見出し画像

200万部突破‼「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える『伝える力』

画像1

はじめに
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄こんにちは。伊藤 航です。
いつも本の紹介をご覧いただき、誠にありがとうございます。

本日は2005年にNHKを退社し、現在はフリーのジャーナリストとして多方面で活躍中の「池上 彰」さんの書籍をご紹介いたします。

『伝える力』は2007年に発売されて以来、増刷に増刷を重ね200万部超えの国民的ベスト&ロングセラーとなりました。本書はビジネスパーソンに必須の能力、「話す」「聞く」「書く」が飛躍的に伸びる方法が凝縮されたビジネス書です。

中でも報道記者として活躍をされてきた池上彰さんならではの「書く技術」は納得感があり、すぐにでも真似したいと思えるものばかりでした。

今回の本の紹介からは「文章力を向上させる秘訣」を学ぶことができます。
では、早速その内容を見ていきましょう。

ビジネス文書を書く

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
仕事をするうえで、ビジネス文書は毎日のように書かれていると思います。お客様に送るメール、社内で作成する議事録、業務後にまとめる日報など、挙げればきりがありません。池上彰さんは文章を書く時は次の7点を意識すると良いとおっしゃっています。

❶  フォーマットを身につける
❷  優れた文章を書き写す
❸  現地調査では「素材」を探す
❹  演繹法か、帰納法か選択する
❺ 「穏やかな演繹法」を用いる
❻ 「五感」を大事にする
❼ 「中身のない文章」にしない

ここでは、ビジネス文書の書き方について、技術的な話をしています。
今回文書として年頭に置いているのは、報告書や提案書、企画書の類です。
上記7点の内、興味深いと思った内容を2点取り上げさせていただきます。

演繹法か、帰納法か選択する

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
報告書などをまとめる場合、論理学でいうところの「演繹法」と「帰納法」の考え方が参考になります。演繹法や帰納法といわれても、「そういえば、そんなこと、昔、習ったな」くらいの意識で、具体的な意味は忘れてしまっている人が多いかもしれません。少しおさらいしておきましょう。

演繹法とは、ある事柄を前提として、具体的な1つの結論を得る推論方法のことです。これに対して帰納法とは、個別具体的な事例から、一般的な規則を見出そうとする推論の方法です。

こう言っても、まだピンとこないかもしれません。少し例をあげて説明しましょう。たとえば、「バラにはトゲがある」という前提から出発して、ハマナスはバラの仲間だから、ハマナスにもトゲがあるだろう、と推論するのが演繹法です。

これに対し、観察した100本のバラすべてにトゲがあったとします。
そこで、「バラにはトゲがある」という結論を出すのが帰納法です。

ごく簡単にいえば、先に結論ありきが演繹法で、いろいろと情報を集めて結論を構築していくのが帰納法です。

報告書や提案書をまとめる場合、どちらがよいかといえば、帰納法に決まっています。現地や現場を調べた結果をまとめるからです。ジャーナリズムでいえば、下調べを十分に行なった上で、さらに取材を繰り返して掘り下げ、結論を導き出す。こうした積み重ねがスクープや充実した記事に結びつきます。だから帰納法が理想です。

しかし、多くのビジネスパーソンには、そこまでの時間はないのが現状です。現実問題として、帰納法だけで取り組むと、膨大な取材が必要で、とてつもない時間がかかりますから、少なくとも帰納法だけで報告書をまとめるのは非現実的といえます。

そこで、お勧めしたいのが「穏やかな演繹法」です。

「穏やかな演繹法」を用いる

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「穏やかな演繹法」とは、演繹法と銘打っているのですから、基本的には演繹法です。ただ、状況によっては、帰納法を取り入れます。その意味で、「穏やかな」と断っています。

演繹法では、先にも書いたように、個別具体的な結論を得るように試みます。そのためには、まずは下調べ。そこで仮説を立てます。「きっと△△ではないか」と。さらに「✕✕というストーリーがあるのではないか」と。

その上で、現地に行ってみて、その通りであれば、仮説が立証されたことになります。仮説の通りだったわけですから、報告書や提案書はまとめやすいはずです。

ところが、実際に現地に行ってみると、下調べをして、仮説を立てていたこととは違った部分も見えてくるものです。いやむしろ、何かしらの発見をするために現地に行くわけですから、何も気がつかないようでは、行く意味がありません。

では、下調べをして仮説を立てることは無駄なのでしょうか?
いいえ、仮説を立てたことは決して無駄になりません。

むしろ非常に有効に働きます。土台があるからです。何もない白紙の状態から調査をして、文書をまとめるのは、文字通りゼロから積み上げるわけですから、大変な手間と時間がかかります。

しかし、仮説を立てて現場に臨めば、たとえ仮説とは状況が大きく異なっていたとしても、土台があるので、軌道修正をすれば、対応は比較的容易にできます。つまり、白紙の状態で調査を開始するよりも、効率はずっとよいといえます。

仮説とは違う現実があることを最初から念頭に置き、どこが仮説と異なるのかを調べることで、中身の濃い報告書を書くことができます。

具体的で、よく調べられていて、自分の考えがしっかりとまとめられていることが伝わる報告書がビジネス文書として優れているのです。

おわりに
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 私の場合、今後商談結果を議事録として残す機会が増えてきます。
その中で意識したいのが、まず下調べをして仮説を立てておくことです。

お客さまのHPがあれば、念入りに目を通しておき、予めできる限りお客さまの情報を仕入れておくようにします。そうすることで、「穏やかな演繹法」を用いて報告書(リード)を作成することができるようになります。

 日々の業務の中で1番工数がかかるのは文書作成業務だと思います。
池上彰さんは「フォーマットを身につける」ことと「優れた文章を書き写す」ことが文章力向上の秘訣と本書で述べています。

紹介されていたエピソードの中で特に印象的だったのが、先輩記者が書いた原稿を書き写して勉強したというものです。

❝ 私が最初に配属されたのは島根県の松江放送局でした。そこで先輩記者が書いた原稿をひたすら丸写ししたのです。いったん帰宅した後、深夜に局に戻り、先輩たちが書いた原稿を引っ張り出し、一字一句を書き写していきました。当時は、パソコンはおろかワープロもない時代でしたから、鉛筆でひたすら書き写すのです。
さらに、NHKラジオの全国放送のニュースを録音し、それを書き起こしました。松江放送局にある原稿は島根県のニュースばかり。全国レベルのニュース原稿を、こうして入手し、自分なりに研究したのです。❞

学ぶの語源は「真似をする」と言われているように、すべての分野における上達のコツは優れている人を模倣することであると気づきました。
池上彰さんの本は論理的な文章で構成されているため、読みやすく、スッと頭に入ってくる良書です。
ぜひ、皆さまも本書を参考に「伝える力」を習得してみましょう!


この記事が参加している募集

推薦図書

私は本で世界を変えられると信じています。そして常に既存の考え方とは違う考え方をします。世界を変えるために美しいデザインかつ情報に優れた記事を世に送り出そうと努力するうちに、このような『note』ができあがりました。一緒に世界を変えてみませんか?