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Bから始まる松尾千鶴

今年2022年から大幅にリニューアルしたシンデレラガール総選挙、改めStage for Cinderella。全てのPが手探りの中スタートした予選グループA終了からあっと言う間に2ヶ月が経過し、いよいよ第2のステージ、グループBが開幕する。

48人のアイドルが出場する予選グループB。いずれも魅力あふれる48人の中から5人を選んで投票するわけだが、いざ選べと言われても迷ってしまうものだ。一体どのアイドルに投票すればいいのか?

しかし安心してほしい。あなたが迷わず投票すべきアイドルを1人、ここでお教えしよう。

それは、こちら。

そう、松尾千鶴である。

この記事では予選グループBにちなんで、あなたにぜひ知ってほしい松尾千鶴の魅力を「Bから始まる英単語」に関連づけて紹介していく。ひとつひとつの項目は短いが、最後まで読み終えた頃には胸を張って「松尾千鶴P」を名乗れるくらい、松尾千鶴への理解が深まっているはずだ。

では早速いってみよう!

1. Birthday / 誕生日

まずは基本的な情報から。

松尾千鶴の誕生日は3月21日である。3・2・1という綺麗な数字の並びで覚えやすい。

3月21日は、年によっては春分の日とも重なる。ちょうど桜が開花し始める時期でもある。([恥じらい桜乙女])

蛇足であるが、千鶴という名の「千」の画数は3、「鶴」の画数は21で誕生日とちょうど一致する。ついでに「松尾」の画数は15で松尾千鶴の年齢と等しい。

「だからどうした」という話だが珍しい事例なのは間違いないので、覚えておくといつか何かの役に立つかもしれない。

2. Birthplace / 出身地

松尾千鶴の出身地は福岡である。

[ひな祭り]

松尾千鶴の2枚目のカード[ひな祭り]はその名の通りひな祭りを題材にしているが、その特訓前画像には色鮮やかな吊るし飾りが写っている。これは「さげもん」という飾りで、福岡県柳川市の伝統工芸品である。

松尾千鶴は「さげもん」に強い愛着があるらしく、同カード実装時のシンデレラガールズ劇場では「さげもん」を欠いた雛飾りを「邪道」とまで言っている。このエピソードから、松尾千鶴は柳川出身だと考えるPは多い。

柳川藩主立花家の城下町として栄えた柳川は、昔ながらの和風建築が水路沿いに建ち並ぶ「水の都」として知られる。松尾千鶴の出身地という説にも頷ける美しい景観が楽しめるので、機会があれば訪れてみてもいいだろう。

3. Brow / まゆげ

松尾千鶴最大の外見的特徴と言えば、なんといっても個性的な眉毛である。

他のアイドルに比べて明らかに太めで目立つ眉毛だが、ただ目立つだけでなく、感情に合わせてよく動く。困惑するとハの字になり、びっくりすると吊り上がり、安心すると柔らかくなる。「眉は口ほどにものを言う」とはよく言ったものだ(言わない)。

ただハの字になるだけでなく、こういった複雑な曲がり方もする。([涙はやがて霧となり])

単に「太眉」と称されやすい松尾千鶴の眉毛だが、よく見ると特徴的な形状を成していることに気づけるだろう。滑らかな流線型のフォルムは「太眉」という単語にともすれば付きまとう野暮ったさとは一線を画しており、太眉ではなく「スタイリッシュ眉」と呼ぶべきではないかと筆者は密かに思っている。「鮭の切り身」とか「ククリナイフ」とか言ってはいけない。

この存在感のある眉毛は、松尾千鶴のもうひとつの外見的特徴である広いおでこ(「Brow」には「額」の意味もある!)と合わさって、彼女の顔に絶妙なバランスをもたらしている。このことはデレステでMV再生をしてみるとよく解る。表情の変化が強調され、クールな側面とキュートな側面が目まぐるしく入れ替わる松尾千鶴のパフォーマンスは必見。

4. Blurt / 口が滑る

松尾千鶴の外見上の代名詞が「眉毛」なら、内面の代名詞はこれ。「うっかり口を滑らせて本音をこぼしてしまう」という癖は、松尾千鶴の象徴と言ってもいい。

初対面からダダ漏れである。(アイドルコミュ「松尾千鶴とのメモリアル1」)

