を終えると、的に当てた回数に応じて、ペナルティコースを走り、コースへ戻る。
 サマースキーは素人でもできそうな感じがしたが、実際はどうなのだろう。
 前日は、一般向けにランニングと射撃を組み合わせたバイアスロンの体験ができたようで、本当はこちらに参加したかったのだが、都合がつかず、こちらの観戦となった。
 続々と1回目の射撃を終え、射撃を外した選手は、ペナルティコースへ進み、コースへ戻っていく。
 しばらくすると、周回を終えた選手が戻ってきて、2回目の射撃に入る。
 2回目は、立射である。射撃場も伏射と立射で分けてある。そして、大学生も参加しているが、大学生はレーザーライフルとのことで、別途射撃場が用意されている。

こちらはレーザーライフルを手にする大学生選手

 競技の特殊性から、なかなか一般向けに普及するのは難しいのだろうと思う。
 立射を終えた選手をしばらく見てから、観戦場所からギリギリ移動可能な坂道へ移り、そこで選手の滑走を見ることにした。
 下り坂では体力を温存しながら滑り、上りは激しい息遣いで上っていく選手の姿を見ることができた。
 女子のレースの際、コースから外れて観戦しないように、とアナウンスが流れたが、ここは大丈夫だったのか⁉

下り坂を滑る


上り坂を力強く進む選手

 サマースキーも普及すれば、競技の拡大につながるとは思うが、どこで道具を手に入れるか、それがまず乗り越える壁なのかもしれない。見た目には、雪の上を滑るより簡単そうに見えるが、実際はどうなのだろう?
 男子の選手がフィニッシュし、次の女子のスタートまで約1時間。ウォーミングアップする選手が出てきて、ライフルの検査の後、射撃の練習となった。
 射撃が見られるのはなかなかない機会。それだけでもこの種目の魅力を伝えられるのではないだろうか。受付でいただいた、パンフレットでもバイアスロンの競技の魅力を伝えようとしている。これを広げられるといいなとは思う。
 あとは、ライブ配信があれば、少しは違うのかな、とも思ったが、この日の観客くらいだと、配信しても視聴者は限られてしまうか…。

 女子は若干距離が短くなり、7.5km。2kmほど走って、射撃となる。
 女子も学生も参加しており、男子同様レーザーライフルを背負い、射撃をしていた。どこでバイアスロンを知ったのかは気になるところだ。

射撃をする横を選手が駆け抜ける

 女子のレースは30分ほどで競技終了。このあとは表彰式があるようだが、私は会場をあとにすることにした。
 しかし、タクシー会社に連絡したところ、まずは場所をわかってもらえず、なんとなくわかったようだが、時間がかかるとのこと。
 仕方なく真駒内駅まで歩くことを選択。しかし、来た道は山の中。確か真駒内でクマが出たとかニュースで以前見た気がする。まずは、人間がいることを示すため、スマホからラジオを流し、とにかく歩いて駅へ。
 この記事を書いているので、無事に駅へたどり着いたのだ。4km弱の道のりを40分ほどで歩いた。会場へのアクセスが課題ではあるが、今のような競技人口であれば、これは致し方なしか、とも思った。
 毎年2月から3月あたりで日本選手権をやっていて、見たいのだが、冬だし、駅からの足をどうするか悩むし、行こうかどうしようか、今後考えることにする。

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