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『さいしょのリノベーション@牛乳ビルその9』

その8はこちら

https://note.mu/torches/n/n17253a6de6e5

文:守屋佑一
2014/11/15 (土)その9
 
廃品回収のおじさんのあとをサンバーで追う僕と直也。
行き先は湯河原のどこか。
『さいしょのリノベーション@牛乳ビル』https://note.mu/torches/n/ne83ab9361ce6?magazine_key=m24fba2c5f1f7
でも書いたように、この日は突き抜けるような青い空で最高の日和。
湯河原に行く県道からもキラキラと光る海が良く見え、ついつい見とれそうになる。
交通状況はゆるやかな渋滞というところで、おじさんの車を見失うこともないだろう。
車中で僕と直也は色々な話をした。トーチズをどうするか、というような話ももちろんしたけど、素晴らしい陽気と景色に影響されてついついリラックスし、たわいもない話がほとんどだったように思う。
 
お昼過ぎには小田原駅に到着するというくいしんからの連絡もあり、おじさんの軽トラと僕が運転するサンバーに積んだ大量の前任者のゴミの処分の見通しもたっていよいよ始まるトーチズに心踊る気持ちだった。
しかし、現実にはこの日から5ヶ月以上が経過したこの原稿を書いている今もビルのリノベーションは完成していない。しかし、それでもトーチズは動いて、始まり続いているのだけれど。
 
話を11月の晴天のこの日に戻そう。
気付けば湯河原に到着したが、まだまだおじさんが運転する軽トラはどこかに止まる気配がなく、ぐんぐんと進んで行く。
湯河原と熱海の間くらいでようやく大きな道路を曲がり、今度はみかん畑がたくさんある山沿いをどんどん登って行った。
 
そうして、辿り着いた場所は草原のような不思議な場所で、うそのような話だが、番人のようにおじいさんが一人でぽつんと座っていた。
廃品回収のおじさんは車を降り、そのおじいさんに何か話しかけるとそこに座っていたおじいさんは廃品の一時置き場の場所を説明した。
なんでも、定期的に置き場所を変えるらしいので、おじさんにも把握できないらしい。
 
また少し山を進んで、廃品の一時回収置き場にいき、ものを降ろした。そこもまた、不思議な雰囲気と時間が流れていた。


 
廃品回収のおじさん、番人のようなおじいさん、不思議な雰囲気の草原のような場所。まるで、僕の大好きな少年漫画にありそうなシチュエーションでなんだかドキドキした。なにかの事件が起こるんじゃないかと。
そして同時に、わくわくした。
僕は小田原だけでなく、そのまわりひっくるめてこの地域が大好きで仕事もそこに密着できるものだったので、なかなかに地域のことを知っているつもりになっていた。
けれども、ここの場所のように知らない場所はきっとまだまだたくさんある。そして知らない世界もたくさんある。
これから先、トーチズでも、トーチズじゃなくても。もっともっと色んな人にあったり色んなことをやったりして、それらを知れる機会がたくさんあるはずだ。そこに生きる希望がある。
 
直也もただただそこの雰囲気に感心していた。僕たちの気が合うところはこの湯河原で巡り合った場所のような不思議な雰囲気や時間が好きなところだろう。
 
そのあとはまた、ゆるやかな渋滞の海沿いの県道を戻って牛乳ビルに向かった。まだ車に乗らなかった荷物も少しある。
もどる途中で小田原駅に寄り、くいしんも合流した。
さいしょのリノベーションの日の午後1時30分。
ようやくトーチズの3人が揃った。

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