アイドルは皆、物語を持っている。どうやってアイドルとなったのか、アイドルとして何を目指すのか、そんなアイドルたちの物語シンデレラストーリーに、私たちはしばしば強く惹きつけられる。

松尾千鶴というアイドルの物語を簡潔に表すなら「可愛くなりたいという憧れを心の奥に封じた少女が、自分の本心と向き合い、少しずつ素直に変わっていく」というものだ。最近の松尾千鶴は大きく成長してすっかり素直になっているが、初期の松尾千鶴は所謂ツンデレに分類されるほど、自分の本音を隠していた。

しかし一方で、松尾千鶴には「口を滑らせる」癖があった。この癖が、本音をひた隠しにしていた初期の松尾千鶴と奇妙に共鳴する。どれだけツンケンした態度をとっても、本人の癖のせいで本心がPに筒抜けなのである。「口は口ほどにものを言う」とはよく言ったものだ(言わない)。

漏れ出す本音から伺える葛藤、憧れ、彼女の素顔。そういったものをひとつずつ拾い上げながら、松尾千鶴とあなたの物語は紡がれていく。

5. Barrette / 髪留め

前項で触れた通り、アイドルになる以前の松尾千鶴は「可愛いもの」に対する憧れを自ら抑圧していた。モバマスのシンデレラヒストリーで読める過去のエピソードでは、周囲の目を気にするあまり可愛らしい文房具や浴衣が手に入るチャンスを自ら手放してしまう松尾千鶴が描かれた。

そんな中、人知れず松尾千鶴の心のよすがとなっていたのが、彼女の髪留めである。

これまでに登場した松尾千鶴の髪留めは20種類を超える。(筆者作成資料)

松尾千鶴は常に前髪を横分けにし、おでこの右側で留めている。一般的に特訓前カードイラスト(つまり私服)では2本の髪留めを使用しているのだが、この髪留めのデザインがカードごとに毎回異なるのである。

このことについてはデレステのデレメール回答で本人が言及している。曰く「服や靴と違って、小物は集めやすい」「昔から時々、気になった物を買っていた」とのことである。

シンデレラヒストリー「不器用な私が歩んだ道」

シンデレラヒストリーのエピソードで、12歳当時の松尾千鶴は自己肯定感の低さから、浴衣の購入を強く拒絶してしまった。恐らくそれ以来、つまり中学生時代の3年間を通じて、松尾千鶴は可愛らしい服や靴を買えずにいただろう。親におねだりすることはできないし、お小遣いを貯めて買ったとしても、周囲に気づかれず保管、着用するのは困難だ。しかし髪留めであれば中学生のお小遣いでも比較的買いやすいだろうし、サイズが小さいため仕舞うにしても身に着けるにしてもそこまで目立たない。

まだあどけない少女にとって、自身の憧れを抑圧するのは辛い努力だっただろう。密かに集めた髪留めが辛うじて心を救ったことも、一度や二度ではなかったかもしれない。

憧れを捨てた少女の、それでも捨てきれなかった憧れ。松尾千鶴の小さな髪留めには、そんな大きな意味が込められている。

6. Blue / 青

松尾千鶴R

「青」は松尾千鶴のシンボルカラーだ。恐らくほとんどのPが一番多く目にしている松尾千鶴の服装は初期カード特訓前の制服姿だろうが、改めて見ても他の追随を許さない青さである。

年々威力を増している驚異的な可愛さゆえに「実質Cu属性」と評されがちな松尾千鶴だが、言うまでもなく実際の属性はCo、つまり「青の系譜」に連なる一人でもある。初期カード特訓後の衣装「ガールズムーブオン」は白地に散りばめられた水色の花模様が印象的だが、その発展形であるSR[乙女の晴れ舞台]+やSSR[きらめきの幕開け]+では青色が一層強調されている。前者では観客席を埋め尽くす寒色系のサイリウムとの、後者では上空に広がる澄んだ青空とのコラボレーションが美しい。

7. Brush / 筆

書道は松尾千鶴の趣味であり特技でもある。習字セットを持って書道教室に行くカードがあったり、身長より大きな筆で書道パフォーマンスをしたり、正月の時期には書初めをテーマにしたユニットでイベント出演したり、アイドルとしてのサインも筆で書いたような漢字表記の縦書きだったりと、アイドル活動の随所で特技を活かしている。

