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シュールなコントみたいな世界観の絵本を発見した

さらば青春の光、サンドウィッチマン、アンジャッシュ、ジャルジャル、かまいたち、好きなコント師はたくさんいるけれど、初見での衝撃と、何度も見てしまう中毒性でいうと、2700 が一番好きだ。特に大好きなのが、キングオブコント 2011 で 2700 が 2 位となったときのコント、キリンスマッシュである。2023 年 2 月現在、Youtube の動画は削除されており、以下のリンクしか見れる場所が見つからなかった。

https://m.facebook.com/100069571006062/videos/キリンスマッシュ/755574817964967/

レシーブのポーズか、スマッシュのポーズのいずれかをするパフォーマーのキリンと、どちらのポーズが出るかに賭けているゾウのコントである。なにが面白いのかと言われると説明は難しい。実際、キングオブコントの視聴者は、私のような大好き派と、つまらないと思う派にクッキリ分かれたらしい。

難しいのを承知で言語化を試みると、まずゾウとキリンの一挙手一投足が面白い。さらに視聴者は、説明抜きで、ジャングルの賭博場という突飛な世界に放り込まれる無茶苦茶さが面白い。突飛な話なのに洗練されたシンプルさでストーリーを理解させる巧みさがすごい。真剣に悩みぬいたゾウ、ついに全がけしてヤケっぱちのように踊りだすゾウ、しかし賭けに敗北した無念なゾウ、全部面白い。

こういうコントにちょっと近いのは、バンビーノのリズムネタかもしれない。キングオブコント 2014 のダンソン・フィーゾキーのネタでブレイクしたバンビーノである。これをどういうジャンルとして呼称したものかわからないけど、シュールリズムネタ系とでも呼んでみよう。

さてここからが本題であるが、シュールリズムネタ系の絵本を発見してしまった。樋勝朋巳(ひかつともみ)さん作の「たいこ」である。

https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=5949

ストーリーはシンプルで、ひとつの太鼓をめぐって、いろんな子や動物が「なかまに入れて」と加わり、それに合わせてリズムが変容していく。シンプルなだけに、読み手の演技力が問われる一作だ。

2 歳の息子は太鼓が大好きで、中が空洞の円柱状のものを見ると、とにかく叩く。太鼓には「なかまにいれて」といって一緒に叩きたくなる、原初的な魅力があるのだと思う。叩く人が変われば新しいリズムが生まれる。この絵本には、他者と協力することで思いもしなかった新しいものが生まれる面白さも描いているように思う。

考えてみると、求められているのは本当に読み手の演技力なのだろうか?そもそも読み手が一人であるという固定観念が問題ではないだろうか。絵本の読み聞かせというと、子どもと一対一で読むか、先生が複数の子どもに向かって読むのが普通であるが、この絵本の場合、読み手が複数いたほうが面白くなること間違いなしだ。5 人登場人物がいるので、一人の聞き手に対して、読み手 5 人、もはやコントとして上演したほうが面白い。シュールな絵本は、読み聞かせの固定観念をぶち壊してくれる。

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