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徳島に4回も行くとその辺で勉強してる高校生を応援するようになる

地方都市に行くとそこかしこで勉強してる高校生が目に付く。田舎の高校生ってなんであんなに外で勉強してるんだろうか。外にスペースがあればどこでも自習しがち。地方都市特有の駅周辺にある官民の力を合わせて作りました!とアピールするカタカナの複合施設は空いてるスペースにとりあえず机と椅子が置かれていて、平日の夕方や土日は学生で埋め尽くされる。そんなに多くないはずの田舎の学生はそこだけに収まらず近隣のマック、スタバを侵食する。あの光景、大阪で一人暮らしを始めて以降あんまり見かけないなと思っていたら最近旅行する地方都市にめちゃくちゃいることに気づいた。塾で勉強する習慣のない、また勉強するに値する塾の少ない田舎の学生特有。あれこそが地方の光景である。その光景である彼らもまた自分が使っていた机や椅子、そしてそれが存在していた建物の跡地をなぞる。帰省して飲み会までの時間があるときに一人で。それが田舎の学生の全てだ。そして自分もまた、受験期は図書館、図書館の閉館日にスタバやドトール、ミスドにいるタイプの学生だったからこそ気にしてしまう。そこまでしてするような勉強が田舎にあるかね。

勉強するためにきれいにしている

2/18(土)~19(日)

前日に京都で出張の予定があったので、西日本で遊ぶことにした。文学部の健ちゃんを誘った。泊まりで友達と旅行に行くのは結構久しぶりでワクワクする。行先はどこでもよかったが、フェリーに乗りたい気分だったので和歌山港から徳島に行くことにした。海路先行だから徳島でやりたいことも見つからなかった。それに俺は徳島にそれまで3回も行ったことがあるし、池田のあたりも祖谷渓のあたりも海部のあたりも全部経験がある。俺は結構旅をしている人間なのだ。後で思ったことだが、徳島に4回も行くと何もすることが思いつかない。でもそれでよかった。行けば何か楽しいことが起こるだろうという友達と、交通手段をおさえている。そして徳島には秋田町という繁華街がある。地方都市の繁華街で飲む、これが実は旅を極上にする大事な要素である。これだけ揃えば何もしなくても楽しい。そういう自信があった。

京都での仕事を終え同僚が西へ東へ散っていく中、俺はカプセルホテルを取っていた心斎橋へ向かった。少しでも懐かしいエリアを通るために、数年ぶりに京阪に乗った。京都南部の寂しさと夜の寒さにふわっと光る見慣れない駅の表示、遠くから知らない音でやってくる緑色の電車。大学1回生の頃にワクワクして京阪に乗っていたのと同じ気分かもしれない。通り抜ける京橋も同じように大学生のころ、なぜだかあこがれていた街。水都大阪にあわせてうねるように地下に入り、淀屋橋で降りる。淀屋橋から戎橋周辺まで歩くというこれもまた大学生の想い出。たどり着いた戎橋は立ちんぼ、ガキ、キャッチ、youtuber、普通に嫌な関西人、街頭ビジョンに映し出される男性アイドルをスマホのカメラで収めるために待機してるバカ女30人ほどでごった返しており、グリ下キッズとか関係なく本当に最悪だった。

次の日朝6:45になんばで待ち合わせ。昨晩の喧騒の名残が散らばる早朝の心斎橋エリア。朝っぱらにこの辺きたことないな。南海に乗り込んで和歌山港へ、フェリーに乗って徳島に行く。けんちゃんとずっと転職の話してた。

徳島に着いても本当にやることは何も考えていなかった。吉野川沿いに西に行くことに決め、鉄道の時間を確認し、それまでに徳島ラーメンを食べて阿波踊り会館の1階でおいしいひらべったいまんじゅうを食べた。徳島駅から川を挟んだ向こう側に繁華街があり、近代以前の街づくりと当時の風景が偲ばれるな~夜になると川沿いのぼんやりした灯りが幻想的だったんだろうな~と勝手にいい気分になり、鉄道に乗ってとりあえず西に向かった。偶然降りた阿波川島という駅が大川隆法の生誕の地でそれが面白かった。沈下橋をとりあえず往復してすぐに横の鴨島駅に移動し、入口のかわいい喫茶店「じゃんけん」でコーヒーを喫した。店内のちっちゃいちっちゃい液晶テレビで流れているボートレースに老々男女が夢中になっていた。そこから10分離れたところにボートレースの場外舟券場があって寄ってみたけど2タイプぐらいのじじいがすっごい綺麗な建物の中にある無数のモニターをそれぞれの位置から見上げており、その視線の交錯しまくっている雰囲気が特殊に感じた。それなら喫茶店「じゃんけん」のみんなで一点を見つめている方がよほど秩序があるなと思った。

