2021年4月2日、「広島第一劇場」が公式に閉館を発表した。
今まで何度も閉館すると言っては復活し、「閉館詐欺」と揶揄されることもあった劇場が、ついに本当の終わりになってしまう。
「閉館詐欺」のことは知っていたし、復活した劇場にも行った。
だけど、もしかしたら今回も…という気持ちは不思議となく、「ああ、今回は本当に終わってしまうんだ」と漠然と感じた。

広島第一劇場には、３度行った。

一度目は職場の旅行で広島に行った時。
ホテルの周りを散策していたら、目の前に突然劇場が現れた。
どうやらずいぶん近くに泊まっていたらしい。
ネットで見た女体のレリーフが施された建物を「これが広島第一劇場か…」と眺めていると、背後から「ねーさん、なんしとーとね？」と後輩が声をかけてきたのでチャンスとばかりに「ねえ！私ここに行きたい！！二次会ここにしよう？何時までやってるか聞いてくるけん！！」と、テケツに突撃。「12時くらいまでやってますよ～」の言葉に「後で来ますね！！」と勝手に約束をして、「12時までやってるって！！二次会ここね♪誘導よろしく～」と嬉々として後輩に告げた。

そして数時間後、私は無事に広島第一劇場の赤いシートに腰かけていた。
初小倉以来、2度目のストリップ！
ドキドキしながら、がんばってポラも撮った。MIKAさんとアキラさん。
初めて見たMIKAさんのエアリアルに「ラムちゃん以外で輪っかの中に座ってる人初めて見た…」と感激した（これは今でもことあるごとに言う）。
団体でわらわらポラに押しかけた私たちに「ステージ上がっていいよ！」と楽しい写真を撮らせてくれたアキラさん。
私のポラアルバム1冊目の一番最初のポラはこの時のもの。

天井が高くて広い劇場は、初めて入った小倉の劇場とは全く違っていて劇場によっていろいろ違うんだなあと酔った頭でぼんやり考えた。

その後、劇場で踊る若林美保さんをどうしても観たくて一度、四国に渡って広島経由で九州に戻る時に二度、広島第一劇場に寄った。
結果的に最後になった2020年の夏は、浅葱アゲハさんとALLIYちゃんに「また来週小倉で！」なんて言って図々しくポラを預け、翌週お二人に「広島ぶり～」とポラを返していただいてちょっとした追っかけ気分を味わった。

小倉以外は広島と道後しか劇場を知らない私には、知っている三分の一の劇場がなくなってしまうことになる。
いつでも行けると思っていた。
去年の夏、「ここにホテルを建てるよ！」って看板はあったけど工期の始まりだった時を過ぎてもどんどんコースが入っていて、ホテル建てるのやめたんじゃない？なんて思ってた。
またそのうち行けるような気がしていた。

赤い絨毯敷きの独特な形の盆と花道、高い天井、可愛らしく星に囲まれたミラーボール。左右の壁に貼られた鏡は、舞台上の踊り子さんを時には目の前の彼女達よりも艶めかしく映していた。
女子トイレがきちんとあって、女性向けに綺麗に整えて下さっているのであろうそこが、なんだか実家っぽい雰囲気なのも好きだった。幕間に謎に配られるパンを頂いたこともあった。

あー、なくなっちゃうんだなあ！

お客さんも従業員さんも、気さくに話しかけてくれるのも楽しかった。
四国のニュー道後ミュージックに行った翌日の広島第一劇場で「昨日道後にいたでしょ？」と声をかけられて大層驚いたり、ロビーでお話しした関東から遠征のお姉さんに「浅草は行った方がいいよ！」なんて力説されたり。
受け取り損ねたポラの話をしたら、従業員さんがめっちゃ探してくれたりもした。

近いようで遠い広島第一劇場。
私みたいなにわか広島ファンが陣取るより、劇場を愛する地元の人たちにたくさん別れを惜しんで欲しい。
「探しておくから、次に来た時に声かけて！」と言ってもらった私のポラは広島第一劇場の欠片と一緒に、次にできるというホテルの土台になればいい。縁あって訪れた劇場の最期を見届けたい気持ちはあるけど、きっとそれは全国の仲間たちがネットを通じて知らせてくれるだろう。
私にはそれで十分だ。

あー、本当になくなっちゃうんだなー！！
寂しいよ。

大好きな聖京香さんが一年半前に広島に乗った時、やっぱり行けばよかった。
結果的にそれが京香さんの広島ラストだった。
小倉で会えるからいっかー！なんて簡単に思って行かなかった私のバカ。
あのステージで、京香さんはどんなふうに踊ったんだろうと、今更ながら後悔している。

DX歌舞伎町がなくなる時は、名前を知ってる劇場がなくなるのが漠然と寂しかったけど、今回はあの時とは違う。

かっこいい劇場だった。
他の劇場はなんとなく何やってるかわからない感じで「わかる人だけわかって」的な外観なのに、広島第一劇場はいきなり外壁に女体ドーン！！
看板も女体ネオン！そして「ヌードの殿堂」！
「ここで女の子の綺麗なヌードが見られるんですよ！」って堂々と言っているようだった。

3度しか行けなかったけど、ストリップ劇場はみっつしか知らないけど、大好きな劇場でした。
過去に閉館した劇場は、写真すらまともに残ってなかったりするけど、広島第一劇場はその姿が映画の中に美しく残っている。
それがせめてもの救い。

どうか最後の日まで、スタッフの皆さん、踊り子さん、お客さん、広島第一劇場を愛する人達が笑顔で楽しく過ごせますように。