[乙女の晴れ舞台]

「仕事の合間に心を休める手段…書道は、正しく私の趣味だから」

[ステキなお手本]

という台詞もあるように、本人も書に向き合う時間を大切にしているようだ。

別の見方をすれば、1人で心を落ち着かせて取り組むことのできる書道という活動が、真面目だがあまり社交的とは言えないかつての松尾千鶴の性格に合っていたという面もあるだろう。同じことは、もうひとつの彼女の趣味である「勉強」にも言える。

2種類目のSSR[ときめきの瞬間]では万年筆で手紙を書いたり、欧文のウインドウサインを制作したりなど、毛筆での書道に留まらない多様なジャンルに挑戦している。書道という特技は、これからも多くの可能性を松尾千鶴にもたらし続けてくれるだろう。

書道教室の先生による貴重な情報提供。(劇場501話)

8. Boss / ボス

ゲームにおける松尾千鶴の初実装は2012年9月18日のこと。モバマスのお仕事エリア「福岡」のボスとして登場した。通称「ボス尾千鶴」とも呼ばれるこのときの松尾千鶴は、その後の松尾千鶴とは全く印象が異なる。

お仕事エリア「福岡A」

「私と戦って、得るものがあるんでしょうかね」という最初の台詞を始め、言動の節々にトゲがあるその態度は、現在の松尾千鶴と見比べるとまるで別人。中には「まるで」を通り越して本当に別人ではないかと考えるPすら存在し、一部のP(筆者など)は「ボス尾千鶴平行世界説」を大真面目に考察していたりする。

ボス尾千鶴のとりわけ大きな特徴は「本音をほとんど漏らさない」という点だ。福岡エリアを訪れたプレイヤーは4回にわたってボス尾と対戦することになるが、彼女が唯一本音らしきものを口走るのは第4戦終了後の台詞のみである。

「おめでとう。……もし、私もあなた達みたいな関係だったら…」

お仕事エリア「福岡D」

対戦に勝利したプレイヤーとその担当アイドルとの関係を、ボス尾が羨んでいるような台詞となっている。一部のPが唱えるように仮にボス尾が平行世界の存在だとしたら、私たちプレイヤーがスカウトし、プロデュースしている現在の松尾千鶴はまさしくボス尾の言う「もし」への回答とも言えるだろう。

エリアボス戦は一度通過するとゲーム内では見返す方法がなく、ボス尾千鶴についても担当P以外にはあまり知られていないのが実情だ。加えて今後モバマスのサービスが終了すれば、新規のPがボス尾千鶴と出会う機会はますます減ってしまう。しかし、ボス尾千鶴という一種の「暗黒面」もまた松尾千鶴というアイドルの深い魅力の一部である。見逃すことなく、是非じっくりと味わってほしい。

9. Belief / 信念

可愛いものに対する松尾千鶴の強い憧れは、もはや信念、あるいは信仰と言えるような域に達している。それが最も端的に現れているのは、松尾千鶴が白菊ほたるに対して掛けたこちらの台詞だろう。

「こんなにかわいい子が、不幸になるわけないよ、ほたるちゃん」

「アイドルチャレンジ 目指せきらきらモデル」

冷静に考えれば「可愛いかどうか」と「不幸かどうか」に直接の因果関係はない。しかし松尾千鶴にとっては違う。それほどまでに、松尾千鶴にとって「可愛い」ということは特別なのだ。

しかめっ面の関ちゃんを初めて見た松尾千鶴の感想。自分以外の可愛さに対してはとことん敏感。(シンデレラヒストリー「温もりに手を伸ばして」)

一貫した強固な信念は何かに迷ったときの拠り所となるし、行動の指針ともなる。しかしその一方で、行き過ぎた盲信は我が身を傷付ける諸刃の剣となることもある。松尾千鶴の場合もそうだった。可愛いものを絶対視するあまり、自分を過剰に卑下し、自分には可愛いものは似合わない、可愛いものに憧れるべきではない、と自虐的になっていたのだ。

まばゆい星のきらめきに焦がれながら、燃える星に近づけば翼が融けると悟り、羽ばたくのをやめたイカロス。幼い松尾千鶴の歩んだ道は賢明で、そしてどこか寂しいものだった。

