見出し画像

物質の密度

物質1立方cmあたりの質量を密度といいます。

密度=質量÷体積

単位はg/立方cm(気体はg/リットル)。

密度で物質の識別ができる

物質によって密度は決まっているので、質量を測定し、体積をはかり、質量÷体積=密度を求めることで、その物質が何であるかを推測できます。

アルキメデスと王冠の話:王が細工師に金の王冠の製造を命じた。細工師が金をかすめとり、鉛を混ぜたとの密告があり、王は調査を命じた。アルキメデスは王冠の質量と体積を測定して密度を求め、細工師が盗んだことを証明した。金の密度は19.32、鉛の密度は11.35であることから、王冠の密度がわかれば、純粋な金でできた王冠かどうかがわかる。

覚えておかないといけない密度は水の密度1.00g/立方cmのみ。他の物質の密度は問題文中に書いてあります。

しかし、一般常識として、エタノール0.79、水銀13.55、氷0.92、アルミニウム2.70、鉄7.87、銅8.96くらいは知っておいたほうがいいと思います(密度の値はテキストによって少しずつ違っていることが多く、数値を丸暗記する必要はありません、だいたいこれくらいだと知っていたら充分です)。

例題1:次の金属の密度はそれぞれ何g/立方cmか。四捨五入して小数第1位まで求めなさい。また、それは、表のどの金属か。

(1)1辺が2cmの立方体で質量が63.0gの金属。

(2)質量が13.9gの金属を、水が63.4立方cm入ったメスシリンダーに完全に沈めたところ、水面の一番低いところが71.6立方cmを示した。

解き方:

(1)立方体の体積は2×2×2=8立方cm
密度=質量÷体積より、63.0÷8=7.875
四捨五入して、密度は7.9g/立方cm

表より金属は鉄。

(2)金属の体積は71.6-63.4=8.2立方cm
密度=質量÷体積より、13.9÷8.2=1.695・・
四捨五入して、密度は1.7g/立方cm

表より金属はマグネシウム。

質量・体積・密度の関係

密度が物質1立方cmの質量(密度=質量÷体積)ですから、質量=密度×体積、体積=質量÷密度です。

割合や速さと同様、3種類の式があることを知っておきましょう。

また、数学的に言い直すと、質量をy、体積をx、密度をaとすると、y=axと表すことができます。つまり、質量は体積に比例し、比例定数にあたるものが密度のaだともいえます。

グラフでは、傾きが密度を表す

例題2:図は、A、B、C、D、Eの5つの物質の体積と質量を測定し、グラフに表したものである。次の各問いに答えよ。

(1)物質Aの密度を求めよ。

(2)5つの物質のうち、水はどれか。

(3)同じ物質でできているものはどれとどれか。

(4)物質Aと同じ物質でできていて、体積が27立方cmの物体の質量はいくらか。

(5)5つの物質を水に浮くものと沈むものに分類せよ。

解き方:

(1)物質Aの密度を求めよ。

密度=質量÷体積より、12÷3=4
答えは、4g/立方cm。

(2)5つの物質のうち、水はどれか。

水の密度が1g/立方cmであることは覚えておかないといけません。
密度=質量÷体積=1であるCが答え。

(3)同じ物質でできているものはどれとどれか。

密度が等しければ同じ物質だと推定できます。
このとき、一々密度を求める必要はありません。
体積をx、質量をyとしたとき、質量は体積に比例し、y=axの比例定数aが密度です。
グラフだと、比例ですから原点を通る直線になり、比例定数aにあたる密度はグラフの傾きになります。

したがって、0を通る直線をかいてみて、同じ直線上にあれば密度が等しい、つまり、同じ物質だといえます。

答えは、BとDです。

(4)物質Aと同じ物質でできていて、体積が27立方cmの物体の質量はいくらか。

質量は体積に比例しますから比例式で解くべきです。

Aは、体積が3立方cmのとき、質量が12gだから、27:x=3:12
3x=324
x=108

答えは108gです。

(5)5つの物質を水に浮くものと沈むものに分類せよ。

Cは水ですから除外します。

物質の密度が水の密度より大きいとき、その物質は水に沈みます。
逆に物質の密度が水の密度より小さいとき、その物質は水に浮きます。

グラフで、水であるCを通る直線より上にあるものは、水より密度が大きい物質ですから水に沈みます。Cを通る直線より下にあるものは、水より密度が小さいので水に浮きます。

よって、水に浮くものはE、水に沈むのはAとBとDです。

最後に、方程式で解く密度の問題です。

例題3:密度が6g/立方cmの金属Aと9g/立方cmの金属Bの合金300gの体積が40立方cmのとき、合金300gにふくまれる金属Aの質量はいくらか。

解き方:

求めたい金属Aの質量をxgとすると、金属Bの質量は(300-x)g。
体積=質量/密度で、2つの金属の体積の合計が40立方cmだから方程式をたてて、
x/6+(300-x)/9=40
両辺に18をかけて
3x+2(300-x)=720
3x+600-2x=720
x=120

答えは120gです。

俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。