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原作を知り更に深まる『レ・ミゼラブル』2019.4.18プレビュー観劇記

ALL REVIEWSの鹿島茂先生×初代エポニーヌ島田歌穂さんが、レ・ミゼラブルを語り尽くす対談をみてからの、ミュージカル『レ・ミゼラブル』プレビュー公演。

作品の背景やユゴーの出版までのあれこれ、少年がバルジャンにとられた40スーはいくらだったのか、なんてマニアックな話から、何故この作品が100年以上愛され続けるのかについての考察まで、また新たな視点をインプットしてからの観劇は、これまでとはまた違う作品を観るかのような新鮮さがありました。もう通算100回は観ているというのに。

それぞれが持つ正義や信念、それゆえの対立や死。その輪郭がさらに際立ってきて、バルジャンが砦でジャベールを逃すときのセリフ、「君の職務だろ。恨みなどない」がいつも以上に心に沁みました。

警察という職務全うのために執拗にバルジャンを追うジャベールに、バルジャンが掛ける言葉です。これ、身近な仕事でも本当によくあるシチュエーション。イラっとする対応されても、まー確かにその立場ならこうするよね、というイメージでしょうか(こんなに軽いシーンじゃないですけどね)。このシーンの佐藤バルジャンと伊礼ジャベールのバランス感も絶妙でした。

冒頭に紹介した対談で、鹿島先生はバルジャンは「公正であること」を貫いているからこそ、現代に通じ、読みつがれている作品だとお話されていませいた。「公正」はバルジャンにとっての「正義」。法令遵守がジャベールにとっての「正義」。自由・平等を実現することがアンジョルラスや学生たちの「正義」。どんなミゼラブルな状況でも前向きに生きていく、一途なマリウスへの思いを形にしようとするエポニーヌの「正義」。決して正義には見えないかもしれないけれど、テナルディエ夫妻のドブネズミのような生き方すら、ある意味一貫しているのでテナルディエ流の「正義」なのかもしれません。

その一方で、いや、マリウスの正義が見えないこと見えないこと!恋のなせる技かもしれませんが、「ほんと周りから助けられているのに気づかずにふわふわしてるなんて、イラッとする!」のは、一本通った正義が見えないからかもしれません。ふわっとしたお嬢様に育った(バルジャンの正義ゆえにそう育てられた)コゼットも同様です。

キャストについても、思うところ沢山。この日のキャストはこんな感じでした。


プリンシパルキャストはまだまだ伸びそう。

小野田アンジョルラスは、この出会いに感謝💕なくらいな私の好み。岡アンジョルラスに次ぐ素晴らしさ。鎌田コンブフェールとの絡み、死に意味があるのかと言う川島グランテールとの表情でのやりとり。彼のアンジョルラス回のチケットがもうないのがほんとにつらい…。

未だにジョンケアード演出版が頭によぎり、今の演出には慣れないわけですが……複数人数で絡む部分、バルジャン×ジャベールや、アンジョルラス×学生達とかの結束感やバランス感がすごく素晴らしいなと。何回も観ていると、「学生達そんな結束でフランス軍と闘えんの?」みたいな回も稀にあります。しかし今回は、いやもう勝てそうな気がする。

次の観劇まで1ヶ月空くので、さらに作品への理解を深めておきたく。原作は流石に読めないので、『レ・ミゼラブル百六景』再読と『世紀の小説『レ・ミゼラブル』の誕生』を読んで過ごそうと思います。

#レミゼラブル2019 #allreviews #アンジョルラス  

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