10. Brightness / きらめき

人類皆松尾千鶴」という言葉がある。かつての松尾千鶴が抱えていた、自分に自信が持てなかったり、周囲の目を気にしたりして憧れや夢に素直になれない、という葛藤は、世の中の誰もが経験しうる普遍的なものだ。

憧れと諦めの狭間で苦悩し、そして乗り越えてきた松尾千鶴の成長過程は決して他人事ではない。私たち自身もかつて同じような経験をしたかもしれないし、あるいはこれから経験するかもしれない。だとすれば、ある意味で私たちは皆、松尾千鶴なのだ。

きらめき」とは何か。それは松尾千鶴という少女を――ひいては私たちを――惹きつけてやまない、眩しすぎる「憧れ」を表す言葉だ。それは時として松尾千鶴を翻弄し、一方で松尾千鶴を突き動かす原動力となる。こと「アイドルマスター」という作品において、それは「アイドル」(=「偶像」)とほぼ同義でもある。

松尾千鶴の歴史に「きらめき」という言葉が登場したことは少なくとも二度ある。ひとつは「アイドルチャレンジ 目指せきらきらモデル」であり、もうひとつはSSR[きらめきの幕開け]である。

[ポップ・モデル]

2014年9月開催のモバマスのイベント「アイドルチャレンジ 目指せきらきらモデル」では、諸星きらり、白菊ほたる、佐藤心、そして松尾千鶴というメンバーがファッションモデルに挑戦した。自己肯定感の低かった当時の松尾千鶴は、レッスンを繰り返すうちに「可愛いアイドル」である他の出演者と自分を比較し、自分が可愛いものに憧れる資格はないと思い悩む。

そして、1人でポージングの練習をしているところを佐藤心に目撃された際、その葛藤を心に対して強い言葉でぶつけてしまう。2人のやりとりは口論に発展するが、言い合いの中で判明したのは、心もまた松尾千鶴と同様の葛藤を抱えていたという事実だった。ほたる、きらりの仲裁もあり、それぞれの想いを吐露し合った4人は改めてランウェイを目指す。

劇中で開催されたファッションショーの名は「ネクストスターコレクション」。生まれて初めて立つランウェイで、松尾千鶴はきらめくスターとなった。そしてランウェイの上から、客席へ向けてこう言ったのだ。

「私たちのチャレンジはここで終わります。けど、次のスターは、私たちの仲間の誰かかも、この会場の誰かかもしれません!」

「自分の可能性を信じて、みんな、頑張りましょう! どこかで、また会うときがあったら、キラキラしていてくださいね!」

「アイドルチャレンジ 目指せきらきらモデル」
[きらめきの幕開け]

時は流れて2020年3月。満を持して実装された松尾千鶴の最初のSSR[きらめきの幕開け]には、ライブに集まったファンへの言葉として、このような台詞があった。

「いつもキラキラしていてくれてありがとう! ちゃんと見てますよ!」

[きらめきの幕開け]

身を焼くような「きらめき」に焦がれた誰かが新たな「きらめき」となり、また別の誰かの心を焦がす。そうして「きらめき」は受け継がれていく。過去や現在の幾多のアイドルから、松尾千鶴へ。松尾千鶴から、彼女を見つけたあなたへ。あなたから、未来の誰かへ。時空を超えて連なる「きらめき」の鎖で、松尾千鶴とあなたは繋がっている。

だから、松尾千鶴の物語は、あなたの物語でもあるのだ。


さて、いかがだっただろうか。広く浅くではあるが、松尾千鶴の魅力の一端を知っていただけたのではないかと思う。

もちろん、この記事だけでは伝えきれなかった松尾千鶴の魅力は多数ある。松尾千鶴についてもっと知りたいと思っていただいた方のために、参考になりそうなウェブサイト等を幾つか紹介しておこう。


最後に改めて、SfC予選グループBは松尾千鶴に投票よろしくお願いします

この予選グループBが、あなたと松尾千鶴の物語の新たな幕開けBeginningとなることを願い、この記事を締め括ろう。

きらめきに満ちた晴れ舞台は、きっとすぐそこだ。

[乙女の晴れ舞台]――意訳すると“Stage for Cinderella”

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