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【ちょこっとDirty Pals#2】 イラストレーター・ヒョーゴノスケ × 監督・堤大介 スペシャル対談

Intro

トンコハウスの会員制オンラインコミュニティ「Dirty Pals(ダーティパルズ)」で、不定期に行うスペシャル対談。トンコハウス・堤大介がお呼びしたのは、大人気イラストレーターであるヒョーゴノスケさん。この対談のテーマは、「ヒョーゴノスケ・スタイルに出会うまで」。
若い世代にも影響を与えるオリジナルな画風はどうやって生まれたのか?話題になったドラえもんの映画ポスターや、新作絵本の話。そして今後の夢の話まで。堤大介が「ヒョーゴノスケ・スタイル」に迫ります。

ーーDirty Palsについて
「Dirty Pals」はTonko Houseが運営する会員制のコミュニティ。毎月スペシャルなゲストをお迎えしてオンラインのトークライブをお届けする「Monthly Talk」や、毎週土曜日の夜に堤監督とロバート監督の会話を覗き見する「ロバート&ダイスのWeekly本音トーク」、その他様々な活動をFacebookグループ上で行なっています。
トンコハウスを通じて出会った仲間から生まれたこのコミュニティで、トンコハウスから皆さんへ、皆さんからトンコハウスへ、様々な気づきを共有し、好奇心を刺激し合う場所としてお楽しみいただけたら幸いです。

Guest

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イラストレーター・ヒョーゴノスケ
Twitter

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聞き手・堤大介


- Vol1. -
はじまり

実はあの時出会っていた?

堤大介監督(以下、堤):
ヒョーゴノスケさんは以前からツイッターやインスタで追っかけていた存在ですが、直接お会いしたことは今までなかったですよね。今回もリモートでのインタビューではありますがよろしくお願いします!

ヒョーゴノスケ:
本日はよろしくお願いします!直接お会いしたことはない…と言いつつも僕はトンコハウスの大ファンなので、セミナーや映画祭に参加して堤さんを柱の陰から見たりしていました(笑)

堤:
えーーーーーーーーー!!!!(驚)本当ですか!!! お声かけていただけたら、トンコハウス・カフェでお茶したかったです!!! お互いの存在をずっと前から知っていたと思うと素直に嬉しいです、、。

まずはわざわざアメリカまで絵本送ってくださりありがとうございました。すっごい嬉しかったです。まさか、送っていただけるとは思ってなかったので。僕も日本の民話をテーマに今作品を作っているだけに、すごいタイムリーでしたし、元々、僕も絵本を集めるのが好きで、自分の息子だけじゃなく自分でも声に出して読んでみたりしました。

ヒョーゴノスケ:
以前ダムキーパーの絵本を送っていただいたのがすごく嬉しくて、これはいつか自分の絵本が出来たときにはお返しをせねばとずっと思っていました。今回念願がかなって本当に良かったです。

堤:
今や日本のイラストレーターとしてヒョーゴノスケさんはすごい注目を浴びている人ですが、僕みたいな絵描きの中でも一目置かれている方です。今回はヒョーゴノスケさんの事を詳しく知らない人にも知っていただきたく、基本的な質問も混ぜて色々お話しさせてください。

ヒョーゴノスケ:
了解です!よろしくお願いします。

アーティストの旅のはじまり

堤:
ヒョーゴノスケさんの幼少時代。やっぱり小さな頃から元々アートに興味があったのでしょうか。どこからこの道に進む事を意識し始めましたか。

ヒョーゴノスケ:
物心つくかつかない頃から絵を描くのが大好きだったので、もうそこからですね。気が付くと『できるかな』(NHK教育)のノッポさんが自分のヒーローになっていたり、ドラえもんを模写したりしていました。

堤:
ドラえもん模写はまだしもノッポさんを描く子供は珍しい!

ヒョーゴノスケ:
あ、ノッポさんを描いてはいませんよ!憧れの人物という意味です(笑)
幼稚園では世界一ドラえもんを描くのが上手いと友達に言われていました。でも別の子が「世界一ドラえもんを描くのが上手いのは藤子不二雄先生だ」と言うので僕は世界で二番目になりました。

堤:
なんてリアルな指摘をする幼稚園児!(笑)

16歳でプロの漫画家デビュー

堤:
どこかで16歳で漫画家デビューと読んだのですが、そんな小さな頃からやられてたのでしょうか!!??

