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ゴミの城〜019~着実に庭の木も成長している

これまでのお話

実家の庭の木が伸びきってしまった。もう二階の屋根まで届いている。

先日、脚立を買って実家の木を切りに行ったのだが、購入した脚立の高さが足りなかった。一応、木の長さを測り、脚立の長さと自分の身長を考慮して購入したのだが、実際に使ってみると少し短かった。庭で伸び切った木は全部で三本。それを切るためだけに脚立を購入するのだ。どう考えても自分にはそれ以外に使い道がない。サイズがもうワンランク上の物もあったのだか、ワンランク上になると値段がかなり上がる。結果、高さが届かず、細い枝だけを切って肝心の幹を切れずに、むざむざと帰ってきたのだ。

実家は物だらけだった。亡くなった父から見たら全て使う物だったのだろうが、僕から見たら殆どゴミだ。そのゴミのことは頭にあったのだが、庭の木のことは考えたこともなかった。伸び切ってしまって台風などで倒木し隣近に迷惑をかけてもいけない。そうではなくとも毎年、落ち葉の季節になると近所にご迷惑をおかけしているのだ。
だが、切ろうにも木を切るには小さな庭がネックとなる。広い庭なら、そのまま木を切って下に落としてしまえば良いが、小さな庭だと脚立を置くスペースも考えなければいけないし、闇雲に木を切って隣のガレージや屋根などを壊してもいけない。

そもそも、僕は高いところが好きではない。

プランターの土も捨て場所に困るが、伸び切った木はもう泣きたくなる。こんなことなら、父に嫌われようが怒られようが早めに木を切ってしまえば良かった。とはいえ、庭の木のことなど考えたこともなかったので、気づきようもなかったのだからどうしようもない。

街を歩くと他人の家の庭の木につい目がいってしまう。綺麗に整えられている木もあれば、伸び切ってしまい枝が電線に届きそうな木もある。そろそろ切らないと手に負えなくなりそうな背丈の木を見ると、チャイムを押して家の人に教えてあげたくなる。

「いま切らないと大変なことになりますよ」

年を重ねると、人は腰が曲がって地を見つめるが、木は真っ直ぐに太陽を求めて上に伸びていく。

庭の木は伸ばしても三メートルくらいだろう。止まることをしない木は手が届かなくなり、結局切ることになる。木に対して申し訳ない。全くもってよろしくない。

動画をご覧になりたい方は~こちらから

続く 〜020~ 母との時間


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