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聖地巡礼の旅

飲食店中心に、その界隈で「聖地」と呼ばれ崇められている場所への訪問記録です。

【とんこつラーメンの聖地】 六町 田中商店

30歳になる前の頃、今よりも随分身軽ではあったけれど、それほどの自由も無かった時代がありました。まぁ、あれです、貧しいのです。貧しいというか、単にお金がない、です。

なんらかの欲求、少し高価なものを食べたいとか、4,000円くらいする本、どうしても欲しいのだけど高いので躊躇してしまう、とか、そうした欲求に対処出来ない不自由さを抱えていた、そんな時代。能力ないし成果も出せないから給料安いんだよね。だから金がない。

その頃のご馳走というと、一風堂のランチと、西麻布の三河屋のランチでした。当時からしたら、レフェルベソンスのワインはどうした、とか、龍天門のラードご飯は美味しいとか、マデュロのチョコレートが地味に美味しいとか、憎むべきはブルジョワ階級、と思って階級闘争を仕掛けていたのに、階級が変わると人間変わりますね。生まれ変わってしまったように思えます。

そして一風堂といえば、最初の出会いは高田馬場でした。床がぬるぬるしてるお店で、ファイナルファンタジーのスキルシステムに従い、「あぶら16」という呼び方をしておりました。

硬めの麺、にんにくを二片、これは今も変わっていませんが、20年を超えてぼくの心を掴んで離さない、一風堂およびとんこつラーメンに惜しみない敬意と愛を込めて賞賛を送りたいと思っています。毎日思っています。もしも、入浴剤コーナーに「草津」とか「別府」に混じって「博多(一風堂)」があったら、うーん、買ってはみるだろうな。

当初仕様には無かったものの、そういう使い方をしていたら、そういう使い方にオプティマイズされてしまった機械、とんこつラーメンにオプティマイズされてしまったおじさん、というのが今のぼくなのです。

そして地味に研究を進めておりました、とんこつラーメン。ちなみにこれまでにお伺いしたお店の、個人的なランキングは下記。

1)砦 神泉 3.63
2)博多こくまろ 二子玉川 3.48
3)田中商店 足立区 3.79
4)海鳴 博多 3.44
5)一風堂 六本木 3.37
6)あかのれん 六本木 3.64
7)博多天神 渋谷 3.43
8)わ蔵 中目黒 3.07
9)長浜屋 博多 3.59
10)頭 下北沢 3.14
11)玉龍 博多 3.44

最後の数字は食べログポイントです。これを見ますと、足立区の田中商店が頭一つ抜けてる感じですね。東京とんこつラーメン界の聖地、とでも言えばいいでしょうか。

ただ、よくよく考えると、ランキングって意味あるの?と思います。点数で上下をつけてもあんまり意味はないのかもしれません。理由としては、それぞれに特徴があって、上下や優劣で語るべきモノではないと思うからです。長浜系列と久留米系列を同列に語るのって無意味かな、と。

ただ、だらっと記しておいて恐縮ですが、上記で一番美味しいと思う、というか好きなのは海鳴です。食事としてのトータルのパフォーマンスで考えると、砦と一風堂が競ってます。博多天神以下はおもちゃというかおやつみたいな感じです。行かなくてもいいと思うよ。

まぁ、何はともあれ旅に出ます、聖地巡礼の。

仏教で言えば田中商店は身延山、みたいな位置づけなんでしょうかね。比叡山、高野山、的な位置づけのお店は九州のどこかにあるのでしょう、きっと。そして、田中商店ですが、聖地だけあって二つばかり問題があります。

1)遠い
2)営業時間が18-翌4時

ぼくからすると、聖地感をより高めてくれる障害ではあるのですが、できれば二軒隣くらいにあって欲しい。「なら近くに引っ越せば?」とご尤もなご指摘は聞いてないフリして、聖地への道程の過酷さになんども打ちひしがれながら、先日ようやく巡礼してきました。

深夜に所用が終わり、お腹も空いていたし、少し遠回りにはなるものの、行ってみました。車で行く方は注意点として、駐車場の確認が必須です。こっから先、写真はブツの一枚しかありませんが、少々お付き合いください。

到着しまして、車内から店舗を見ると行列はありません。並んでいたら帰ろうと思っていました。行列に並ぶのが何より嫌いなのです、ぼく。そそくさと駐車し、入店します。一名なので、すぐカウンターに通してくれました。

オーダーは、チャーシュー麺かため。初訪の店でチャーシュー麺を頼む奴は素人、という論調をたまに聞きます。わからんでもないですが、それって、
1)美味しかったら次に行った際にチャーシュー麺にする(かもしれない)
2)まずは素の状態を味わうべき
あたりが論拠なのでしょうか。そういう輩こそ素人だと思います。なぜか。「いいか、この瞬間に全力出せない奴に二回目なんかないぞ。「次はちゃんとやる」とか甘えてんじゃないぞ!!」と、僕は思います。不味かったら二回目はないし、美味しくてもまた来れる保証なんてこれっぽちもない。ならば最初から持てる力を全て注ぎ込むのが正しいやり方だと思います。なのでぼくはいつもチャーシュー麺。チューシューがあってもなくても、美味いものは美味いし、不味いものは不味い。だからチャーシュー麺。

ありがとう

なるほど。きくらげ、ねぎはそこそこいいバランスですね。チャーシューは外辺に赤みがあります。見たことはないけれど可愛らしいタイプ。海苔に多国籍語で感謝の意が記されています。ダンケ・シェーン、とか。4時の位置にある流動状で黄金色の物体はにんにくです。自分で入れる仕様。

