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Netflix映画 コープスパーティー Books of Shadows

 前作が荒削りながらなかなか楽しめたホラー映画。その続編は……?
 冒頭、教室の場面……おぉ! ちゃんとロケやってる! カメラもものすごくキレイ(キレイすぎる上履きは気になるが)。カメラがキレイだから、主演の子が前作よりも可愛く見える(同じ子。念のため)オープニングも作られてる。惨劇シーンの造形が前作よりもぐちょぐちょ感が出てる。
 前作よりも、明らかに映画としてきちんとした『コープスパーティー』の2作目。冒頭の数分で期待感が高まったのだが……。
 物語のあらましを書くと、あの惨劇から生還した中島と篠崎は、サチコの骨を使って、再びあの異界・天神小学校へと戻る。
 ……いや、待て。サチコの死体は発見されてないはずなのに、なぜ骨があるんだ?
 天神小学校に戻るわけだが、前作から少し巻き戻った時間。クラスメイトはまだ生存している。中嶋と篠崎は「結末」を知っている状態で、「全員生還」ルートを目指すべく奮闘する。
 と、完全にゲームの2周目展開。同じシチュエーションの生還ルートを同じ登場人物が挑戦するというユニークな作り。しかし、その道のりは前作よりもより過酷で理不尽で……。映画でゲーム的な“2周目”を物語に導入する発想はなかなか面白い。
 しかし……正直なところ、『コープスパーティー』の2作目はかなり残念映画。というのも、色んな要素を作りすぎたせいで、展開が重い。話がなかなか進まないし、意外性も薄い。いや、物語に進展はあるのだが、その展開が決定的な視点の変化をもたらしていない。同じ状況のものを語っているだけに過ぎないので、映画がスローペースに感じられる。惨劇シーンがグレートアップしても物語自体に惹き付けるものがない。
 これは2作目特有の難しさ。1作目はシンプルに殺人鬼から逃げて、殺人鬼の背景にある物語を暴いていく……という構成がうまくはまっていた。しかし2作目はその上にちょっと建て増ししたくらいの感じで、どうしても1作目の要素を薄く引き延ばした感じになる。新キャラクターとして登場する殺人鬼も、とってつけた感があって、1作目ほどのインパクトはない。2作目の殺人鬼には、背景に特に物語は無いし……。
 2作目の難しさはここ。どうしても1作目に対して薄味になる。うまく新しい物語を創造して、挿入していけば良くなっていくのだが、これがなかなか難しい。成功例をあまり聞かない。作り手も1作目に甘えてしまって、1作目の世界観をうまく壊せない。
 キーアイテムであるブックオブシャドウというものが出てくるのだが、なんだよブックオブシャドウって……廃墟の学校が舞台だったはずなのに、脈絡もなくファンタジーを導入するなんて、どういうことだよ……。結末も、なんだよあれは……それまでの展開から、何にも引っ掛かってないじゃないか。
 ブックオブシャドウがなぜ不満かというと、そのアイテムに物語がないし、天神小学校の物語とも繋がってない。『コープスパーティー』という物語にそぐわないものを、2作目の追加要素として足しているのが失敗の原因だ。
 1作目は冒頭シーンでハードルを下げて、じわじわと面白くなっていく作品だった。2作目は冒頭シーンでハードルを上げて、じわじわと残念感が広がっていく作品だった。
 まあ、とにかくも、カメラが良くなったので、前作よりも女の子が可愛く見えますよ……とそれだけ挙げておこう。

2/7

こちらの記事は私のブログからの転載です。元記事はこちら→http://blog.livedoor.jp/toratugumitwitter/archives/51617094.html

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