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2019年冬アニメ感想 まとめ

今シーズン視聴してた作品の紹介です。
 ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風
 けものフレンズ2
 同居人は膝の上、時々頭の上


 「まとめ」も何も、今期は3本しか見てなかったから、別に総括とかそういうの何もない。情報をチェックしてなかったから何やってたか知らないし、どの作品が流行っていたのかも知らないし。ただ、とにかくも『ジョジョ』は今回もおもしろかった、と。

 今期の問題作は『けものフレンズ2』。
 『けものフレンズ2』はプロデューサーの問題を改めて考える切っ掛けとなった。プロデューサーや編集者という立場の人は、作家の生殺与奪の権利を持っている。もちろんその後ろには視聴者や読者がいるのだが、作家をそこで留まらせて育てるのか、それともメディアから追い出すのか。その権限はプロデューサーや編集者といった立場が握っている。だからゆえに、しっかりした目で作家と作品を見なければならない。

 『けものフレンズ2』の問題は明らかにプロデューサーが見誤っていた。『けものフレンズ』のプロデューサーは作家と作品を見る目を持っていなかった。作品と作家を育てていくという意味も理解できていなかったのだろう。
 作家は気軽に切り捨てていいものではない。作品やキャラクターは優れた作家の手の中で育っていくものだ。キャラクターさえあれば、誰が描いても同じものができる……そんなわけはない。でも『けものフレンズ』のプロデューサーは「誰が作ってもいいだろう」と安易に考えていたのだろう。

 私は前からちょっとしたドッキリを仕掛けてみたいと考えている。
 小説/漫画の新人賞選考作品の中に現役プロの作品を混ぜてみる。気付けば合格。ちゃんとした目を持っている、ということになる。気付かなかったらそのプロデューサーは3流。
 これは昔、岩井俊二監督が体験した話があって、「ネット上には面白い作品を描いている人が一杯いるから、募集したらどうか」と提案し、プロデューサーを審査員にして募集してみたのだが、選評をみるとどうにも上から目線でボロカスに作品を叩いている。内容と照らし合わせてみても、書いていることに納得感がない。
 そこで岩井俊二監督は自分のシナリオをそっと数ある作品の中に混ぜてみたのだが、プロデューサーは岩井俊二監督のシナリオだと見抜けず、他の素人作品と一緒にボロ糞に叩いたのだった。後で目一杯怒られたのは言うまでもない。そのプロデューサーは、作品をわかっているつもりのボンクラだったのだ。
 これを定期的にやってみたらどうか。その編集者が無能か優秀か、これでわかるというものだろう。
(無能だとバレるから、やらないんだろうけど)

 作家はいろんな試練を乗り越えてプロになり、常に矢面に立たされる。しかしプロデューサーや編集者は作品がコケてもその後も普通に働いていられる。作家は不評が続くとプロの世界から去らねばならない。編集者は何度失敗しても、何のダメージもなく固定給で働いていられる。漫画家よりもいい生活をしている編集者は一杯いる。
 作品や作家を潰しても、平気な顔して仕事している編集者は一杯いる。なぜなら「失敗したのは作家」であって、自分ではないと思っているからだ。
 プロデューサーや編集者は顔が見えない存在だから、誰からも叩かれない。自分が無能か優秀か、外部からジャッジされたことがない。だからわりと自分の実力を勘違いしている人って、結構いるんじゃないかな。自分が優れた目利きだと勘違いしているプロデューサーは結構いるんじゃないかな。

 編集者やプロデューサーを「無敵の存在」にしてはならない。編集者はプロデューサーは作品がコケけたら作家の責任、作品が成功したら自分の手柄……そう考えている人が多数派だろう。でもお前らじゃなくて、作家の成果だからな。

 物作りをやるうえで、まずはじめに知らなくてはならないのは自分の実力だ。「身の程を知れ」だ。自分の能力がどの方向を向いていて、限界値がどれくらいなのか。これを知らなくてはならない。作家としての勝負は、ここから始まる。「自分が無能だ」ということを知り、そこからスタートする。
 プロデューサーや編集者も、まず自分の実力を知ることから始めた方がいいんじゃないかな。まず自分が無能であることを知ること……ここがスタートだ。

 と、なんでこういう話をするのかというと、最近、「こんなもん書籍化するなよ」「アニメ化するなよ」と思うような作品に出くわすことがちらちらあって……。『異世界はスマートフォンとともに。』とか売れると思ったのか。『2度目の人生を異世界で』はアニメ化しようとして炎上したけど、そもそも書籍化しちゃダメな作品だろ。もし売れると思ったのなら、引退したほうが良いよ。
 今やファンタジーといえばなにもかも異世界転生ものになってしまった。「なろう系」といえば異世界転生もので、低質なものという評判が固まってしまっているが、選ぶ方のセンスに問題はなかったのか。全部作家の責任か? バカな作品ばかりになったのは、選ぶ方がバカになっているからじゃないのか。
 どうにもプロデューサーに目利きとしてのセンス、あるいは企画を立てる能力が落ちてるんじゃないだろうか。まず自分の能力がどの程度なのか知る――ここからやり直さなくちゃダメだろう。

 私の過去ブログを見てわかるように、私は別に『けものフレンズ』に対して特別な思い入れを持っているわけじゃない。なのにどうしてここまで憤っているかというと、作り手の信義に関わる話だからだ。
 『けものフレンズ』のプロデューサーは物語とキャラクターをモノ扱いした。動物の格好した可愛いキャラクターがいれば、誰がやっても売れるだろうと。『けものフレンズ』はそういうところでヒットしたわけではない。
 『けものフレンズ』のプロデューサーには物作りをやる人間としてハートもソウルもない。ついでに教養もない。そのくせに権限だけはしっかり持って、さんざんに作品を引っかき回した。そういう人間に対しては怒る。怒られるべきだ。
 しかしプロデューサーは失敗しても誰からも責められることのない「無敵の存在」だから、今回こうやって取り上げた(直接の責任が誰なのかわからない……だから「無敵の存在」なのだが)。ああいう人は、物作りの現場で上に立ってはいけない。

 ……ふむ。アニメの話はぜんぜんしてないな。
 まあ仕方ないか。今期は3本だけだったし。
 雑な感想でいうと、『ジョジョ』はやっぱり面白かった。あの作品をアニメーションで見られて本当に良かった。これからも『ジョジョ』だけはしっかり追いかけて観ていきたい。
 次シーズンは……どうすっかね。何を見ようかしら。

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