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『糖尿病内科専門医試験対策』

はじめまして。糖尿病代謝内分泌専門医試験botと申します。
私は幸いにも2022年度糖尿病専門医に合格する事が出来ました。
点数は記述、選択、面接 全て80-89点程度を取る事が出来ました。今回は自分が糖尿病専門医試験を合格するためにした事、すべきだと思った事、こうしたら良かったと思う事を今後試験を受ける先生方に残したいと思い記載させて頂いております。これが少しでも受験する先生方の参考になれば幸いです。

『糖尿病専門医試験』は難関!!

まず相手を知らなければ対策の打ちようがありません。
糖尿病専門医試験はどの程度の難易度なのでしょうか。
下記はネットで拾ってきた合格率の推移ですが、60%後半と他の専門医試験と比較して合格率が低い事がわかります。

https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/gaiho_2021.pdf

3人受けて1人は落ちる試験です。一説によれば、糖尿病を専門にしていない先生が開業するとき糖尿病専門医もとっちゃえ的なのを防ぐために難しくしているとかしないとか。

『でも、ちゃんと日常診療をしていれば大丈夫でしょ?』そんな声が聞こえてきそうですが、試験に対応する勉強をしないと普通に落ちます。何故なら、試験に受かるための知識と実臨床での知識のカバーする範囲が違うからです。(もちろんオーバーラップしている部分も多くあります)実臨床での知識に被っていない部分を中心に勉強する事が合格への秘訣だと思います。ここからは実際に試験内容について説明していきます。<記載内容ついては事実(学会が発表している内容など)と推測(ネットなどを中心に言われている内容)に別けて記載していきます。>

【糖尿病専門医試験の概要】

*事実*

糖尿病専門医試験は毎年10月末期頃に実施されます。試験内容は『選択』『論述』『面接』の3つからなります。それぞれ100点満点です。スケジュールは下記の通りです。論述は1問に、(1)空欄の穴埋め(2)記述 200-250文字程度があります。選択問題は35問あり、1または2つ選べが多いです。

9:30-10:30 論述問題試験(4問、1時間)
10:50-11:40 選択問題試験(35問、50分間)
11:40-12:30 食事休憩
12:30-口頭試験
合格ラインは明らかにされておらず、学会からの合格通知には『それぞれの素点、それらの総点を総合的に判定しました』との記載に留まっていました。
受験者数と合格者数の人数からは今年の合格率は約62-66%程度でした。
合格発表は例年12月中旬程度に発表される事が多いようです。

*推測*

合格ラインに関しては、ネットでは、『それぞれ60%以上、合計で70%以上』とする内容をよく見ますが、概ねあっているように感じました。それ以下で受かった人、それ以上で落ちた方が報告されているのをネットで見たこともありますので、あくまで予想に過ぎませんが、この数値を目標にして勉強していけばよいと思います。これはあくまで個人的な推測ですが、不合格の多くは『論述』で60%を越えなかった人が多いように思います。『面接』で60%を切る人はほぼいないと思いますし、『選択』は比較的難易度は低いので、この試験は『論述』で60%を超え、『選択』『面接』で点数を稼げるかが合否の分かれ目になると思っています。

【試験勉強の方法】

試験勉強に使用する教材としては『糖尿病専門医ガイドブック』『糖尿病治療ガイドブック』『日本糖尿病学会の委員会報告、特集』で間違いないと思います。勉強を開始する時期はそれぞれ違うと思いますが、4-5月くらいから始めている人が多かったように思います。

オススメの勉強方法としては、
①まずは1週読む
もっとも苦痛に感じる作業です。特に最初の生理学のところは意味がわからないので、飛ばしてしまい、他のセクションを読んでから、戻って読む方が頭に入ってきます。図から問題が出ることも多いので、図があるところは要チェックです。

②過去問の起こしなどがあればそれを解きつつ、出題された部位にラインマーカーを引く
選択問題では毎年出る傾向にある問題がある(ex 栄養交換表、CDEJ関連、大規模臨床試験、胎盤を通過する物質など)ので、その箇所は必ず出来るように細部まで暗記しましょう。問題起こしなどがない人はネットに落ちていることもあるので、調べて見たりすると良いと思います。

③ラインマーカーが重ねっている部分を中心にノートにまとめる
糖尿病専門医ガイドブックはかなり分厚く持ち運ぶのも一苦労なので、重要部位、絶対に暗記する部位をノートにまとめておくと、暗記の漏れが減りますし、試験直前に再確認がしやすくなると思います。私は重要だと思った図はコピーしてノートに張っていました。