ヒョーゴノスケ:
幼稚園の前ぐらいからもう漫画家になりたいと思っていました。
高1~高2の春休みに漫画を一本描いて週刊少年ジャンプに初投稿し、それが入選しデビュー作となりました。完全にまぐれです。

堤:
まじですか!!!!!!!それって全国のよいこが夢見る展開じゃないですか!いただいたデビュー作のイメージですが、これ、16歳とは思えないですね!この時から独特のスタイルがある! 僕は18歳でアメリカに渡ってから絵を始めたので、16歳でこんな描けるなんて信じられません、、、しかも凄いしっかり衣装のパターンとか背景のデザインとかしてるんですね!!! 

ヒョーゴノスケ:
ありがとうございます。当時はなんだかよく分からない根拠のない自信があったんですが、今見ると恥ずかしいですね。これは拷問ですよ!
でも、ありがとうございます!

堤:
高橋陽一さんのアシスタントもしていたとか。元々は漫画家を目指されていた?

ヒョーゴノスケ:
高校卒業後は上京して高橋陽一さん、稲田浩司さん、にわのまことさん、ガモウひろしさんのアシスタントを経験しました。
通常ならアシスタントをしながら自分の漫画を描いて連載を目指すところなんですが、漫画を描くのが苦痛で苦痛で…漫画家にはなりたいけど描きたい漫画があるわけではないことに気付いたんです。

堤:
ある意味、漫画家さんになる王道の道を歩んだのですね。僕も藤子不二雄先生の『まんが道』で知った知識ですが。
でも、漫画を描くのが苦痛で、、、と言うのは、、??やはりアシスタントをしながら、自分の寝る間を削って「三度の飯よりスクリーントーン」的な過酷な世界だったからとかでしょうか?

ヒョーゴノスケ:
「三度の飯よりスクリーントーン」っていう言葉は初めて聞いたんですけど…(笑)苦痛だったのはネームですね。ネームが通ってはじめてちゃんと絵が描けるんですが、ネームが全然通らない。絵は描きたいけど描きたい物語を持っていなかったんです。

堤:
そっかー。やっぱり漫画の世界もストーリーなんですね。映画の世界も一緒です。

20代の頃に描いていた未公開漫画のカット

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資料の模写

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未公開漫画の扉用に描いたキャラクター

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ゲーム制作の業界に転身

堤:
その後、ゲーム会社でのお仕事に変わりますが、その経験はヒョーゴノスケさんにとってどう影響したのか聞いてみたいです。

ヒョーゴノスケ:
漫画家のアシスタントをしていた頃、ちょうどプレステやセガサターンなどの次世代ゲーム機ブームが到来していて、3Dのポリゴンのキャラや世界にビビッときたんです。「これがやりたい!!」と思ってゲーム業界に転身しました。

堤:
僕もゲーム畑でスタートしてるのですが、漫画家とはまた違った環境ですよね?会社勤めだし、チームも大きいし、アニメスタジオで働くのと近い。安定もあるけど、自由は少ない。

ヒョーゴノスケ:
ゲーム会社に入ってまず驚いたのは、毎日家に帰れるところ(笑)
給料もいいし保険等もちゃんとしている。仕事も楽しくて、ここは天国かと思いました。
ゲーム会社は大きいことろも小さいところも中規模なところも色々経験しましたが、合計すると20年位いたと思います。

堤:
ゲーム業界の厳しさを指摘する声もある中で、「ゲーム業界は天国」と言う言葉が新鮮!(笑)でも、漫画家さんを目指した所からのコントラストもあるのでしょうね。ちなみに最初からキャラクターデザインなどのお仕事ですか?

