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イベントのオンライン開催は流行らないかもしれない?

新型コロナウィルス(COVID-19)の影響でオンラインイベントが明らかに増えているのだけど、本当に今後の主流になるのだろうか?ちょっと考えてみた。

現状ではオンライン開催が台頭している

海外のB2Bイベントの動向を見ていると、明らかにオンライン開催が増加しているように見える。これは、感染リスクに対応するイベントの未来を体現する動きであって今後の主流と取る向きもあるけど、本当にそうなのだろうか?

確かにオンラインでの開催は、物理的な移動や時間的な制約を取り除き、参加者の負荷軽減に役立つのも事実。しかしそれがオーガナイザーの意図であるならば、なぜ今までやらなかったのか?ソリューションは以前から存在していたし。

なにか理由があるのかもしれない

2020年のパターンとして:

1)2020年は開催見送り
2)オフラインイベントをオンラインに置き換える
3)オフラインイベントを延期して、その時期にオンラインイベントを開催

等のパターンに分類できると思う

中には、今後のすべてのイベントポートフォリオをオンラインに切り替えてしまう例も見られるが、これは極端な例。

それでもオフラインが存続するの?

1)のケースはオンラインと直接関係がないけど、いくつかあったのが、一度2020年の開催をキャンセルした後に再度オンライン開催を発表したケース。
おそらく、2〜3月くらいの段階ではオンライン開催のリソースが無かったか、展示会中心だったためオンラインで配信する内容が無かったケース。しかし今後の継続を考えると何らかの形で出展/協賛企業の予算を確保しておく必要があり、オンライン開催を決断したのではないか?

2)は単純な置き換えで、3)のオンライン/オフラインのケースが結構あります。

考えられるのは:

・オンラインイベントの実効性に対するフィージビリティスタディ
・あくまでもオフラインがメインだが、今期のクライアント予算の確保のために今年はオンライン実施

あたりじゃないかと思う。

現時点で、本格的にオンラインに舵を切ろうとしているオーガナイザーは限定的。現状ではオフライン開催の方が、オーガナイザーに取って収益が大きいので当然の判断かなと思います。

もちろんオンライン開催であれば会場費等のコストを削減可能であり、さらに参加費用を抑えることによって、より多くの参加者を集めることは可能というメリットはあるので、中長期的にはカンファレンス自体はオンライン開催が増えてくるかも。

特に、ラーニングやワークショップ系は基本的に登壇者→聴講者の関係なのでオンラインで問題ないのでは?

新しいカンファレンスの事業モデル

海外のカンファレンスは有料が多い訳で、その収入も主催者にとっては重要なので、オンラインへの移行によるカンファレンスパスの低価格化は気になる一面。本来コンテンツの価値(質)が一緒であれば安くする必要は無いのかもしれないけれど、現実として最近の海外の事例ではオフライン開催より圧倒的に安い値付けになっている。

実際のイベントでは展示会との兼ね合いもありもっと複雑な事業モデルになるが、極々シンプルにすると:
・オンライン化による会場費と運営費の削減
・参加パスの低価格化と参加者数の増強

以上をベースに事業モデルを改革していけば、少なくともカンファレンス主体のビジネスは成立する。

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このモデルは従来無料で提供していたカンファレンスにも適用可能で、(コンテンツクオリティの担保は必要だが)イベントの収益化は可能(な筈)。
いままで無料でやっていたカンファレンスをいきなり数万円にすることはできないけど、高品質のコンテンツ(スピーカー他)を提供したうえで5,000円の課金は可能。

おそらく注意すべきは、(有料カンファレンスの)過去の収益構造に囚われすぎて、中途半端なパス料金の値下げで済ませた場合には、オンライン化のメリットを享受出来ない可能性がある。
これは、過去の需要(実際の有料カンファレンス参加数、コストが下がれば参加意向あり)の分析が必要であり、数年掛けて段階的に価格を下げていくのもあるだろうと。

参加者の目線は?

参加者はどうだろう?わざわざ会場まで行く必要もなく、自席でリラックスして参加できるのは良いかもしれない。仮に海外の有料カンファレンスとかが安く参加できるのであれば、それも嬉しい。

でも同時に会社を離れるワクワク感は無くなるのも事実。他の参加者とのネットワーキングも、今までのようにはいかないし。

では展示会はどうだろう?

物品を展示し、来場者に見せる展示会は、中々オンラインに置き換えるのは難しいかもしれない。食品の味、コスメの香りやテクスチャー等、オフラインじゃないと伝わらない商材はいくらでもある。この分野については、当面は変わらずにオフラインのイベントとして開催されるのではないか。
分野によっては、オンラインへの移行が問題ないのものもあるので、ここから10年くらいで徐々に需要が減るのかもしれない

さて最後に取り残されるのは?

整理すると、まだまだオフラインも残る訳ですが、ラーニングや研修を目的としたカンファレンスはオンラインに置き換えることが可能。

同じカンファレンスでも参加者とのネットワーキングが重要なカンファレンスは当面はオフラインだろうが、ミートアップを実現するアプリ等で機能を補うことが可能になるだろう。

展示会については当面フィジカルに開催するしかないかもしれないが、方向性としては徐々に減っていくかもしれない。そうなると会場サイドは、長期的にみた新しいビジネスモデルを検討する必要がある。

大規模な会場はB2Cを中心に需要はあるし、そもそも国内は会場数もそれ程多くないので当面は問題ない。

おそらく一番厳しくなるのは中規模な会議場ではないだろうか?ベルサールTKPソラシティーインターシティーとか。

国内には、このような会場も多いので、彼らのビジネスポートフォリオを大きく舵を切る必要があるとおもう。いままで都心部で開催されていた100〜500名くらいのキャパを中心とした会場で開催されている多くのカンファレンスは、今後オンライン化されていくだろうな。

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