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「語彙」の近頃についてのメモ

「語彙力」について、こんな記事を見ました。

やばい?大人の語彙力が若者にジワジワくる理由(読売新聞(ヨミウリオンライン)) - Yahoo!ニュース

記事では、「語彙力」本ブームの説明や、若者の流行言葉としての「語彙力」について述べています。

若者の流行言葉としての「語彙力」は、語彙の乏しさアピールであったり、自分が持ち合わせている言葉で伝えきれないが、このすごさを伝えたいというときの手段の1つとして使われているようです。「語彙力」という言葉自体がインパクトある伝え方になっているんですね。


国が語彙の重要性を明確に示した

これまで、語彙を身に付けて使いこなすことについては、ビジネス本・自己啓発本などでいろいろな方が思い思いに述べていました。
ですが、今年の3月2日に文化庁で取りまとめられた「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」にて、望ましい伝え合い、コミュニケーションのためには、自分に必要な語彙に精通し、社会生活に必要な語彙を身に付けることが重要であると、詳細かつ明確に示しました。
下記、p.13の語彙の運用について書かれた部分の画像を掲載します。

語彙に限らず言語コミュニケーション全般において、この報告をもとに考えていくべきことが今後増えるのではないかと思います。私もさらに考えたいです。


どの語彙を身に付けるべきかのリストは、ない

ところで、「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」では、もう少し語彙のことについて書いているのですが、いちばん衝撃的というか、正直だなと思ったのは、

具体的にどのような語彙を身に付けるべきかを示すような指針はありませんが、

という部分。この後には「常用漢字表」が手掛かりになると続きますが、「基本語彙」リストというものは、まだ定められていないのであると明言しています。世にある語彙のリストはどれもが私案、試案であり、答えらしきものは今のところはない、とも言えるでしょうか……。

これは日本国語学会が監修した『語彙ー言葉を広げるー』(2017年、東洋館出版社)での語彙に対する認識と一致しています。2017年3月に新しい学習指導要領が告示され、国語では語彙の学習が系統立てられましたが、学ぶべき具体的な語彙のリストは、まだ作り上げられていないとのこと。

選定はこれまでも試みられてきましたが、調査や選定の方法も含め、かなり困難です。今後の研究や実践に大きな期待がかかる分野とも言えます。(『語彙ー言葉を広げるー』p.17より)

今後、2020年度から使用される新学習指導要領に沿った国語教科書に合わせて、どんな語彙を学ぶのか、どうしたら学べるのかという側面が本格化するかもしれません。引き続き、気にかけていきたいです。

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