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リノベーションと工具

文:大川直也

2月14日、バレンタインデー。梅ちゃんとホームセンターに行った。僕は少なくとも彼よりはバレンタインデーに関係のある男なので、迷惑である。

地元密着型ホームセンターに別れを告げたい気持ちと、在庫処分で安くなった工具への期待と、捨てきれないカカオへの待望を抱えてホームセンターに行った。
結果から言うと何も買うものはなかった。これは、がらんどうになった閉店間近のホームセンターの所為ではない。

2015年6月現在、リノベーションは佳境に入りつつある。そして数ヶ月の行程を通りすぎて、ある結論を得た。
基本的な工具は、ペンチ、プラスドライバー、とんかち、切るもの計るもの、これだけで足りる。全部買っても3,000円。あと、5,000円くらい君の黒いがまぐちに残っているなら、電動サンダーを買うとマジ最高。他に必要なものは何も無い。特殊なタイルを剥がす、とかさえなければ。
建築の知識も何もない僕は、リノベーションをはじめる時にひとつだけ心に決めたことがある。

「困ったらぶち抜く」

例として、牛乳ビルに壁が腐っている箇所があった。ヤスリを掛けようにも、上からなにかを貼ろうにも壁が腐っていてはどうしようもない。

僕は壁をぶち抜いた。軽く叩いて基礎材の入っていないであろう箇所を探る、そこに思い切りとんかちを叩き付ける。ホームセンターに走り壁材をカットしてもらう。1カット25円。カットしてもらった壁材を釘でとめる。継ぎ目はパテで埋めて乾いたらヤスリをかける。
使った工具はとんかちだけ。

なにかが上手く進まない時、自分以外の所為にして、あれが必要だ、これが必要だと彷徨い歩く。血走った眼では何も見つけられない、自分を見るんじゃ。必要なものは、もう、持っているじゃろ。
商品がまばらの、役目を終えんとするホームセンターが悪いんじゃない。必要なものは、もう既に揃っていた。それだけの話。

さらば、我らがコトブキホームセンター。


※この記事は全文無料の投げ銭ブログです。投げ銭はまだまだ完成していない牛乳ビルのリノベーション資金となります。

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