サイクリングターミナル

何故あんなことを考えたのか、そして何故実行したのか、今でも判らない。
何しろ私は運動音痴だ。徒競走は必ずビリ、2キロ走もゴール時には卒倒寸前、体育の時間は苦痛そのものだった位だ。
成人し、運動とはほぼ無縁の生活を送ってきた私が四国に渡った。自転車でしまなみ海道を走る為だけに。
などと偉そうなことを言いながらも、自転車は電動サポート付きのもので、行程も今治〜来島の往復という最短距離でしかなかったが。しかも復路、道に迷うというおまけ付きで。
それでも自転車で風を切る爽快感を感じることができた。普段意識しない、麗らかな潮の匂いも味わうことができた。
しかしあれ以来、自転車の魅力にはまった、ということはない。自宅にある自転車のタイヤは、多分空気を入れないと乗れない。
外出のツールは自家用車だ。そんな私があの時何故、ひとりサイクリングをする為だけに長旅をしようと思い立ったのか。答えは今でも出せずにいる。

#旅する日本語

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