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産後4ヶ月で専門医試験を受験した話。その1

0)はじめに

 初めまして、とかげと申します。医師になって7年目、今年秋に産後4ヶ月で麻酔科専門医試験を受験しました。手探りの状態での受験でしたが、産後から受験に至るまで実際にどうだったか、何に苦戦したのか、覚書程度ですが、記録しておきたいと思いました。これから受験される方の少しでもお役に立てれば幸いです。

1)書類作成〜申請〜受験票発行〜受験まで

【準備】2月〜4月

 申請に必要な書類を作成していました。認定医と同じような感じです。症例の集計が面倒なのと、施設長や部門長の署名捺印が多く、やや煩雑。着実にこなせば大丈夫ですが、書類のやり取りに時間がかかることもあるので、注意が必要です。

【申請】

 5月1日からwebで申請開始。この時に、経験症例数(手術部位や麻酔方法別も含めて)を入力しなければならないため、集計はこの時までに。顔写真も必要です(webアップロード)。受験料は3万円。

 5月某日、出産。

【書類提出〜受理】6月〜8月

 退院後、書類を簡易書留で郵送しました。

 郵送から1週間後に不備指摘のメールが事務局からありました。その日のうちに修正した書類をFAXで事務局まで送りました(メール添付も可でした)。申請開始から日が浅かったためか、電話もメールも繋がりやすく、助かりました。

 そのまま音沙汰がなく、8月。ひっそりと「マイページ」の申請ページで、ステータスが「書類確認中」から「書類通過」みたいなのに変わっていました。

【受験票発行】

 8月末にマイページ上で受験票が発行されました。これはメールでお知らせしてくれた。受験票には口頭・実技試験の受験日と集合時間も記載されていました。同時に、宿泊の予約も案内されていました。

 筆記試験は神戸と東京。口頭・実技試験は神戸会場のみ。神戸会場(ポートピアホテル)には託児施設があるが、東京にはありません。

【受験】

 2019年度の時間割です。

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 受験票、鉛筆、消しゴム、鉛筆削り、ペットボトル飲料は机の上に置けました。

 全体説明の際に、電子機器の電源を消すように念入りに言われました。鉛筆と消しゴムは貸し出しあり。受験票も再発行可能。ちらっと聞いた話では、遅刻者用の別室も準備されていたようです。とにかくその場にたどり着ければ受験できそうでした。試験時間中のトイレも可能でした。(挙手して試験官の付き添いあり。国試と同じですね)

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 口頭・実技試験は、いくつかのグループに分かれての受験でした。

 受験票に集合時間が書いてあります。1グループ20〜40名くらいが控え室で待機。大きな茶封筒が渡され、そこに全ての電子機器を電源を切って入れるよう指示がありました。控え室から5〜10名ずつ、順番に従業員エレベータ(いわゆるドナドナエレベータ)に乗って会場へ案内されました。荷物は全て持ち運びますので、大きなスーツケースなどは預けておくのが無難です。呼び出しが後の方ならば、控え室で待ち時間に勉強できます。

 会場はホテルの客室ワンフロア貸し切りでした。誘導スタッフの方に促されるまま、口頭試験→実技試験①→実技試験②の順番で部屋を移動します。口頭試問は1問20分。実技試験は10分×2問。帰りはお客さん用エレベータに乗って帰りました。

2)試験の感想

【筆記試験】

・A問題:ほぼ全て過去問と同じ。2、3問、選択肢が変えられているものがありました。余裕を持って終了し、早めに退室しました。

・B問題:見たことのない問題ばかりでした。分からなさすぎて逆に時間が余りました。A問題の手応えがあった分、できなかった反動も大きく、割と落ち込みました。

・C問題:臨床問題。診断すら分からないような問題も多く、あっているかあっていないのか全く分からない。別冊の画像を見ながら解くので、時間はギリギリでした。

【口頭試験】

 会場前で症例の書かれたA5の紙が渡され、5分間、読む時間を与えられました。試験会場(ベッドが外されたホテルの客室)の中央に長机が置かれ、試験官2名が奥に座っておられました。テレビのモニターとPCが接続されていて、追加情報はそのモニターに表示されました。

 症例の用紙を持った状態で試験を受けたのですが、筆記用具がないので追加情報をメモすることができませんでした。試験中も答えるのに必死で、あまり見返す余裕がなかったと思います。

 私が受験した時は圧迫面接ではなく、試験官の反応でなんとなく手応えもわかりました。基本的な内容が多かったので、普通に麻酔をかけている人ならば答えられたと思います。とにかく落ち着いて、ハキハキ、ゆっくりと話すことを心がけました。

【実技試験】

 1問目は硬膜外麻酔。ワーファリン、ヘパリンの投与量の目安や休薬期間について答えた後、傍正中法で穿刺しました。

 2問目は急性喉頭蓋炎の意識下経鼻ファイバー挿管からの輪状甲状間膜切開。手技前にいくつか質問されました。質問も手技も1問目に比べて多く、時間はギリギリでした。

3)まとめ

・書類の準備がとにかく面倒でした。特に複数施設に勤務されていた方は、年明けくらいからゆっくり始めるのをお勧めします。

・皆さんがおっしゃっていることですが、A問題をしっかり取るのが大切だと思います。B問題とC問題は全員、難しいと思います。

・口頭試問と実技試験は、とにかく落ち着いてしっかり声を出す。多少どもっても、落ち着いて話せば許してもらえます(多分)。試験官は鬼じゃないです(多分)。事前に声を出しながら答える練習は大切だと思います。

・実は口頭・実技試験の時に受験票を忘れてしまったのですが、それでも受験できましたし合格できました。ですので、最後まで諦めず、とにかくA問題や基本的な問題を取りこぼさないことが重要だと思います。

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