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2004年に占い師が言ったこと

成人式の日。私は黒のパンツスーツに身を包み、同じく黒のパンツスーツの友人1人と赤の振袖の友人2人とともに大阪・梅田のカフェでチャイをすすっていた。

遠距離通学者が多い高校出身の私たちは自宅所在地の式に出席することなく、いつもの仲間でいつもの遊び場に集まっていた。
されどその日は成人式である。とめどないいつものおしゃべりも自然と将来の話になる。どんな仕事をしたいか、どんな大人になっていたいか、ゆるーく冗談まじりで話しているうちに1人が言った。
「ねぇ、占い行ってみようよ。」

古書店街を抜けた先の飲食店街、少し薄暗い横丁の一画にその店はあった。
四柱推命と姓名判断を組み合わせて鑑定するというその占い師に、私たちは示し合わせたとおり、生年月日時と名前のみを伝えて口をつぐんで待っていた。仲間内の会話でそれぞれの性格を推測されないようにする、占い師に対するちょっとした意地悪だ。

占い師は言い当てた。
法学部に在籍する友人には「あなたは法律関係の仕事が向いている。」大学の文芸サークルに所属する友人には「あなたは創作活動に喜びを感じるタイプ。」これといった趣味がないのんびり屋の友人には「あなたは……特にやりたいことがないのね。」見た目からは分からない情報を占い師は続々言い当てた。さっきのカフェで私たちの会話を盗み聞きしていたのではないかというほどに。
友人たちはそれぞれ占い師が予言したとおりになった。法学部の友人は弁護士になり、文芸サークルの友人は会社員をしつつ同人誌を発行し続け、のんびり屋の友人は、うん、今ものんびりしていて何をしているのかよくわからない。

占い師は私についてはこう言った。
「頭を下げなくていい仕事につきなさい。」
へこへこ媚びへつらったり、理不尽なことに謝罪するのが苦手な私をよくご存知で。続けて占い師は言った。
「あなたの35歳は最高の一年になるわよ。」


昨日までの一年間。
それが私の35歳でした。


最高の一年と言われて当時の私はこう想像していました。
35歳の私はお金も名声も手に入れて、なんかすごいことになってるんだろうな、って。

昨日まで35歳だった私は、専業主婦で私個人の収入はゼロ、慢性的な睡眠不足と育児による疲労で風邪をひきやすい「ただの人」です。

でもたしかに最高の一年だったことには違いないです。
35年の人生の中で最高の一年。

死の床につく人々に「あなたにとっての幸福とは」ときくと、世間一般的にいう成功者もそうでない人もこう言うんですって。
「家族や気の合う仲間たちと笑いあう時間、それこそが幸福だ。」と。

2019年6月、35歳と4ヶ月に書き始めたnoteを通じ、怒涛の勢いで「気の合う仲間たち」と知り合うことができました。
気が合うだけでなく、住む場所やライフステージの変化に影響されにくい、一生付き合える可能性を秘めた仲間たちです。

最高かよ。
35年の人生のうち、こんな1年なかったな。ほんとに。


2004年の占い師が予言したのは35歳まで。
私はラッキーカラーがピンクと言われてもグリーンを身に着けるし、西は凶と言われようが平気で西へ旅立つような人です。
でも先日、35歳より先のことを占ってもらいました。

占い師の顔を持つ小説家、矢御あやせさん。

noteで出会った友人のひとりである彼女とお茶をした際にタロット占いをしてもらいました。

「私に霊能力はありません!」からはじまる彼女のタロット占いはコーチングの要素が強く、それでもしっかりシャッフルされた山から引かれたカードたちは私の過去と現在をよく言い当てていて、それでいて押し付けがましさのない彼女の解説が大変興味深くて。
ぜんぶバラしちゃうとつまらないから詳細は省きますが、ワクワクするような未来が待っていて、私はそれに向かって進んでいけるだろうというのが矢御ちゃんの見立てです。

数枚引いたうちの1枚『NINE OF CUPS(9つの杯を集める絵柄)』が表すように、今はたくさんの人と出会い、たくさんの経験をする時期だそう。

ありがとう。とても素敵な占いだった。
2004年の予言に代わり、新しい占い結果を胸にこれからの数年を過ごすね。


今日は私の誕生日。
昨日で終わった「最高の一年」を彩ってくださったみなさま。
どうぞ今後とも末長くよろしくお願いいたしまう。誤字った。します。

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