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2018年の4月から3か月間を過ごしたシェアハウスにあそびにいってきた。退去ぶりだったから7か月ぶり。

駅から家まで、なんの違和感もなく、まるできょうの朝もその道を通ってきたかのような自然さで歩く。


玄関先まできて、急に足が止まった。

あ、わたしの住んでいた、皆と暮らした家だ。

リビングに明かりがついている。玄関には自転車が置いてある。庭には春先に植えていた植物が茂っている。

階段をぬけて、インターホンを鳴らす。ばたばたと音がして、扉がひらく。

笑顔のハウスメイトが顔をだす。

あ、わたし、この家に帰ってきたんだ。

お邪魔します、と家にあがる。

リビングにはいると秋にハウスをでたという子がすでにやってきていて、くつろいでいる。

ビール片手に、最近どうよ、とあーだこーだ話すこと3時間弱。仕事だったルームメイトを迎えて小一時間。

皆それぞれに変化があったり、変わらないことがあったり、ハウスのメンバーも雰囲気も、違っていた。それでもきょう集まったわたしたちは、7か月まえの空気をまるごととりもどしていた。

それはわたしの住んでいた3か月とおなじくらいに、ごく自然であっという間で、濃密で不思議な、まるで幻みたいな時間だった。

じゃあまたねと、扉を閉めてハウスをあとにした。


帰り際、退去のときに置いてきた傘を持ち帰ろうとおもったのだけれど、もう置いてなかった。誰かが使って、どこかに置いてきたんだろう。

コンビニで買ったビニール傘に、白のポスカでELLEGARDENの「Good Morning Kids」の歌詞を写し書きした、世界にひとつだけの、わたしの傘だった。