『砂の惑星』をVOCALOID、初音ミク、ニコニコ動画以外の文脈で勝手に語ってみる

 初めまして。ハープと申します。普段はpixivで小説を書いたりMMD静画を投稿したりしていますが、最近はTwitterでフォロワーさんと喋ってばかりです。
 私はVOCALOIDなどと本が好きで、それらを聴いたり読んだりしたあと解釈をするのが更に好きです。音楽に関しては理論などはわからないので、もっぱら歌詞解釈をしています。解釈するとその内容を喋りたくなりますが、Twitterだと文字数制限があります。
 なので長文を書けるnoteはずっと書いてみたいなと思っており、これが初ノートです。機能とかも分かっていないので読みにくいと思います。すみません。
 とりあえず、今回語る曲は、
 『砂の惑星』です。
 今更? とか、またその曲? などと思った人もいるかもしれません。でも『砂の惑星』です。

 『砂の惑星』はボカロPハチ(=米津玄師)さんの曲で、ボーカルは初音ミク。マジカルミライ2017のテーマソングでもあります。
 この曲が投稿された当時、といってもまだ半年近くしか経っていませんが、当時は賛否両論も含め『砂の惑星』の解釈がとても多くネット上で見られました。今も検索すれば見られると思います。
 ボカロ衰退論なのではないか? いや応援歌なのではないか? むしろニコニコ動画衰退論? 初音ミクとの決別? 
というような感じでたくさんの『砂の惑星』が聴いた人の数だけありました。
 この曲は今書いたようにマジカルミライ2017のテーマソングです。なので初音ミクやボカロに対する曲では? と思うのは自然なことだし、ハチさん自身もインタビューで、ニコニコ動画が砂漠で〜みたいなことを言っているのでそのつもりで作った曲だと思います。
 でも私は思ったのです。VOCALOID、初音ミク、ニコニコ動画。これらのキーワードをあえて考えずに砂の惑星の歌詞を考えたら、この曲は一体どんな風に私の耳に聴こえるのだろう、それを知りたい。
 実際にハチさんがどう思っているのかとか、何を考えているのかとか、メッセージ性とかマジカルミライのテーマソングとかMVとかを全て無視してこの曲単体で、どんな物語なのだろう? VOCALOIDの、初音ミクの、ニコニコ動画の曲だよという前提を壊して聴いてみたい。

なのでこのnoteは、ハチさんが何を考えているか知りたいよという人には向いていないと思います。それに、全てが私の想像なので、全然違うよと思うと思います。違いが楽しいと思える人ならばもしかしたら楽しく読んでもらえるかもしれませんが、私は文章力も高くはないので、需要が分かりにくいnoteであることは間違いないです。あと誤字脱字があったらすみません。
 
 とにかく本題です。『砂の惑星』はどんな物語なのか?

 最初に私が考えたのは「登場人物」です。砂の惑星の場合『僕』と『君』がいます。僕はこの曲の主人公ですが、君とは誰で、僕とどんな関係なのでしょう。

私がそれを考えるために注目したのは、「そういや今日は僕らのハッピーバースデイ」という歌詞です。僕らというのは僕と君でしょうが、誕生日が同じなのでしょうか。
 この二人は双子? なんだかしっくりきません。だとすると考えられるのは、「僕=君」ということです。この曲は僕が自分自身である君に語りかける曲だということ。
 (ちなみに私は「僕=君」という図式の物語が好きなので、この解釈はけっこう趣味が入っています。)
 でも、僕=君といっても完全に同じ存在では話す事もないので、僕は僕でも違う僕です(不思議です)。その違いは何なのでしょうか?
 「甘ったるいだけのケーキ囲んで 歌を歌おうぜ」僕にとってはケーキは甘ったるく感じるのですね。ここから私は僕=大人の自分、なのではないかと思いました。なのでそれを元に君=子供の自分ということになります。
 主人公は僕なので僕=君は年齢的には大人なのでしょう。
 これで登場人物は決まりました。僕=大人の自分が君=子供の自分に語りかける曲。
 
 次に考えたのは「物語」です。こちらがどちらかというとこのノートのメインです。
 僕は君に対し、「ここを出ていこうぜ」と言っています。ここ=砂の惑星。砂の惑星は子供の自分が住んでいる世界です。
 そこを出ていくということは、大人になるということです。この曲の主人公(僕=君)には、大人になっている部分(僕)と大人になっていない部分(君)があり、僕は君を迎えに行って、君と一緒に砂の惑星を出て、一つになって、大人になろうとしている。
 じゃあどうして僕と君は二人にわかれているのか? 元々同じ人間(生命)ならば一人だったはずです。
 「しょうもない音で掠れた生命」「そうメルトショックにて生まれた生命」「しょうもない音」、「メルトショック」。しょうもない音は、その前にある歌詞「何もない砂場とびかう雷鳴」だと思います。「メルトショック」は、具体的には分かりませんが、「メルト=溶ける」「ショック」という言葉から、なんらかの自分の中の常識が破壊される(溶ける)トラウマが起こったのだと考えられます。そして産まれた生命、君。君はトラウマが元で僕から切り離され子供のままになってしまいました。砂の惑星は子供の世界でもあり、トラウマの世界でもあります。なんもない砂場には避雷針もないので、君は雷鳴(メルトショックの記憶、つまりフラッシュバック)にさらされています。
 その君を迎えにきたのが大人になった君である「僕」です。
 