ここまでやれば選択問題は60%はかたいと思います。


【面接】

ここはさらっといきます。
特に圧迫面接といったわけではなく、やんわりとした雰囲気です。
試験官は3人います。10-15分程度です。元気にはっきりと答えれば大丈夫です。
人によっては15時以降から開始のこともあるので、それまで時間が空きます。
外来の症例レポートから稀に聞かれる事があるそうなので、自分が提出したレポートを私は試験に持参しました。(面接では聞かれなかったです。)

【最重要】 記述試験対策

記述問題は
(1)5〜7つ程度の空欄を埋める問題 (2)200-300文字程度の論述問題
からなる大問が4つ出題されます。
1時間しかない中で4問出題される上に、試験日の最初の試験が記述なので精神的に来るものがあります。先ほどの勉強方法に加えて、以下に私が重要だと思う事を記載します。

①委員会報告、特集はそれぞれ200-300文字で要約し暗記する

毎年ではありませんが、例年1問は委員会報告、特集関連から出題される事が多いです。過去2年分から出題される(今年から試験範囲が学会のホームページに掲載されていました)ので、それを必ずまとめておきましょう。1問完答できれば合格にかなり近づきますし、試験中に1問でも出来そうな問題があると精神的にゆとりが出ます。今年は試験管の特集が1問出題され、ほぼ完答できました。

②『糖尿病治療ガイド』を侮らない

ここは完全に私は盲点でした。糖尿病専門医ガイドブックはかなり読み込んでいましたが、今年の記述は多くが糖尿病治療ガイドブックから出題されていました。
試験中に後悔の念にかられました。来年度はどうなるかわかりませんが、しっかりと読み、暗記しておいた方が良いと思います。

③予想問題を自分で作成する

糖尿病専門医ガイドブックを読みつつ、予想問題を作り、実際に模範解答を作成し、暗記することを繰り返していました。記述する力も付きますし、実際の試験では、全く違う事が問われている問題でも暗記した文章がそのまま使える様な事がありました。もし同期の先生などがいればそれをシェアしていくと良いと思います。
私のTwitterでも予想問題を挙げていますので、ご参考になれば嬉しいです。
https://twitter.com/bot89672711

④作文用紙を購入し、実際に文字数制限がある状態で記述する

これが地味にもっとも重要かもしれません。最後に論述試験を受けたのはいつでしょうか?私は全く思い出せません。Wordと違い、途中の文章を消して付け足したり、他の文章を挿入することも出来ません。試験前から実際に文字数制限がある中で論述する練習をしておいた方が絶対に良いです。私は作文用紙を購入して、自分で作成した予想問題を実際に作文用紙に論述する練習をしていました。論述に要する時間の感覚も分かるようになるのでオススメです。

https://www.amazon.co.jp/コクヨ-原稿用紙-縦書き-100枚-ケ-10-5N/dp/B0012NF59K/ref=sr_1_5?keywords=原稿用紙&qid=1680154964&sr=8-5&th=1

【最後に】

私は今でも思い出したくないくらい論述の試験中は辛かったです。
試験後も受かった気がせず、発表まで鬱々とした気持ちで過ごしていました。その分、合格がわかったときは心の底から嬉しかったです。

最初はこんなの意味ない知識だろと思った内容でも、今では試験勉強を通じて、知らなかった知識を得る事が出来て、実臨床にも幅が出来た様に思います。

専門医に対して懐疑的な先生がいるのは承知しています。「専門医をとっても何も変わらない」「専門医がなくても優秀な先生がいる」いろんな声を研修医、後期研修医時代に上級医からうかがいました。考え方は人それぞれですし、否定する気はありません。実際に専門医にしか出来ない医療行為はありません。ただ、仕事や家庭など日常生活をこなしながら、早朝早起きをして、隙間時間もしくは夜中に、レポートの作成、試験勉強をしたその継続的な努力と試験に合格した自信は専門医試験を受けなければ得られなかったと私は思います。

また、合格する事ができたのは周りのサポートがあったからです。
SNSでもKOTATSU先生(https://twitter.com/drkotatsu)を筆頭に多くの先生にお世話になりました。そして何より多くの患者さんと出会い、そこからたくさんのことを学ばせて頂いたと思います。レポートを見直していて、感謝の気持ちとともに、今後はさらにより良い医療を提供していきたいと思っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
不明点、質問などありましたらtwitterなどでDMして頂ければと思います。
この記事を読んでいただいた先生が合格することを祈っております。


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