令和

小学校の教材編集者が考える、新元号は「令和」が最良の選択だった理由

タイトル、小学校の教材編集者を自称してしまい、早くも赤面硬直しています。。

来月からの新元号が「令和」に決まりました。
報道では、「令和」「英弘」「久化」「広至」「万和」「万保」という候補の中から選んだそうです。

政府はさまざまなことを勘案して決めたのだと思いますが、
小学校の漢字学習という観点から考えると、実は「令和」は6つの候補の中でベストチョイスだと言えるのです。

その説明のために、久々に記事を書いてみました。

元号候補を小学校での学習時期から考えると……

元号の選定基準に「書きやすい」「読みやすい」というのがありますが、どこまでが「書きやすくて読みやすい」のか、その判断に迷います。
そこで、過去の元号を小学校の学年別漢字配当で見てみることにします。

「平成」は「平」が小学校3年生、「成」が4年生で学習する漢字です。
「昭和」は「昭」も「和」も3年生学習。
「大正」は「大」も「正」も1年生学習。
「明治」は「明」が2年、「治」が4年学習であることがわかりました。
明治以降の元号は、すべて4年生までに学習する漢字で構成されているのです。
つまり、「書きやすくて読みやすい」漢字の基準は、過去の元号を考えると小学校4年生までに学習する漢字が妥当といえそうです。

※小学校の学年別漢字配当は、1958年、つまり戦後に制定されたものなので、「平成」以外は後付けです。とはいえ、元号である「昭和」以外に使用機会がない「昭」の字を3年生配当にするあたり、元号は小学校のなるべく早い段階で学習させる、という意図が見えてきます。

では、今回の元号候補はどうなのでしょう。
元号候補6つの漢字を、学年別漢字配当で考えてみます。

「弘」は中学漢字、「久」「保」は5年生、「至」は6年生で習う漢字です。ですので、小学校4年生までに学習できる漢字で構成された元号候補は、「令和」と「万和」のみになります。
2つのうち、「万和」は2年生と3年生の漢字だから、最も適しているのではないかと思われるかもしれません。しかし、「万和」は最良ではないのです。

特定の読み方を中学校で習う場合もある

漢字には、常用漢字で定めた一部の読みを中学校以降で習う場合もあります。今度は、元号候補を読みの学習から考えます。

「弘」は中学漢字なので中学で習う読みですが、それだけでなく、「万」の「ばん」も中学で習う読みだとわかります。「万(ばん)」は書きやすいけれど、読みやすいわけではないのです。

以上のことから、元号候補のうち「小学4年生までに漢字と読みを学習している」ものは「令和」のみであるということが言えます。小学生の漢字学習上、「令和」が最良の選択だったのです。

政府や有識者たちは、恐らくはこうした漢字学習のことは考えずに選考したと思います。結果として、偶然にもこれまでの基準に当てはまる元号が選ばれた、ということなのでしょうね。

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