 でも君はそんなに簡単に僕を受け入れられません。ずっと放って置かれましたし、第一まだ子供なので、なかなか僕を許せないのです。
 
 この曲のサビには僕、君という言葉がありません。なので僕と君、どちらの立場からの言葉としても受け取れます。私は一番のサビが君、二番のサビが僕の言葉だと思います。
 簡単に言うと、僕が君に「応えてくれ僕に」と言い、君が「元どおりまでバイバイバイ(要するに「もう来るな」)心残り残さないように(子どもの自分のことを忘れて)もう少しだけ友達でいようぜ今回は(一つには戻らない)」と言って応え(一番サビ)、それに僕が「つまり仲直りまでバイバイバイ 思い出したら教えてくれ(今はバイバイするけど仲直りがしたい=また来る)天空の城まで僕らを導いてくれ(死ぬまで一緒に行こう)」と返すのだと思いました。かっこばかりで見にくくてすみません……
 同じように、「歌って踊ろう〜林檎の木を植えよう」が僕、「でんぐり返り〜勝手にどうぞ」が君だと思います。僕が「とりあえず砂の惑星をでるでないは別として、誕生日のパーティして記念に木を植えよう(砂の惑星に緑を増やす=トラウマを少しでも癒やす)」と言い、それを君が「勝手にすれば」と拒絶する。
 ラスサビは一番のサビと同じ歌詞なので僕を君が更に拒絶してこの曲は終わっています。僕と君はまだ仲直りできていない。でも、「風が吹き曝しなお進む砂の惑星さ」とあるようにそれは終着点ではないのでしょう。君も友達でいようと言っているということは、僕のことを嫌いではないのですし、仲直りの可能性はまだあります。

 この話の物語をまとめると、「僕が子供だった頃、大きな嫌な出来事があって、僕の一部は子供のままになってしまった。僕は大人になったあと子供のままの自分を迎えに行くが、なかなか思うように仲直りができない」という話になります。

 大筋の登場人物と物語は想像できましたが、私にはまだ分からないことがありました。
 二番サビの「イエイきっとまだボーイズドントクライ」どうして僕は君が泣いていることを知っているのでしょうか。
 今まで私が全く触れていない箇所があります。それは二番のラップ部分とその前後です。
 私は、この部分は僕が砂の惑星に置いてきた子供の頃の思い出や気持ちを指していると思います。

あなたと私でランデブー?→恋愛を描いた作品

すでに廃れた砂漠で何思う→上の作品は僕が子供の頃に流行っており、今は廃れている

今だパッパパッと飛び出せマイヒーロー〜よーいどんと→少年漫画。僕は子供の頃おそらくこのマンガが一番好きだったのでしょう。

あのダンスホール→童話の舞踏会のシーン

モザイクの奥→子供の頃知らなかったこと

太古代のオーパーツ→拾ってきた石

光線銃でバンババンバン→銃の形をしたおもちゃ

少年少女謳う希望論→根拠のない自信

驚天動地〜思い出は電子音→オルゴール。子供の頃最初に開けた(聴いた)とき衝撃を受けた。

 全て僕が君にいらないと押しつけてきたもので、それらが有象無象の墓の中にあると知った僕は、「戸惑い憂い怒り狂い」たどり着いたのは「君の心死なずいるなら応答せよ早急に」という祈りでした。そして、こんなこと(思い出を葬ること)
を君に背負わせていたら「この井戸が枯れる」からその前に「早くここを出ていこうぜ」ということと子供である君はきっと泣いているだろうということに気づきます。
 君も僕であることに違いはないのですから、泣いているのは僕でもあるはずです。ボーイ「ズ」ドントクライ。

 これで一応私が抱いている疑問は全て解消されました。多分この曲を聴いた他の大半の人とは違う解釈だと思います。でも曲の解釈、感想、考え方は本来自由なものだと思うので、好き勝手にやらせていただきました。とても楽しかったです(長くなってしまったので大変でしたが……)。
 タイトルの通り、『砂の惑星』はVOCALOID、初音ミク、ニコニコ動画という文脈によって語られていることが多いです。それも勿論一つの考え方だと思います。ただ、そうじゃない文脈で考えてみたらもっと(私にとって)新しく楽しい砂の惑星になるのではないかと思い書かせていただきました。
 少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
 作詞・作曲者のハチさんとこのnoteを読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。

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