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漢字指導における字体の考え方についてのメモ

2020年度から実施される小学校の学習指導要領について、漢字指導についてしっかりとまとめていなかったかなと思ったので、メモ書きします。

以下、「小学校学習指導要領」に書かれた漢字指導の部分です。

漢字の指導においては,学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とすること。

また、この部分について「小学校学習指導要領解説 国語」では、以下のように説明しています。

 (エ)は,漢字の標準的な字体の拠り所を示している。
  漢字の指導の際には,学習指導要領の「学年別漢字配当表」に示された漢字の字体を元に指導することを示している。「常用漢字表」(平成 22 年内閣告示)の 「前書き」及び「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(平成 28 年2月 29 日文化審議会国語分科会)においては,以下のような考え方が示されている。
・字体は骨組みであるため,ある一つの字体も,実際に書かれて具体的な字形となってあらわれたときには,その形は一定ではない。同じ文字として認識される範囲で,無数の形状を持ち得ることになる。
 児童の書く文字を評価する場合には,こうした考え方を参考にして,正しい字体であることを前提とした上で,柔軟に評価することが望ましい
 一方,漢字の学習と書写の学習とを考えたとき,文字を書く能力を学習や生活に役立てるために,文字を正しく整えて書くことができるよう,指導の場面や状況に応じて一定の字形を元に学習や評価が行われる場合もある。指導に当たっては,字体についての考え方を十分理解した上で,生涯にわたる漢字学習の基礎を培うとともに,将来の社会生活において漢字を円滑に運用できる能力を身に付けていくことができるよう配慮することが重要である。

と書かれています(太字はこちらで設定しました)。「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」について触れていますが、以前の学習指導要領の考え方からの変更はないように思えます。

これに先立つ文科省側の考えとして、下記の資料での答弁があります。

学校教育における漢字指導の在り方について

この答弁については、以前書いた記事がありますのでご参照ください。

もう1つ。昨年末に教科書会社である教育出版から、『漢字指導の手引き 第8版』が発売されました。新学習指導要領を踏まえての新版発売なのですが、学習指導要領での漢字指導部分について、

それ(引用者注:常用漢字表の「字体」についての考え方)に準じて言えば、右の学習指導要領の示し方は、「指導上の配慮から、個々の漢字の字体(文字の骨組み)を、明朝体よりも筆写の楷書に近い教科書体活字のうちの一種を例に用いて、指導の際の標準として示した」と言うことができよう。すなわち、示された教科書体活字の形が最も正しい「標準字体」だという意味ではなく、「指導の際の標準」にということなのである。

と書いています。同書では以降も、各教科書によって漢字のデザインが違うのだから、それを誤字としないよう、教育的な配慮が必要であると書かれています。

教科書会社からもこうした文章が出されています。常用漢字表の考え方を踏まえた漢字指導、教材作成の浸透が進めばと願います。

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