で、ひと啜りしてみます。「博多長浜」と謳う通り、博多風の長浜、といった趣。上記で、「それぞれに特徴があって、上下や優劣で語るべきモノではない」と記したのは、一口に「とんこつ」と言っても、長浜、久留米、博多でずいぶん違うからです。個人的な好みですが、長浜のあっさり感はいいのですが、慣れ親しんだというか調教され続けた一風堂がベースになっている自分としては、長浜にはもうちょっとパンチが欲しいと思っていました。この田中商店、そのワガママな要望を叶えるかのごとく、長浜を無理やり博多近くに持っていったような、あれ?久留米かな?そんな感じ。ナチュラル感がベースになっているけれど、ケミカル感も多少ある長浜、と。

一風堂はケミカル感をナチュラル感で打ち消そうとしているけれどやっぱケミカルだよね、って感じます。ぼくは大好きなのでいいのですけれどね。一風度に比して、アプローチが対極な気がしました。善悪でも優劣でもなくて、「違い」ですね。

そして肝心のチャーシュー、それなりに歯ごたえがあり、肉としての本旨を保ちつつ、調味料としての役割も果たしています。多くのとんこつラーメンのお店のチャーシュー、出涸らしになっており、最後の一奉公で来てみました、的な風合いですが、ちゃんと肉してます。しかも7枚も入っているので、満腹感もかなりのもの。

その他の構成物は、他店とそれほど違いはないというか、特筆すべき何かは無いように感じました。ただ、全体構成のレベルは高く、どこにも違和感を感じないため、違いに気づくことができない自分を呪ったほうがいいのかもしれません。何かが突出しているのではなくて、チームとしてのバランスが極めて高い次元で成立している製品。どっかが足を引っ張っても、あるいは目立とうとして勇み足を踏んでも調和は乱れますが、自然に調和してます。美味しいです。替え玉してみて、最後に紅生姜を少し齧って、ごちそうさま、です。

総評
・聖地たる理由はあると思います。ビーナスフォートかどっかでも食べることは出来ます。そっちもそのうち行ってみようと思います。違いあるかな。
・とんこつ信者、というか狂信者は一度行ってみるといいと思います。遠くなければ、あるいは遠さを気にしない術をもっているのであれば。

【欧風カレーの聖地】 荻窪 トマト

聖地巡礼の旅、第二回。荻窪のトマトさん、です。

開店時間に合わせて行ってみたところ、15人ほど並んでいます。らーめん二郎で開発した脳内行列カウンターを起動すると、45分ほど並べば入れそうです。そそくさと最後尾に着くと、紙看板のようなものがおいてあります。。。

「本日はここまでです」

え?うそでしょ。。。

営業時間
11:30~13:30(売り切れ次第終了)
18:30~20:30(売り切れ次第終了)

開店同時に売り切れって。。。しかも「席数15」と書いてあるのが本当だとすると、営業時間短すぎというか。。。

開店の1時間位前に来れば入れるらしいですが。。。アトス山みたいな感じなのか?

あらためていくかどうか、非常に悩ましい。巡礼者のみなさん、気をつけてください。油断すると入れません、ここ。

そして思いました。なぜ世の中は非合理なのか。最近、ハンコを廃止してもいいのでは?という議論が局地的に盛り上がっていて、法制化もされるかも、な話を聞きました。

飲食店の行列もなんとかならないんですかね。

ウェブで予約出来たらベストですよね。でも来ないヤツもいるからヤダ、ってのが店舗側の意見なのでしょう。

整理券配ったらどうでしょうかね?これも来なくなる人いるからダメなんでしょうかね。

戦略的無作為が極まったのが行列だと思います。並んでる時間ほど無駄なことなくないですか?アリババのジャックマーさん、「人生は不平等だ。だが時間だけは平等だ」とおっしゃっておりました。福沢諭吉と同じような論点ですね。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人みな同じ位にして、生まれながら貴賤上下の差別なく、(中略)されども今、広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥どろとの相違あるに似たるはなんぞや。その次第はなはだ明らかなり。『実語教』に、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」とあり。
「学問のすすめ」

行列が出来ている店舗を見ると「あー、流行ってんなー」と思います。これはブランディングとしては、店舗にとってはとてもよいことなのでしょうね。でも時間泥棒であり、愚人製造機でもあるような。ぼーっと行列に並ぶ時間を他に使えばいいのになぁ、と思ってしまいます。

「うるせー、なら来んな」と言われそうですが、行列をほったらかしにしてる飲食店、感じ悪いですね。完全な売り手市場になってるメカニズムを逆手にとって意地悪しているようにも思えます。穿ち過ぎでしょうけれど。

もう飛行機とかと一緒で、完全予約制にしちゃって、入金した時点で予約完了。来なくても返金しませんよ、にしちゃえばいいのにさ。日銭商売って脱税の温床なので、やりたくないのでしょうかね。本気で行きたいところであり、並ばずに確実に入れるルートがあれば、定価より2割くらい高くても行きますけどね、わたし。

なので、行列してるところには基本行きたくありません。桜新町のシズラーとか最悪です。スタッフの人数十分で、片付けさえすれば稼働できるはずなのに(そう見える)行列を放置。しかも土日は予約出来ない、と来ております。でもなぁ、トマト美味しそうなんだよなぁ。。。

【ルアーフィッシングの聖地】 奄美大島 ビッグディッパー

こちらからおねがいします。

【赤味噌の聖地】 名古屋 山本屋本店

製作中

【神社の聖地】 伊勢神宮

製作中


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