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(19)鳥爺DJ奮闘記「一か八かの大勝負」

いつもありがとうございます。鳥爺です。

カワダさんが見せてくれた借用書は本物のようです。

しかし、そこに書かれた金額には驚きました。信金さんとの借り入れを合計すると、ロムテックの1年分の売り上げに相当します。また自殺した歯科の院長先生の負債額に近い数字でした。

こんな借金をどうやって返せばいいのだろうか?

借用書を見ながら途方に暮れている私に対し、カワダさんが言いました。

 「同情はするが、あんたが代表になった以上、きちんと払ってもらうよ」

電話や先週の屋上のときに比べて、少しづつですが、言葉遣いが優しくなった気がします。

「ところで、あんたディスコ嫌いか?」

 と、お金とは関係のない質問を投げかけてきました。

「嫌いとは言えませんが、好きではありません」と私。

「あいまいだな。俺はソウルが好きで、よくお店に行くよ」

ソウル?? 

韓国のお店?? 

意味がわかりません。

「そうか、ソウル知らないんだ。あんたも若い頃はソウル全盛期だろう?」

よくわかりませんが、韓国のソウルではなく、ダンスミュージックの「ソウル」というジャンル(?)のようです。
このやりとりをきっかけに、カワダさんからソウルやディスコのレクチャーが始まりました。
私にディスコの素晴らしさを伝えたいのか、その表情は優しく、1週間前に屋上であったときはとは別人のようです。

そして

「俺は、この店を潰したくないんだ」とカワダさんがポツリと呟きました。

うむ、何、この展開は?

「もし潰れたら、踊りに行くのに東京まで行かなくちゃならないからな」

と続けました。

 そして、

「潰したくないからお金を貸したんだ。わかるか?」

ちょっと待って。

もしかしたら新たな手法で攻めて来たのかなと勘ぐりました。
でも、もしそれが本当であるならば、私としても交渉することができます。

考えが浮かびました。
危険な賭けですが、一か八かの大勝負をする価値はあります。

(つづく)

今日も素敵な一日になりますように(^o^)/

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