ヒョーゴノスケ:
いいえ、主に3Dで背景を作る仕事をしていました。地形や建物をモデリングしてテクスチャを貼ってライティングしたりカメラワークを決めたり…そんな感じです。
ゲーム会社で偉くなってしまってからはスケジュールやお金の計算などをしたり外部の偉い人との会議に出席したり、物づくりと関係ないことをやらされてつらかったです。でもフリーになったら全部一人でやらなきゃいけないことなので、結果的には会社勤めはとても良い経験だったと思います。

堤:
そして今はフリーのイラストレーターでやられている。ある意味、会社勤めからまた個人作業に戻った。それはヒョーゴノスケさん的にどちらが好みですか。 僕は個人的に一人作業よりもチーム作業が向いてる方で、アニメーション業界が肌にあってたのですが。

ヒョーゴノスケ:
どちらも良さがありますが、今「会社勤めに戻りたいか?」と聞かれたら「絶対に嫌だ」と答えるので個人作業が好みなんでしょうね。

堤:
絶対に嫌!!(笑)

ヒョーゴノスケ:
個人作業はなにもかも自分で決定できるので、自分が良いと思ったものを作ることができるのが良いです。
会社勤めだと意見が人それぞれで、自分では全然良いと思わないけどお金をもらっているんだから作らなければいけないという状況が発生したりします。
もちろんフリーのイラストレーターもクライアントの意向には沿わなければならないんですが、そもそも方向性が合わない人は自分に依頼をしてこないし、合わなそうであればお断りします。その「お断りできる」というのもフリーであることの良さですね。

堤:
なるほど。もちろん、それができる立ち位置にいる事が前提でしょうが、やはりそこはフリーの方が、自分の責任で自分の仕事を設計していけますからね。

ヒョーゴノスケ:
ですね。いっぽう会社勤めの良さは人との出会いにつきますよね。自分は持ってないもの、足りてないものを持っている人との出会いにたくさんの刺激をもらえます。ゲーム会社に入って初めてパソコンに触ったり、板タブレットやPhotoshopの使い方も教わりました。もしゲーム会社に入ってなかったらデジタルで絵を描いてなかったかも…なので会社勤めは確実に人生のプラスになっています。
でも今のフリーの状態が楽しすぎるので、会社勤めに戻るのは絶対に嫌です(笑)

堤:
(笑)

ピクサーのアートに影響を受けながら描いたゲームのコンセプトアート

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個人製作ゲームのスクリーンショット

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つづく…

まだまだ盛り上がったスペシャル対談。続く以下のトピックを含めた全編は、Dirty Palsでご覧いただけます。

<Vol.2:ヒョーゴノスケ ・スタイルの誕生>
■ ヒョーゴノスケさんの独自の画風はどうできたのか
話題のドラえもん映画ポスター
■ TOKYOオリンピックのアニメーション

<Vol.3:これからの夢>
新作絵本について
ヒョーゴノスケさんの夢

▷ これまでの記事もまとめて読む

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次回12月のMonthly Talk Liveは、なんとゲストにイラストレーターの上杉忠弘さんをお迎えすることが決定いたしました!

上杉忠弘(Tadahiro Uesugi)
日本のイラストレーター。宮崎県延岡市出身。セツ・モードセミナー卒業後、企業広告や書籍、雑誌の表紙等を手がける。
漫画家 谷口ジローのアシスタントを経てイラストレーターに。
2009年公開の映画『コララインとボタンの魔女』ではコンセプトアートを担当し、第37回アニー賞最優秀美術賞を受賞。
2011年発売のニンテンドー3DS用ゲームソフト『謎惑館 〜音の間に間に〜』(カプコン)のビジュアルアートを担当。
2014年公開のディズニー映画『ベイマックス』、2018年3月公開の『リメンバー・ミー』など、数多くのディズニー・ピクサー作品でコンセプトアートを担当する。また、2016年、国内初となる絵本「ねこの看護師 ラディ(渕上サトリーノ (著), 上杉忠弘 (イラスト))」(講談社刊)を出版。中国語版、スペイン語版、フランス語版など数カ国語で翻訳されている。
2019年、TVアニメ「キャロル&チューズデイ」OP映像参加。

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開催日:12月18日(土)13:00〜
開催場所:Dirty Pals限定 Zoom配信
主催:Dirty Pals(トンコハウス オンラインコミュニティ)

年内最後のトークライブをお見逃しなく!

『Dirty Pals』入会はこちら

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『Dirty Pals』
入会ページ:Dirty Pals公式サイト
活動場所:Facebook非公開グループ
会費:月額 1,650円(税込)

みなさまのご参加お待ちしております!



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