数字とグラフで見る「2016年参院選」

こんにちは。とんふぃです。

先日、参院選の結果が出ましたが、さて国政がどうなることかと考える間もなく、すでに都知事選のニュースが行き交っています。
とはいえ、参院選の総括をしておかなければならないので、国政選挙恒例となっている「数字とグラフで見る」シリーズをお送りいたします。

まずはじめにお見せするのは、いびつな形をしたグラフ。今回の獲得議席数ごとに、円グラフのパイの大きさを変えたものです。パット見で、今回の選挙の勝者と敗者がわかるかと思います。

いびつな形ではわかりにくいかもしれませんので、一応きちんと円グラフも作りました。こちらの方が見やすいですか?

この議席数を比率にした「議席占有率」は以下の様な数字になります。

さて、しかし大切なのはここから。上記の議席数は、「選挙区」+「比例区」を足したものとなっていますが、ここからそれぞれを別個に見ていき、より正確な「民意」を考えたいと思います。
まずは「選挙区」から。

選挙区の得票数は、上記のとおりです。下のように比率にすると一層明確なのですが、選挙区だけでいうと、与党(自公)は48%の得票、野党4党は37.5%の得票でした。

そして、この得票数/率の結果、それぞれが獲得した選挙区での議席は、以下のとおりになります。円グラフの各党のパイを見れば明白ですが、得票率と獲得議席数には大きな隔たりがあります。

これは、選挙区における多数決によって生み出された「死票」(落選候補者への票)の問題です。そこで次は、どれだけの死票が生まれたのかを数字とグラフで見てみましょう。

上記水色で示すのが、「選挙区における死票」です。全体の票のうち、およそ3分の1は死票になっています。ところが、これを一人区(一人のみが当選する選挙区)に限るとさらにものすごい割合になります。

これが、一人区における死票の数です。もはや当選者と落選者の得票数はそれほどの違いもなく、まさにBrexitくらい競っていたことが見て取れます。
単純な多数決によってこれほどの死票が生まれています。

次は比例区です。

そして、その得票割合を示した得票率が以下のとおりです。

ここからが面白くて、このように比例で得票をしていても、獲得議席数は以下のようになります。これが非拘束名簿式、ドント方式の産物です。


少し視点を変えてみましょう。前回の参院選までは自民党候補者が勝っていたが、今回は野党候補が勝ったという選挙区がかなりありました。その選挙区の投票率を調べたところ、ほぼ例外なく投票率が上がっているという結果が出てきました。これは非常に興味深い事実です。


ところで、今回は期日前投票の利用者がかなり増えたということも話題になりましたが、蓋を開けてみれば投票率は戦後4番目に低い54.70%。結局は、これまで当日に投票していた人たちが期日前投票制度を知って、利用し始めたという仮説が成り立ちそうです。今回は、当日と期日前投票の割合、そしてどれだけの人が選挙を無視しているかをグラフ化しました。


最後は、話題になった18歳選挙権とその投票率です。
嬉しいことに、18歳が投票率50%を超え、19歳の投票率も20代に比べると悲観したものではありません。やはりこれだけメディアが取り上げると意識するものなのでしょうか。

おそらく多数の高校において主権者教育を行ったことが18歳の投票率の高さの原因と考えられます(文科省の6月の調査では、9割以上の学校で主権者教育を導入するとされています)。
また、大学生になって住民票を移さないままに別の地域へと移住する学生らとは違って、18歳はまだ住民票のあるところに住む子が多いということも考えられます。

もし読んでくださった方の反応がよければ、また続報でいろいろと数字を出してみるので、よろしくお願いします。

とんふぃ 拝


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