ミュージカル作品紹介vol.3/ピピン
今月紹介するミュージカルは前回の宣言どおり『ピピン』。
渋谷の東急シアターオーブで6月30日まで公演されている本作品。ついこの間観てきました!
1972年に初演。シカゴやキャバレーでお馴染みのボブ・フォッシーによって演出・振付をされ、2013年にリバイバル版が上演。この新演出版はトニー賞4部門受賞。
〈ストーリー〉旅芸人の一座のショーが始まる。彼らが今日見せるのは若き王子ピピンの物語。リーディングプレイヤーは「最高のグランドフィナーレを約束しよう」と観客に向かって言う。
優秀な成績を残して大学を卒業したピピンだが、「もっと特別な何か」を求めて様々なことに挑戦する。しかし何をしても充実感・満足感が得られない。
疲れ果てたピピンが倒れ込んでいるのを助けた未亡人キャサリン。キャサリンの息子テオとの三人の生活は素朴だけれど癒しのあるものだった。しかしピピンは「もっと特別な何か」を求め、キャサリン達の元を去る。
そしてついに迎えた「グランドフィナーレ」。そこで彼が見たものとは……
ピピンを城田優さん、リーディングプレイヤーをクリスタル・ケイさん、キャサリンを宮澤エマさんというキャスティングで観ました。
感想は最後にまとめて。それではレッツゴー!
①「Magic to Do」
2013年トニー賞授賞式でも披露されたこの曲。普通オーケストラのチューニングを初めにすると、その後一度音がやんで指揮者に合わせて曲が始まると思うけれど、この曲はチューニングのまま曲が始まる。
この後、何が起きるの?というワクワクした気持ちとちょっと不気味な雰囲気のピアノのメロディーで始まるこの曲。
そして幕が開くとどこに目をやれば良いか分からないほど見どころが沢山のサーカスが始まっている。
トニー賞の映像は何度か観ていたけれど、いやあ、まさか1曲目からこの曲が聴けるなんて。一気に昂りました。
衣装はカラフルでサーカスも本当に素晴らしくて、「フォッシー・スタイル」を完全に表現した特徴あるダンス。う〜〜、観てて飽きない!
ちなみに本作品の作曲家はスティーブン・シュワルツ。『WICKED』と同じ作曲家さんです。
②物語の構成
この作品、実はちょっと物語の構成が複雑。なぜかと言うと、舞台に立っているピピンはピピンではなく、あくまで「ピピンという役を演じている旅芸人」なのだ。
それを忘れて観劇を続けていると、ところどころに「あれ?」と違和感を持つ場面がいくつか出てくる。
リーディングプレイヤーがキャサリンに対して「この役にしてはアンタ歳取りすぎなんだから」と言う台詞があり、「あ、そうだったそうだった」と観客の世界の整理がなされる。
そしてリーディングプレイヤーが何度も繰り返す「グランドフィナーレ」の伏線回収。巧み。
ってな感じ。以下、感想!
以前テレビでクリスタル・ケイさんがMagic to Doを歌っていて、正直ベストコンディションじゃなかったようで「どうしよう、、チケット取ったの間違いだったかな、、」とか思ってたんだけど、そんなこと全く無かった。
1幕は華やかなオープニングで始まり、たくさんサーカスを見たような気分になってた。戦争に出掛ける前の打ち合わせのシーンは振付が面白くて見入っちゃった。
ピピンのお祖母さん、バーサ役の前田美波里さんのアクトは凄すぎた。逆さまで宙吊りになった状態で歌うんだよ!70歳の方が!!!!めちゃくちゃ拍手した……
2幕はキャサリンとのシーンが多かったんだけど、宮澤エマさんハマり役だと思う。ジキハイの時より歌が上手くなっていた気がします。音域が合っていたのかしら?
そしてラストのグランドフィナーレ。
1幕を楽しんではいたものの、「これ終わり方どうすんだろうなぁ……」とか思いながら幕間を迎えた。それで2幕。序盤はやはり1幕のテンションを引きずるんだけど、雲行きが怪しくなってからがこの作品の見どころ。
え、え、え……?
ってなって、最後の最後でゾワーーーッてする感じ。久し振りにああいう体験をしました。心をグッと掴まれて、作品にのめり込んだ。
んんん〜〜良い作品だった〜〜〜〜!!!
30日まで公演してます!チケットの売れ行きがめちゃくちゃ悪いけど、観て損はない作品なのでお時間あれば是非。
来月はたぶん世界のケンワタナベの代表作の紹介になると思います!たぶんね!
フゥ、ミュージカルもっと観たいなぁ。
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