入口のデザインが素敵

鴨島では田んぼのど真ん中にある温泉に入った。香川でも去年、自治体がやってるのか民間でやってるのかわからない綺麗な温泉に入った。人の生活があるぐらいの田舎の温泉が結構好きだと気づいた。城崎温泉もちょっとその要素がある。地元の別府とはまた違う温泉を愛しているのだから俺は温泉好きを自称してもよさそう。

夕暮れ時、部活を終えたであろう学生達と一緒に鉄道に乗る。太陽が落ちて、一番楽しみにしていた夜がやってきた。ホテルに荷物を置き繁華街に繰り出す。地方の繁華街特有の新旧、老若、男女、すべてが綯い交ぜになって沸き立っている。手ぶらの男のやたらに目につくこと。個人経営のとっても美味しい居酒屋でぶじ1軒目を済ませ、さらに帳が落ちた街を練り歩く。先ほどよりもケバケバしく芳しいナイトワーカーが増えている。21時を過ぎた街。安くて美味しいんだろうな、という居酒屋の軒先の喫煙スペースには年端もいかない少年少女がわんさかいる。なんかダサいスーツの若者も多い。これが面白い。

街の入り口としてそびえたつビル この後ろから秋田町が始まる

いちばんいいなと思ったのは繁華街のど真ん中にたこ焼き屋が2軒あり、どっちも明らかに15歳前後みたいな子どもたちで賑わっていたこと。街に繰り出す彼らの居場所はこのたこ焼き屋なんだ。スケボー持ってたり、明らかに14歳の女の子を「彼女」ですって先輩に紹介する男の子。控えめに後ろにいるその14歳が放つ輝き、たこ焼き屋のネオンに負けてない。彼女、彼氏、先輩。3人でダイドードリンコの自販機で何かを買い、何かに笑い、車高の低い何かに乗って大きな音を立てて消えていった。それを、近くのスーパーで買ったお菓子や酒を喰らいながら見ていた30のおじさん2人。最高の夜。

翌日は昼過ぎのフェリーで帰ることにしていたから楽しめるのは朝だけ。徳島、というか四国にはやたらに喫茶店が多い。しっかりモーニングを嗜み、駅裏の城を中心とした公園付近を散策する。公園ではFM徳島主催でリレーマラソン大会が開かれていた。近くには21世紀枠で選抜出場を決めた城東高校。

鉄道がかわいい

駅前のそごうが潰れてそのあと入った商業ビル。屋上には超貴重になったプレイランドがあり、アニメ釣りバカ日誌のパチンコをやってみた。その下の階層には高校生が勉強するようなスペースに、オンライン配信できそうなスタジオ。昭和から令和まで時代をぶち抜きながら、いつの時代も変わらずそこにある、地方の勉強する学生。

屋上プレイランド
9F 何らかの空間 こういうのを作るのに携わる大人もたくさんいるんだよな

繁華街、城址公園、その近くにある文武両道系公立進学校、鞍替えした商業施設、勉強する学生。徳島に4回も行くと、徳島には徳島らしさよりも地方都市らしさを求めてしまうことがわかった。最近の旅行ずっとこうだな。その全てを噛み締めながらフェリー▶南海▶新幹線の帰路に着いた。南海って馴染みないよね。

友達と泊まりを伴う旅行、久しぶりだった。大した動機もなく、ただ土日に会いたいから行く旅行も懐かしい。社会人1年目の2月とかもそんな感じだった。あのころとはもう年齢も生活のスタイルも違ってきているけど、楽しいと感じることはそんなに変わらなくて、だからこそみんなとずっと遊んでいたいよなあ。

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